祖父の形見のそのボタン
母方の祖父の四十九日法要のため、小さい頃はちょくちょく遊びに来ていた祖父母の家に来た。迎えてくれた祖母は葬儀の時の憔悴した表情からするとだいぶ落ち着いたようで、にこやかに出迎えてくれて、僕の名前を相変わらず間違える。
親しい親戚だけで行うと聞いていたけれど、その親しい人々が思ってた以上に多く、昔ながらの農家間取りでそこそこ広い居間にも座布団がひしめき、あまり面識のない親戚たちに囲まれてしまうことになった。
母はと言えば叔母たちとの四方山話や料理の準備に忙しく、僕や父のこと