生きるも地獄、死ぬも地獄

まだ二週間程しか経ってない、お世話していた仔猫が死んだ。
事故死だった。

恋人がゲージから仔猫を出していて、私はまだその時眠っていた。
楽しみにしていたYSLのアイシャドウが届いたインターホンで飛び起き、荷物を受け取ってから、「見て!YSLのアイシャドウ!今日の花火大会にこれ付けてくんだ!」と笑顔で部屋に戻ると、「それどころじゃない!」と彼が返した。

「夜の寝返りで、クロミン(仔猫の名前)が首が座らないし、痙攣も起こしてる。うんちも出ちゃってる」

つまり、私が圧迫してしまったこと……?と返すと、そうだと言われた。
急いでクロミンを見ると、沢山の動物を飼ってきた私はすぐにもう手遅れだと分かった。
それでも一縷の望みに賭けて、片っ端から動物病院に電話をかけ、色々な動物病院を紹介してもらったけど、
電話をしている最中に、クロミンは逝ってしまった。
最期に断末魔の鳴き声を発して。

そして、最も親切にしてくれた動物病院に、電話をしている最中に亡くなったことを伝え、動物の葬儀屋を紹介してもらった。

「明日10:00から迎えに来てくれるって」

それを伝えた上で、翌日彼は葬儀に来なかった。
眠いのか知らないけど、行かないと言った。

結局私一人で、クロミンを箱の中に入れて大切に抱えて、葬儀屋に葬儀会場まで運転してもらって、まるで人の葬式のように火葬式をして頂いた。
ただでさえ小さかったクロミンは、益々小さい真っ白な骨となって、そこに居た。
お骨上げもたった一人でして、素敵な骨壷に入れてもらい、もう一度最後の挨拶に線香をあげて、火葬式は終了した。

私は気がおかしくなりそうで、いつも通っているタトゥースタジオに無理を言い、何が何でも今日彫って欲しいと、ワンポイントでも何でも良いからと予約を半ば無理矢理取り、そこからクロミンと共にタトゥースタジオで蝶を彫って貰った。
真っ黒な菱形を上下で挟み、結局こうなるのなら、生きるも地獄、死ぬも地獄。
猫を殺してしまった私に、天国行きなんてものは無い。
そんな意味合いを込めながら、蝶を彫った。

それから、ピアッサーも買って、バチンともう一つピアスホールを開けた。
兎にも角にも、自傷行為のようなことをしていないと気が済まなくて、
吐くまでラーメンを食べたり、その後煙草を肺が痛くなるほど喫茶店で吸った。

帰ってきた時、彼は何事も無かったように話しかけてきた。

この人と、私は数日後入籍する。
本当にいいのか。

葛藤がある中で、入籍していいのだろうか。
本当にこの人は、私という人間を受け入れるのだろうか。
もしかして、私が死んでも何も思わないのではないか?
そんな風に思ってしまう。

彼という人間に対して、醒めた目で見ている。

この結婚は、正解なんだろうか。
未だに疑惑は、晴れないままである。

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