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ビールを売り続けて知った「商品の品質より伝えるべきこと」

店頭で推奨販売(大手メーカーの新商品や主力商品の店頭販促)の仕事をしていた時のこと。ある銘柄のビールを色々なお店で販売していた時期があって、その経験を通して

  1. 商品は品質だけで選ばれるわけじゃない

  2. 購入の決め手は客層ごとに違う

という2つの学びがあり、その後のECの仕事でもずっと大切にしています。


商品は品質だけで選ばれるわけじゃない

推奨販売で思うように売れなかった初期の頃、ビールが買われる理由は「おいしいから」だと思っていました。

でも実際店頭に立ってみると、通りすがりの人においしさや製法のこだわりを話しても、まったく興味を持ってもらえない。

ええ!?こんなに有名なビールなのに…?

スタートはそんな頼りないものでした。
それが、毎回レポートを書いて試行錯誤を重ねるうちに、品出しが忙しいくらいバンバン売れるように。

品質より伝えるべきことがわかったのがきっかけでした。

購入の決め手は客層ごとに違う

まず、季節的なこと(お花見とかハロウィンとか)や権威性(受賞歴とか)を伝えると話を聞いてもらえることがわかってきました。

ただ、その先の「購入の決め手」は客層によって全然違っていたのです。
具体例を紹介します。

品川区の某小売店の場合

この店舗で販売した時に多かった客層は、バリバリ仕事をしていそうな独身サラリーマン。この人達には「仕事で疲れて帰ってきて、ゆったり過ごす時間のお供に」「遊びに来てくれた彼女も喜ぶ」みたいな言葉が好反応でした。

首都圏郊外の某小売店の場合

ここで多かった客層は、小さな子供がいる家族連れの男性。このような客層に買ってもらうには、①子供に話しかけて呼び止める → ②一緒にいる本人に勧める → ③別のところで買い物中の妻に交渉してもらう という流れになるので「大容量」「コスパがいい」といった言葉が響きました。

某大型百貨店の場合

ここではお中元の催事会場で販売していたので、多かった客層は上品な老夫婦。もはや大容量とかコスパなんて口に出すことも憚られる。中身よりパッケージ箱やのしの仕様を気にされていました。つまり「贈る相手に失礼にならないかどうか」を伝えてあげると好反応でした。

渋谷区の某小売店の場合

この店舗で出会った印象的なお客様の話。
私と世間話をしていただけで「楽しく話ができたお礼にあなたが売りたいものを買う」と、ホームパーティー用に2カートンも購入してくださったのです。他人を喜ばせることを何より大事にしている方なのだろうな、と思いました。

中年男性だけに刺さったワード

上記とは別のビールですが「とりあえずプリン体ゼロって言えば売れる」と指導された商品を売った時の話。
中年男性だけがおもしろい位商品を手に取ってくれたことがありました。
後から「痛風」になったときにプリン体を控える必要があると知り、痛風を気にせずビールが飲みたい人に響いたようです。

まとめ

こんな感じで、同じビールでも色々なニーズに合ったトークで推奨販売をしていました。
商品画像の文章作成から担当させていただく時は、経験を踏まえて「その商品を手に入れたらどんな良いことがあるのか(ベネフィット)」を伝えることを大切にしています。

そのために、ターゲットは
「10代~70代男女」より「30~40代男性」
「30~40代男性」より「アウトドア派の30~40代男性」

くらいの解像度まである程度絞られていた方が、その客層のライフスタイルに合った具体的なベネフィットを伝えられるのではないかと考えています。


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