【中小企業診断士について】③養成課程について

 中小企業診断士を目指している方々向けです。
 中小企業診断士を目指している方は、いまごろ今年夏の1次試験に向けて勉強を進めている方も多いかと思われます。1次試験合格したら2次試験・・・という流れがメジャーかと思いますが、1次試験を合格したら養成課程を修了する。という方法もあります。
 ・・・しかし、2次試験対策は参考書や勉強会などツールが豊富なのですが、養成課程についてはあまり語られているものがありません。一子相伝か!?みたいな感じです。そこで、今回はわたしが修了した養成課程での経験をベースに、どんなことをやるの?あたりを解説したいと思います。
 なお。養成課程によって修了年限や修了要件、カリキュラムなどの進め方の細部が異なると思いますので、詳しくは養成課程のある学校などに資料請求や説明会参加など、各自の情報収集は怠らないようにしてください。

名古屋商科大学大学院の養成課程について

 名古屋商科大学大学院のビジネススクールの課程の中に、中小企業診断士の養成課程が併設されています。修了できると、中小企業診断士の登録ができると同時にMBAの学位ももらえます。もともとは社会人向けのMBAコースからはじまっていて、後で診断士の養成課程を追加したようです。MBAコースは国際認証をAACSBとAMBAの2つ取得しており、ビジネス誌では国内やアジアでは比較的上位に評価されているようです。
 名古屋商科大学大学院の養成課程は、大きく演習と実習の2つをします。

(1)演習

 演習は、MBAコースの授業となります。養成課程ではない通常のMBAコースの学生と一緒に授業をうけます。科目にもよりますが30~50人ぐらいのクラスになります。授業ではケースと呼ばれる、ある企業の意思決定を題材にした教材を使用します。事前課題をレポートとして作成、授業前に提出し、授業では予習した内容をもとに講師と学生、あるいは学生同士の討議をしながら、よりよい意思決定を追求していきます(授業の進め方は科目により細部が異なることがあります)。成績は事前課題のレポートと授業での発言で決まります。なので予習をしていないと授業についてこれず、結果として単位を落とします。授業にどれだけ主体的に参加しているかで、成績が決まります。
 2年目はどこかのゼミに所属して、担当教授の指導のもと、修了課題として、自分でケースを作成していきます。ケースの題材は企業や業界などいろいろで、担当教授とのディスカッションをしてながら決めていきます。

(2)実習

 実習は、実際に中小企業のコンサルティングを行ます。チームを組んで、修了まで複数の業界で合計5社、1社あたり1か月~1.5か月をかけて、先輩診断士の指導のもと、経営者や従業員へのヒアリング、各種資料分析、チーム内でのディスカッション、中間報告、最終報告を通じて、中小企業の戦略や課題、今後取り組むことについて診断、助言をします。学生は社会人なので、それぞれ仕事はありますが、実習のために平日に休暇をとる必要に迫られることもあり、事前に自分の日程調整が必要です。
 指導員からは「手足を使え」「すぐに実行できることを提案せよ」と指導されることもあり、その企業のことを深く理解することが必要になるため、いつも夜遅くまでメンバーとディスカッションや実習の準備になることもしばしばありました。

(3)修了までのスケジュール

 修了まで最低2年かかりますが、時期によっては余暇にかけられる時間がほとんどなくなることがあります。家族サービスを含め、時間を効率的に利用する工夫が必要になるかもしれません。以下がわたしの場合の2年間のおおまかなスケジュールでした。

〔1年目〕
9月 入学
9~1月 演習(平日に予習レポート、土日に講義)
4~7月 演習(平日に予習レポート、土日に講義)
8~9月 実習(土日+若干の平日):2社
〔2年目〕
10~1月 演習をメインに修了課題を少しずつ開始
2~3月 実習(土日+若干の平日):2社
4~7月 修了課題+演習を2科目
8月  実習(土日+若干の平日):1社
9月  修了

1年目の4月から約1年間は土日は演習か実習のどちらか、平日はその準備で、ほとんど休みはありませんでした。実習は休むとその時点で留年が確定になるようで、体調管理は常日頃から注意する必要があります。

 養成課程の2年間は、正直かなり大変でしたが、演習ではいままで接点のなかった業界の方と知り合いになったり、実習では企業と向き合う姿勢など、学ぶことも多く充実した時間でもありました。

 次回からは少し観点も変えて、仕事のことに少しずつふれていきたいと思います。

これまでの記事はこちらもご覧ください。目指したきっかけや、登録までのプロセスをご紹介しています。


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