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退職した




昨日は最終出勤日だった。
最後の数日はみんなが代わる代わる餞別を持たせてくれて、最終日は泣いてしまう人もいた。いつの間にか職場における私の影響がとても大きくなっていたことに驚いた。


私の好感度は神経と引き換えだ。
とにかく周りに気を遣い、皆に快適に過ごしてもらえるように努力した。苦手な相手にも笑顔で接し、敢えて近づいて声かけすることで距離を縮めた。
最終的には職場の100人と良好な関係を築き、内8割には特に愛されていたと思う。最後に温かい言葉をかけられたときは、嬉しい気持ちの中で死んだ心に合掌していた。

そんなに頑張らなくてもきっとこの人たちは私を大事にしてくれたのに、自己肯定感の低さから焦燥に駆られて無理して、結果心身を壊して退職することになった。バランスを取れなかった私が、みんなを信じきれなかった私が悪いと思う。

影響の輪を普段から意識することは大事だ。
すべてを掌握してすべてをコントロールするなんてひとりの人間にはとてもできない。影響の輪は大きくない。だけど私はそれを忘れて職場の部下たちを掌握しようとしていた。自分の管理下をコントロールできなければ一人前ではないと考えていた。関心の輪だけを広げ続けた。影響の輪は軋んでいた。


しかし、退職が決まってから周りが見えてきて分かったのだが、他の人はどうやら部下に好かれていない場合もあるらしい。仕事を十分に行わず部下に負担をかけている人もいる。仕事は完璧だが横の繋がりを一切拒否している人もいる。部下のコントロールがままならないどころかちょっとの気も遣えなかったり希望も聞いてあげられなかったりする人もいる。

部下に慕われ、上司に頼られ、横の関係も良好で、隣の部下にも愛され、稀にミスはあるがおおよその仕事をこなし、3人の後輩を一人前に育てた私。
思っていたより悪くなかった。
思っていたより優秀だった。
思っていたよりみんな私を信用してくれていた。
もっともっともっと仕事の精度と好感度を高めていかなければデキるとは言えないと思っていた。
私は思っていたよりずっと自己肯定感が低かったみたいだ。


新卒採用で50社受けて唯一受かった第一志望の弊社。
本当によく頑張ったし周りもいい人に恵まれていた。
なのに人に頼れず無理しすぎて休職、復職するも慢性疲労が治らずずっと軽作業。
あまりにも申し訳なく居心地が悪くて転職活動を始め、またも第一志望に内定。
退職が決まったら余裕が出てきて、私を居心地悪くさせたみんなの視線は怒りではなく心配による視線だったことが分かった。
私の神経と引き換えに始まった好感度ではあるが、最後は純粋な親愛を感じた。





愛してくれてありがとう。
私の頑張りがみんなの仕事環境を少しでも良好にできていたなら嬉しい。

これまでありがとうございました。
みんな元気でね。

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