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子どもの頃の私へ 手紙1
あれはまだあなたが幼稚園の時だったね。
大好きなおばあちゃんが入院しちゃって、すごく寂しい日々を過ごしていたね。
お見舞いに行ったら、点滴たくさんしてたからお顔がちょっといつもと違うふうに見えたね。
「ばあちゃん、なんで顔が黄色いの?」
こんなこと、言っちゃいけないって、言った直後に怒られるまでわからなかったね。
寂しそうに微笑んでるおばあちゃんを見て、私は心臓が凍りつきそうだったんだ。そうだよね。ごめんねって今も思ってるんだよね。
でも大丈夫だよ、おばあちゃんはあなたを子どもだって理解してたんだから。大人みたいに気を使う必要はなかったよ、大丈夫だよ。
***
「ばあちゃん帰ってきたよ」
そう聞いて、嬉しくて、夜中なのに飛び起きたね。
でも、ばあちゃんは横たわって白い布を顔にかぶっていた。
それがもう起きてくれないお婆ちゃんの姿だなんて、理解できなかったね。
元気になってまた抱っこしてくれるばあちゃんが帰るんだって信じてたんだもんね。
理解できないから、なんだかいつも通りしてなくちゃって思って、歌を歌ったり、踊ったり、いとこと笑ってたりしてたね。
大人は無邪気だなと思っていたかもしれない。
でも、子どもの私は悲しすぎて、心臓が痛すぎて、凍ってしまってたんだよね。
辛かったね。
悲しい気持ちにお父さんもお母さんも寄り添ってくれなくて、寂しかったね。
でも、大人の私にはその時のお父さんの気持ちやお母さんの気持ちが想像できるんだ。だから、その時のことはもう考えなくていいから。
子どもの私は、泣いて、わめいて、迷惑なくらい悲しいって表現していいんだよ。
だって、まだ5歳なんだから。
大人の顔色を窺って、感情を凍らせなくていいんだよ。
大人になった私が、あなたを理解しているから。
だからもう、その時感じた大人への不信感は抱えなくていいから。
大人の私が全部引き受けていて、何も心配ない状態にしているから。
だから、5歳の私は、子どもらしくいてね。
泣くあなたを、わめくあなたを、暴れるあなたを、私が抱きしめるから。
だから、もうその時間で凍ってなくていいからね。
愛してるよ。
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