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川柳句会ビー面4月選評(遅刻)

毎月参加している川柳句会ビー面の4月分の選評を掲載しています。ササキリさんのページで公開されている、皆さんの句と選評はこちら↓です。

上記のページに私の選評が載っていません。というのもその時期、つまりゴールデンウィークの真っただ中に胃腸炎で臥せっておりまして、評が書けなかったんですね。回復したらすぐ書く予定だったのですが、まあアラサーになると一度の風邪が一か月は尾を引くようになるもので(笑)、なんやかんやでここまで先延ばしにしてしまいました💦すみません!皆さん体調には気を付けてください。

特選

四分の一だけめくれている夕べ

 夕べ、という言葉が効いていますね。最初、「めくれている」に引っ張られて夕べ=夕方の空と読んでしまったのですが、ちゃんと辞書で調べたら夕べ=夕方そのものを指す言葉でした。「四分の一だけめくれている夕空」だったら、綺麗は綺麗だけど、綺麗止まりだったと思います。空がめくれているのは美しい景として視覚的に想像できてしまいます。「四分の一」という謎の深遠さに比べると、美しいけど少し軽いかも。やはり「夕べ」と置いたところが妙手です。
 私が思い浮かべた夕べは、ぴゅーひゅろろとお囃子の音が鳴っている地元の夏祭りが始まる前の夕べ。これから変化していくわくわく感。私がそのように捉えたのは、この評を書いているのが初夏に近づいている時期だからで、「夕べ」は「夏祭りの夕べ」に限定されるべき語ではありません。
 四月の夕べも一月の夕べもきっと違う顔を持っている。そんな折々の風情を想起させる、「夕方」や「黄昏」には言い換え不可能な強度を内包しています。この句は一年を通じて鑑賞できる句です。また会いましょう。

並選

符号なしそのままで行け十三人

 そのままってどのまま?行けってどこへ?という疑問が浮かぶはずが、「符号なし」とまず言い切ることで、妙に喉を通過してしまう納得感があります。符号も謎ワードだけど「符号なし」って言われちゃったら飲み込むしかないぜ……。全体的に潔さを感じさせる句です。
 ところで十三人って誰だろう?鎌倉殿の十三人?十三は忌み数なので、誰にしろ不吉な奴らなんでしょう。だったらそのまま行かれるのは困りますね。たまには立ち止まってください。
 余談ですが、検索したら「符号なし整数型」という語がヒットしたので、符号なしってこれのことかなあと思ったのですが、この観点から読み解くのは私には難しかったです。ITに明るい人の評も読んでみたいですね!そして本当に余談ですが、最近の推しがITに明るい人なので推しに読ませたいと思いました!!!

一人ずつテーマカラーのある社員

 これ大企業とするとめっちゃ面白い。「白って200色あんねん」よろしくチャコールグレーとかハワイアンブルーとかパッションピンクとか細かく色を分けているのかも。ことあるたびに「自分だけの色を出していこう!」と檄を飛ばしたり、飲み会で隣り合った人と「私たちのカラー見分けつかないですよね(笑)」と打ち解けたり。いやはや興味が尽きないですね。連作希望です。

投票は妻に任せていますので

 「~ので」と答えていることからして、選挙について話を振られた状況だと思います。投票という重要な選択に対して、他人に任せられる=無関心でいられる……ネットスラングで言うところの「特権」を捉えた句です。投票はともかく、家事や家計のやりくりを妻に任せっきりの夫はたくさんいますよね。この人、妻が亡くなったらきっと近所に住む長男に任せるようになると予想しますね。

蛍光灯ほたるはいなくなったけど

 蛍光灯もほたるも昔を感じさせる言葉。蛍光灯よりほたるのほうがより昔っぽいので、蛍光灯が過去ならほたるは大過去、的な時間の広がりがあって面白いですね。でもLEDに比べると、蛍光灯がある場所の方がほたるが残っているイメージがあるので、そこのずれは不思議。


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