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川柳誌『晴』第1号

川柳誌『晴』第1号(2018年)より気になった句を連作ごとに一部引用します。なお、川柳本アーカイブ(https://weekly-web-kukai.com/ryushi-archive/senryu-hare/)を参照しました。

「鬱るんです」きゅういち
観覧車止まる天使の発情期
ゴルゴダのその日の出口調査員
福音の陰から飛ばし合う輪ゴム

「ふり」松永千秋 
しゃっくり続くエレベーターは急降下
死んだふりだったか生きたふりだったのか
枯れましたお力添えをいただいて
死なないと死ぬの間の朝ごはん
制服のフリルがすこしずつふえる
暗喩には椿が五六輪欲しい

・この連作刺さった。じっくり分析したい。

「【輪切りにされた人、そのほかの言葉】」月波与生
島津家がヘブンといった臍の下
一面に載らない鳥の近代化
紅を差しやらせ番組ばかり見る
死にきれぬ蝉と黒鍵取り替える
どこまでも鶏卵割れて安息日

「その先」広瀬ちえみ
美しく赤く却下と捺されたり
桃色になったかしらと蓋をとる
糊づけは固めに鶴の全身に
たっぷりとミルクを飲んだ後の晴れ

「バルバラの鷲」水本石華
UFOを書き漏らしてる明月記
両手の中に残る海鳴り

「空腹」樋口由紀子
肉を盛る菊の模様の皿の上
ちょうどいい硬さにならぬ鼈甲飴
ヨーグルトにうしろめたさがあるきっと
空腹でなければ秋とわからない

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