子どもの頃見た作品を今見たら

 人気漫画「SLAM DUNK」の新作映画が来秋に公開されるというニュースを見た。25年前に連載が終了したにも関わらず、今でも多くの人々に愛される漫画で、今回のニュースも大きな話題になっている。

 中学に入って陸上競技を始める前、小学生の頃はバスケ部に所属していた私も「SLAM DUNK」には大きく心を揺さぶられた。花道や流川の派手なプレーに憧れ、血も流れる暴力シーンには衝撃を受けた。

 小学生の頃、憧れの登場人物を聞かれたら流川楓や仙道大地と答えていただろう。しかし、先日9年ぶりにアニメの再放送を見て、当時とは違う考えを持っていることに気が付いた。

 20歳になった今、憧れの登場人物を聞かれたら木暮公延と答える。そう、あのメガネくんである。この数年間で大きな変わり方だと思われるだろう。小学生の頃の私はキラキラした表舞台で活躍する存在しか見ることができていなかった。もちろん自分自身が常にそのような場所にいたわけではない。しかし、目指すならキラキラした存在がいいと思っていたのだ。

 そして中学、高校、大学を経て自分にそんなキラキラしたものは似合わないことに気づいた。目指してもたどり着けるものでもないと思った。単なる諦めにも聞こえるかもしれないが、そうではない。

 いつも輪の中心になって、派手に活躍をする人がかっこいいとばかり思っていたが、中学から大学にかけて、そうではないかっこよさを教えてくれた人に何人も出会った。彼らは皆、目立たないところで努力を積み重ね、時間をかけて結果を出していた。不思議とそういった人たちが輝きを放ったときは、いつも輝いている人たちよりも一際かっこよく見えるわけだ。地道な努力を積み重ねることなら誰にだってできる、つまり私も目指せる存在だと思ったのだ。

 作中で木暮は全国大会出場がかかった試合で勝負を決定づける3Pシュートを決める。同期が何人も辞めるなか、3年間努力を続けた彼が輝く有名なシーンである。9年ぶりにこのシーンを見たとき、私がなりたいのはこういう存在だと思った。

 今はバスケではなく陸上をやっている私ももう大学3年で、部活動の引退が近づいている。決して下級生の頃から活躍しているわけではない私が目指すのは、引退がかかった試合で満足のいく結果を出すことだ。もちろんそのためには努力が欠かせない。

 読んでくださった方も、過去に見た作品を今見ると違う感覚を覚えた経験があると思う。もしよければ懐かしい作品に触れ見るのも面白いかもしれない。

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