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腕相撲のススメ


腕相撲がいきなり流行り、家族で一気に勝負がなされました。パパが勝っちゃうのはまあそうかと思われるのですが、その他はかなりの乱戦模様。
中1の長女Kちゃんが小1のWちゃんに負けちゃうのは恐れいりましたし、自分がWちゃんに右手でも苦戦するのにはびっくりして、ちょっと泣きそうになりました。

我が家で腕相撲が流行った後、お友達一家と温泉に行って遊んだ時にも「腕相撲しよう!」と言いだすKちゃん。

おお?とお友達のママもそのお嬢さん(中1)の目にも簡単に火がともります。

温泉の女性脱衣所で始まる腕相撲大会。

「どちらが強いのか?」

元看護師で毎日23キロの5歳児を担いでいるママ友さんは圧倒的に強くて、両手でも負ける私。

中1のKちゃんに勝った小1のWちゃんも、元看護師ママさんのお嬢さん(中1)には両手を使っても負け、骨の強さやDNAの違いも感じつつ、大盛り上がりの一瞬を楽しみました。

シンプルな勝負が一瞬でできる上に、それが大して遺恨を残さない。腕相撲の種目(?)としての有用性に気がついてから、親しい人に会う時に「この人と勝負をしたらどっちが勝つだろう」と思うようになりました。

親しい人や、ぐっと手を組み合ってもいいと思えるくらい好きな人、みんなと腕相撲してみたい。

負けても勝っても、いつもは大して使わない二の腕や手首の強さと弱さを感じることはとても愉快だし、「友達の中では自分は◯位くらい」と勝手に順位表を書き込んで、意外な強さの人や弱さの人を知れることも愉快です。

そんなことをしていたら、10年くらい前に実母と腕相撲をしたことを思い出しました。

私はそもそもとても腕相撲が弱いので、実家の食堂で大きな漬物石を60を過ぎても持ち上げている実母には負けちゃうんじゃないかと思っていたのです。

でも腕を組んで力を込めて、感じたのです。

あ、私の方が強い。勝ってしまう。

私がいかに腕相撲が弱くても、やはり60を過ぎた母の腕力はもっと非力で、でも腕相撲がだいぶ弱いキャラだった私に負けてしまったら、お母さんはちょっとがっかりするのではないか・・・・

そう思って、わざと負けたこと。

「ああ〜〜由紀ちゃんに勝った〜〜!」
「負けたー」

母の力はもうそんなに強くない。重い漬物石だって、すごく無理をして持っているんだ。母の指は強い力を使いすぎて、曲がったまま固まってしまっていました。

腕相撲は、まだ頑張れると思っている人の遊戯なのかもしれません。

すごくすごく力が弱くなってしまってからは、「ああ、もっと強かったのにな。子供にも負けちゃうのか」と思ってしまう挑戦なのかもしれません。

そんな思いをさせたくなくてわざと負けた日のことを私は後悔しないし、これから先子供達と腕相撲をする時、もっと弱くなった私を感じて苦戦するふりをする子がいるかもしれない。

楽しいね、バカみたいだねと笑い合って、本気を出してムキになって腕相撲ができるなんて、なんて幸福な時間なんだろう。
そんなふうなことを、関節が曲がった母の手にムキになれなかった自分を思い出しながら感じました。

まだ自分の腕力は下り坂じゃない、と思うみなさん、今のうちにお友達や好きな人とたくさん腕相撲をしてみてください。

きっと少しずつ少しずつ、その時間は少なくなっていきます。
少しずつ少しずつ、その時間は愛しさを増していきます。


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