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石牟礼道子『苦海浄土 わが水俣病』


『苦海浄土 わが水俣病』第一部/石牟礼道子

この作品は聞き書きや、純粋なルポルタージュではない。
本人によると「誰よりも自分自身に語り聞かせる、浄瑠璃のごときもの」であるらしい。

水俣病患者、その家族の声が、石牟礼道子を通して文字となり、どんどん浮かび上がる。

豊かな不知火海が、死の海へと変わっていく。ただ「日常を取り戻したい」と願う被害者の悲痛な叫びに、涙が止まらなかった。
水俣の人々が語る熊本弁は温かくて悲しくて、読み終えた今も耳にこびりついて離れない。

渡辺京二の解説には「彼女の著作は、公害告発とか被害者の怨念とかいう観念ではなく、自律的な文学作品として読まれるべきだ」と書かれていた。

読むきっかけは今までいくらでもあったのに、先入観だけで避けていた作品。これから何度も読み返したい。

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