「刺すパス」にもっと着目してみてはいかがだろうか

 馬目裕也です。
 今回はサッカーの原則的なプレーとして「刺すパス」について書いていきたいと思います。

 「刺すパス」とはボールがあるサイドから中央、または逆サイドへの斜めのパスのことであるとここでは定義していく。Jリーグのチームに比べて欧州のチームは、相手の守備陣形の中に入れ込むパスや相手の矢印の逆を取るパスが多いように見える。刺すパスは相手に奪われる可能性が高くなるが、局面を変える可能性も高い。サッカーを見る視点を増やすために、刺すパスに着目してはいかがだろうか。

刺すパスとは

 刺すパスとはボールがあるサイドから中央、または逆サイドへ対角への斜めのパスのことである。これは自分が定義したものなのでご理解いただきたい。言葉でいうとわかりにくいかもしれないが、刺すパスはサッカーにおいてあらゆる場面で見られる。例えば、ビルドアップにおいて右サイド側からCBが相手FWの脇を落ち運んだ場面。ここでの刺すパスとは、ボールがある右サイド側から中央に入れ込むパス、または逆サイドのボランチ脇、SBの方を狙った対角のパスである。相手の守備者を通過していき、陣形に差し込んでいくようなパスなので刺すパスと呼んでいる。

日本と海外の違い

 日本だと相手に奪われないように前進するのに対し、欧州だと相手が嫌がる攻撃をするという印象がある。その結果欧州の方が刺すパスが多く見られる。欧州が良く日本が悪いというわけではないが、このような違いがあると見ていて感じる。
 Jリーグと海外のサッカーを見ていて気づいた点になる。Jのチームよりも欧州のチームの方が刺すパスが多いように見える。それは攻撃における意識の違いがあるからなのではないか。日本では相手に奪われないように、後ろから徐々に作っていく意識が高いためなのか、刺すパスが多くないのに対し、欧州だと相手が嫌がる攻撃をするために、相手の急所となる位置(システムにより異なる)に入れ込んでいく意識が高いように見える。欧州が良く日本が悪いというわけではないが、このような違いが攻撃にあると見ていて感じる。
 先ほども例にあげたCBが持ち運んだ場面を例にする。Jのチームの場合、奪われずに前進するということは相手に触られないように近くに出すことにつながってくる。そうなるとボールがあるサイド側へのパスになってくる。
 ただ欧州のチームの場合、相手の守備陣系の中へ入れ込んでいくようなパスが多いように見える。刺すパスのメリットとデメリットについては後程説明する。リスクはあるがリターンも大きく相手を嫌がらせるプレーにはつながってくる。

刺すパスの特徴

 刺すパスには奪われる可能性が高くなるというデメリットがあり、通すためのキック力や受けるための立ち位置や技術などの能力が必要である。なので出さなければならないというわけではない。しかし相手の逆を取り局面を変えられるという大きなメリットがある
 刺すパスの特徴を説明する。刺すパスは相手を通過するようなパスになるため、相手に奪われる可能性が高くなる。かつ出す側はボールを蹴る能力、受ける側も立ち位置と受ける能力が必要である。
 ただリスクがある分、相手の逆を取れ、相手を動かせ、局面を変えることができる。例えば中央(ボランチ)の位置から相手のボランチ脇への斜めのパスを入れることで、相手ボランチの逆(背中)をとり、前を向ける。そうすればCBあるいはSBが出てくるなど誰かを引きつけることができる。このように斜めの刺すパスは相手の矢印の逆を取れ、誰かを引きつけることにつながり、さらに前へ前進することができるため、局面を変える効果がある。

まとめ

 このように刺すパスは中央、または逆サイドへの斜めのパスのことである。刺すパスは相手に奪われる可能性が高くなるが、矢印の逆を取り、相手を動かし、局面を変える可能性が高い。欧州のチームは、Jリーグのチームに比べて刺すパスが多いように見える。日本では相手に奪われないように、後ろから徐々に前進するのに対し、欧州では相手を困らせるために、相手の急所となる位置に入れ込んでいく意識が高いように見える。どちらが良い悪いではないが、サッカーを見る視点を増やすためにも、刺すパスに着目してはいかがだろうか。


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