現状の生成AIの能力
生成AIはどのエンジンでも、長文が苦手で、体験を下地にした、感動的な文章を書くことはおろか、SEO記事ですらまともに書くことは難しいというのが現状だ。
例えば、OpenAIの最新のエンジンGPT-4oであっても、執筆をすると、以下のような結果になる。(プロンプトは公開リンクで確認できます)
パッと見て、このままではだめだということがわかるだろう。1015文字しかないし、記事というよりは、これは「構成案」や「箇条書き」に近い。
控えめに言っても、コンテンツとして適切に項目が網羅されているとは言えない。
なお、SEO記事として3位に来ているwikipediaの項目を見ると、以下のような項目となっている。
(インターネット・バブル)
3467文字。
人間が編纂した記事だけあり、網羅性が高く、出典も記載されている。生成AIで作った記事とはかなり違う。多くの人が「生成AIの出力は、そのままは使えないけど、たたき台にはなるね」というが、まさにその通りである。
では長文に強いという触れ込みの、GoogleのGemini1.5proはどうか。
書かせてみると、以下のようになる。(プロンプトは公開リンクから)
残念ながら、Gemini1.5proであっても、GPT-4oとさほど変わりはない、というかむしろ、後半に「キーワード」や「この記事を読んだあなたへ」などの蛇足コンテンツが入っており、中身はGPT-4oよりも薄い。
字数にして、762字。とてもSEO対策記事としては使えない。
いったいなぜ、このような体たらくなのだろうか。
原因はいくつか考えられる。
では、これらの限界を突破するために、一つ一つ解決を試みてみよう。
1.はプロンプトの改良でなんとかなる。
単純に「●文字以上で」と指定すれば良いだろう。また、項目の網羅性を高めるために「Wikipedia以上の内容となるように」と付け加えてもいい。(プロンプトは公開リンクから)
Gemini1.5proで同じプロンプトで書かせてみよう。(プロンプトは公開リンクから)
2490字で、GPT-4oよりは内容が増えている。
が、よく見ると、「記事」としては良くない。網羅性を高めるためとはいえ、項目が増えただけで、記事としての内容が充実した訳では無い。
また、箇条書きが増えているだけと見ることもできる。
「字数を指定する」「網羅性を高めてほしい」という命令を追加しただけでは、望むような結果は得られないようだ。
では、「2.ユーザーが不十分な情報しか提供していない。」を解決してみたらどうだろうか。
例えば、Wkikipediaの文章を読ませて、ITバブル崩壊の記事を書かせると、内容は充実するのだろうか。
まずはGPT-4oで検証した。(プロンプトは公開リンクから)
文字数は1918文字で、Wikipediaより内容は薄いものの、情報なしで書かせたものに比べて、より良い内容となっている。
どうやら、補足情報を加えたほうが出力の精度は上がるようだ。
では同様のプロンプトで、Gemini1.5proでも出力させてみる。(プロンプトは公開リンクから)
1447文字で、前のプロンプトに比べて、箇条書きが少なく、一つ一つの章立ての中身は増えている。ただ、中身が薄いという点では、情報を与えてもあまり効果がなかったように感じる。
Gemini1.5proの場合は、外部情報を与えてもあまり改善されないようだ。
何かしらの情報を与えて、それについて書かせる際には、GPT-4oのほうが良いかもしれない。
では、プロンプトをもっと工夫してみよう。
生成AIに「人間が書いたような記事」を書かせる技術
では、これまでの経緯を踏まえて、プロンプトをさらに工夫してみよう。
そのためには、CoTプロンプトを用いる。
これは、AIに途中のステップを定義させて、クオリティを上げる方法だ。