早く良くなれ、自律神経

10月の訪れと共に、身体に不調がやってきた。寝付きが悪くなり、寝ても数時間で目が覚める。それも1時間おきくらいに。
ようやく熟睡できる時間が朝の身支度を整えるラスト・コールくらいなのだから、余計にタチが悪い。

夜中の中途覚醒は今に始まったことではなく、もう何十年という付き合いだ。よほどのことがない限り朝までぐっすり眠ることはないこの体質は、父方の遺伝なのかもしれない。ただ、目が覚める頻度が増えたことで体に疲労が蓄積されていく。

おかしいと思ったときにはもう壊れていた

休日は睡眠と覚醒を繰り返し、だいたい11時ごろベッドから起き上がるのだが、日を追うごとに12時、13時、14時と遅くなっていった。目は覚めているが体を起こすのが17時手前という日もあった。こんな生活をしていれば体の疲労は抜けるはずもない。
出勤と在宅勤務を繰り返し、在宅の日はごまかしながら仕事をこなす日々。いつしか眉間や額のあたりの神経が勝手に動くようになってきた。

約束がある日は一日こなせるが、翌日以降はまたぶっ倒れたように横になる。そんな繰り返し。「この状態、無理かもしれないな」と思ったときには既に時遅し。自律神経は完全にイカれてしまった。

止まらない過食、神経過敏になる毎日

中でも困るのが過食だ。翌朝のために買ってあるパンは夜中のうちに食べてしまう。なかったら真夜中でもコンビニに行って食べ物を物色する。外食で一人前の料理を食べ、家に帰る途中にコンビニに立ち寄り甘いものを買って帰る。それとは別で飲み物も常に手に届く範囲にある。
心の中では分かっているが、脳が言うことをきかない。「良くないのになあ」と言いながら深夜、ベッドから抜け出し電気をつけカップ麺をすすることもしばしば。副交感神経が完全にどこかに行ってしまった。

電車に乗れば色んなことが気になる。
ヘッドフォンからの音漏れ、電車内での通話、子供の泣き声、一つ一つが神経を刺激する。エスカレーターの横入りや脚を広げて座る人、音を立ててお酒を飲む人、気になる音が鳴るたびに音楽のボリュームを上げ、気になるものが目に入るたびに眉間に皺を寄せて目を瞑る。

街に出ても色んなことが気になる。
下校時に歩道横いっぱいに広がる学生、信号無視をする自動車、歩行者。普段なら気にならないことですら癪になる。

家にいてもそうだ。
趣味で続けているネット麻雀も、セオリー度外視の初心者にイラついてしまう。SNSの心無い言葉にも、感覚が合わずブロックしたインフルエンサーが話題にしたことも、気になって見に行ってしまう。当たり前だが神経過敏になる。

そうこうしているうちに、本当に眠れなくなった。自分の肌と布団や衣類が触れる感覚ですら気になる。時計の秒針の音も気になる。深夜国道を走る大型トラックの音も気になる。気がつけば4時、5時は当たり前になっていた。

分かっている、そんなこと気にしなくて良いことなんて。それまで気にしていなかったことだった。でも今は気になってしまう。

自分でコントロールができなくなった日

そんなある日、会社でとても理不尽に攻撃をされた。相手に悪意はないのは分かっているが、今の自分にそれを受け入れる余力は残っていなかった。社外の人もいるオンライン会議で声を荒らげ、その場の空気を凍りつかせた。
普段は温厚に接しているよう心がけていたが、限界だった。

次の出勤日、乗り換えの電車を待っていたときに訪れた感情。
それすら今は思い出せないが、無理を実感したその瞬間だった。

日々悪化する自律神経をどうにか良くしようと、神経内科に問い合わせたり訪ねてみるもどうも正しい処置には至らない。訴える症状に対しての明確な病名もなく、お手上げされるばかりだった。

観念して、心療内科を受診した。

診断書も書けるが断った

診断の結果、選択肢を提示された。一つは診断書を提出し、しっかり休む。一つは薬物療法をしながら、日々の生活を送る。迷わず後者を選択した。

12年前の今頃は、診断書を提出して休んでいた。昼夜が逆転し、陽の光を浴びることを恐れ、真夜中にしか行動できなかった。頼る人はいない中、それを再現してしまうのが怖かったからだ。
「気分を大人しくする薬」を2週間、処方された。副作用に眠気が残り、車の運転は厳禁とされる。1錠飲むのがキツいと感じ、半分に割って服用を開始した。
今日で1週間、先の3連休はほぼ横になって過ごしていた。久しぶりにオフィスで所定の時間労働もできた。当たり前だが本調子にはまだ至らない。

今、自分にできること

普段からよく連絡をとる仲の良い友人には、今の状況を伝えた。会社でも数人に把握をしてもらった。上司にもしっかりと状況を伝え、無理のない範疇で働くことを許可してもらった。
刺激の強いものは極力目に入れないようにした。ネットでの情報収集もごくわずかにした。ネット麻雀でオンライン対戦をすることをやめた。

まだギリギリを生き抜いているが、最悪の最悪に至らないようにすることが、今自分にできることだ。そして失った自律神経のバランスを取り戻せる日が1日でもはやく来ることを祈ってやまない。

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