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「ダブル0トップの正体」~2020.2.26 CLラウンド16 1st leg レアルvsシティ

お久しぶりです。noteでのアウトプットをできていませんでしたので、リハビリの意味も込めてビッグマッチのレビューを書いていきます。普段から僕のアウトプットを見られたい方はインスタをご覧ください。

インスタ→yuyahigashine

レアルはこの試合の数日後にバルサとのクラシコが控えている中でのシティ戦。それを考慮してかクロースがスタメンから外れました。一方のシティは、アグエロがスタメンから外れました。

この試合のスタメンはこちら。誰もがこの配置を予想しました。ですが。見事にシティ監督のペップは僕たちを裏切ってくれました。


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レアル十八番のクロースロール

キックオフ直後のシティのハイプレス、レアルのビルドアップ。これを見ただけでも両チームのレベル高さ、この試合に対する熱量が一瞬で分かります。そして、レアルは十八番のクロースロールを発動。クロースロールとは、ビルドアップ時にサイドバックが高い位置を取り、その空いたスペースにインテリオールが降りてくる形のことです。レアルのクロースがよくやるので、勝手に僕がそう呼んでいます。それにより、サイドバックと対峙するはずだった守備側のウイング又はサイドハーフが誰と対峙すればいいか迷うことになります。これを「守備の基準点を狂わす」と言います。これは超重要で、クロースロール以外にもいくつかあります。例えば、アンカーが二人のセンターバックの間に落ちる形も守備の基準点を狂わすためです。ヴィッセル神戸のサンペールもよくやりますね。

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レアルはこのように守備の基準点を狂わせにかかりました。開始1分の攻撃もクロースロールでボールを前進することができました。

奇策発動

開始1分50秒にシティは奇策を発動します。ジェズスとベルナルドの位置を変えるのです。ジェズスのサイドハーフは今まで何度か見てきましたが、ベルナルドの1トップは見たことがありません。

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レアルはハイプレスする時は上の図のように、オールコートマンツーマンをします。1vs1を10箇所で作ります。これはとても勇気のいることで、個の力が10人ともずば抜けて強いレアルだからこそできる戦術です。なぜなら、1vs1をどこかで負けてしまうと後手後手になる上に、後ろには広大なスペースがあるので一気にピンチに陥るからです。それをもカバーできてしまうラモス、ヴァラン、カゼミロがレアルにはいます。恐ろしいですね。Jリーグのマリノスもチアゴという後ろを全て掃除してくれるセンターバックがいたから攻撃的な戦術で優勝できました。個人的には昨季のJリーグMVPはチアゴです。

そして、シティはその対応策として1分50秒に奇策を発動。おそらく、これは予定通りだったと思います。開始からではなく、あえて数プレーさせてからというのもさすが戦術家だなと思います。何をしたかと言うと「0トップ」。「偽9番」とも言われたりします。その名の通りフォワードを無くします。

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デ・ブライネとベルナルドの2トップが降りることで相手のセンターバックを釣りだして、その空いたスペースにウイングが斜めに走りこみます。相手の守備力が高いセンターバックを相手ゴールから遠ざけて、相手サイドバックとの勝負に持ち込めます。なので、実質のフォワード(9番)はウイングです。

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仮に、センターバックが留まる選択をしてきた場合、中盤で4vs2の数的優位ができ、ビルドアップを容易にできます。これも、マークに付くか相手を迷わせることができます。フットボールで、相手を迷わせるポジショニングを取るのはとても重要です。一瞬でも迷わせると考える時間、判断する時間、プレーする時間が生まれます。

ちなみに、この戦術を毎試合行っていたのが、2010年頃にペップがバルサの監督をしていた黄金時代のバルサです。メッシが0トップをしていました。それを初めて行ったのは、CL決勝です。大一番で奇策を発動できるメンタルの強さもペップの魅力ですね。今回のシティはデ・ブライネとベルナルドの二人で0トップをしているので「ダブル0トップ」と呼びます。

ペップもアップデートしてきています。それを見逃さない、意図を読む。サッカーは日々進化しています。

フットボールを追求、探求する。学ぶ。

それは永遠に続きます。

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