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今オススメしたい海外インディアーティスト2021年3月編

アリエル・ピンクがドナルド・トランプの支持者による連邦議会議事堂襲撃事件の抗議集会に参加するという激震なスタートとなった2021年のインディ・シーン。実際の彼は変人そのものかと思いますが、勝手に裏切られたと感じるどころか、彼の作ってきた作品を叩き割る人もいるわけで、それを見てネガティブに「凄いな」としか思えなかった現代の分断を感じていたわけですが、私の方では新年に立てた目標の一つでもある自分のお気に入りのインディアーティストをnoteで紹介するというのはやっとこれで今年1本目。

そう、まずは自分自身を反省する必要があるのです。

Blue Bendy - Glosso Babel

UK・サウスロンドンで出会い結成された6人組、Blue Bendyの2021年初っ端にリリースした新曲はバンドの進化や今後の彼らを益々楽しみにさせる決定的な1曲となったような気がします。

2010年代以降のサウスロンドン。King Krule等に代表されるジャジーな空気感とThe Windmill周辺が牽引したギターロック。その双方を見事に融合するようにBlue Bendyは独特のテリトリーを構築し、予測不能なリズム変化と不協和音が響き渡るギターコードはDeerhunter同様に異世界へ誘ってくれる。この音が鳴る場所が暗いのか眩しいのかを判別できないけど、その居心地の良さだけはハッキリと分かる。

余談ですが、2月のSchool In Londonに遊びに来てくれたOuter Rim MusicのメンバーがBlue Bendyにインタビューしておりました。Outer Rim Musicは東京の現役大学生が運営するDIYなメディアで、海外アーティストに積極的に独自インタビューをしていて、素晴らしい行動力。こちらも今後楽しみ。


Personal Trainer - Muscle Memory

泣。泣。泣。
Personal TrainerのMuscle Memoryとだけ字面を並べると「何だ?筋肉思い出か?」と違う意味でドキドキしそうだけど、イントロギターの泣きラインで即ドキドキ。完璧からは程遠くも感じるかもしれない良い意味でのアマチュア感がこうした音楽の素晴らしい部分で醍醐味になっているかもしれない。

フロントマンのWillem Smitを中心としながらも、Canshaker Pi、Pip Blom、Bull、Steve French、The Klittens、Home Countiesなどのバンドからメンバーを入れ替えながらバンド活動をしているというが、それは決してWillem Smitのソロバンドというわけではなく、その時々で組み合わされたメンバーとの相互作用の中で起きる何かがPersonal Trainerをたらしめている。

Sports Teamがツアーでオランダを訪れた際のオープニングアクトで発見され、彼らが運営するレーベルHolm Frontと契約しなくてはと思わせたPersonal Trainer。僕らのドキドキは国境を越えて繋がっていく。


HighSchool - De Facto

インディロック魔境の地のオーストラリア・メルボルンからHighSchool。
アー写の雰囲気がちょっとSorryっぽくていいなあってとこから、Black MarbleやThe Radio Dept.流儀なヒンヤリとした心地良い温度感に去年から注目していたら、やっぱりキタわって感じでSo Young Magazineのプレイリストにも入っていたのが、やっぱりそうだよね?って感じで人知れずウンウンと頷くみたいな。

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去年の10月にリリースされた『New York, Paris and London』はCajun Dance Partyのような泣きの疾走感もあって本当に好き。11月のSchool In Londonでもこの曲は早速プレイしたし。

古くも新しい美しいモノクロ的な表現。僕たちが生きる人生はたかだか長くても100年くらいで、酒飲みな僕らは実際にはもっと短いんだろうけど、その中でもユースでいられるのは本当に短いから、その短い期間にこうした音楽にひたすらに取り組んでくれることに本当にありがとうと言いたい僕は全面的支持。本当に美しいです。

Chronophage - Abzurdity

アメリカ・テキサス州、オースティン(SXSWの開催地ですね。)を拠点とする3ピースバンド、Chronophage。ちょっと初期Iceageっぽいリズムの作り方にキーボードのピコピコ感なこの曲。やりたいことをグッと詰め込みつつもそのバランスを保ちながら自分たちのオリジナリティに落とし込むのはUK・ブリストルのPet ShimmersへのUSからの対抗馬とも思わせるほどに最高です。
Pavementももちろん最高だけど、Pavementに足りていなかった部分を見事に全部やってしまった感な興奮を感じられる側の人間で良かった。

Wombo - Sad World

DehdやDeeper、Mamalarkyなども所属している私の好みを最近殆ど外してこないニューヨークの私的絶好調インディレーベルことFire Talkから3月にレーベルが新たに契約したケンタッキー州のWombo。こちらも3ピースバンド。

隙だらけのギターリフとベースラインに変則的なドラム展開のコラボレーションが奇跡的なクラッシュを起こすかのように独自のクリエイティヴを獲得してしまったWomboのそれはThe StrokesとTahiti 80とThe OriellesとLithicsとDrug Store Romeosあたりのそれぞれのそれが出会ってしまったようなトリッピーなバンドサウンド。

こちらも2020年にリリースされていて、本当は2020年のうちに気付いておきたかったけど、そのドキドキを繋ぎ止めてくれるのがレコードかもしれないってことで新たに契約したFire Talkから7月31日に再発レコードがリリース。Yellow Vinyl、限定300枚です(※私はレーベルの人間でもレコード屋の店員でもありません)。


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最後に二つの宣伝があります。

① 4月21日に発売されるYard Actの国内盤EPのライナーノーツを担当することになりました。

ブログでも紹介したり、去年に知ってから殆どのSchool In LondonでのDJでもプレイしたりと超推しだったUK・リーズのYard ActがTugboat Recordsより国内盤EPを発売します。

ブログで文章を書くことはこんな感じで今までもしてきましたが、ライターでも無い自分がこんなにも素晴らしい機会を頂けて自分が一番びっくり。大変光栄で恐縮な限りですが、本当に大好きなバンドの作品に携わることができて嬉しいです。

調べれば調べるほど本当に面白い存在で、もっと彼らのことを好きになりました。ライナーノーツもその面白さが伝わるように書けたと思いますので、是非とも国内盤EPをご購入頂いて読んで欲しいなと思っています。大激戦だったレコード争奪戦に勝利した方も是非(私は"Peanuts / Dark Days"の7インチ買えませんでした・・・涙)。


② KiliKiliVillaのnoteでアルバムレビューを書くことになりました。

1月にリリースされたshameの最新作の『Drunk Tank Pink』のレヴューを既にリリースしていて、今後も月に1本ペースで掲載させて頂く予定です。

KiliKiliVillaとは元銀杏BOYZのアビコさんがチーフ・プロデューサーとして運営しているレーベルではありますが、そこで自分が好きな作品を選んでレビューを書かせてもらえるなんて、Yard Actのライナーノーツ同様に人生何が起きるか分かりません。自分が尊敬していて雲の上の存在にも感じていてた、ライターの方からこのお話を頂けました。

既にリリースしたshameのレビューは個人的になかなかの力作になったかと思うので、もしお時間あれば是非とも読んで見てください。


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そういえばスペインのMournの来日大阪ライブをSchool In Londonで主催してから2年が経っていました。

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コロナで海外アーティストのライブなんて状況は今は現実的じゃないかもですが、いつかまた大好きな海外アーティストのライブを企画したいですね。


いつもありがとうございます!

村田タケル


サポートは全てSchool In Londonの活動(ブッキング費用、遠征費用)に使用致します。