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年下君と"ほどほどの絡み"で我慢できた日
出社すると、年下君が何やら忙しそうに電話をかけていた。
仕事が立て込んでいるらしい。
あまり話しかけられる雰囲気ではなかったので、とりあえず普通に自分も作業を開始する。
しばらくして、年下女子ちゃんが私のところへ遊びにきてくれた。
昨日早上がりして美容院に行って髪をキレイにしたという年下女子ちゃんは、髪の美しさもさることながらとてもキラキラしていてまぶしかった。
すごく可愛かった。
そもそもいわゆる可愛い子なのだが、本当に今日は輝いて見えた。
長い髪にゆるいウェーブがよく似合う。
普段会社にあまりつけてこない濃いめのリップも、とても似合っていて可愛い。
…というのを全部口に出してしまった。
彼女の照れた顔も可愛かった。
ヘアメイクが決まっている女の子というのは本当に良いもので、こちらの気持ちまで高揚する。
ふと部屋の隅に目をやると、PCに向かってはいるがミーティングや電話はしていない年下君の姿が。
きっと話に入りたいだろうと思ったので、
「年下君にもキレイな髪見せに行こう!」
と年下女子ちゃんに声をかける。
「うん、年下君にも見てもらいたい!」
と笑顔の年下女子ちゃん。
二人で近づくと、年下君は疲弊しながらも嬉しそうに「おお、いいですねえ!可愛い」とリアクションをしていた。
「後ろ姿も可愛いから見て!」
と年下女子ちゃんをくるくる回す私。
…こらあれだわ、七五三を迎えた我が子を率先して自慢する親だわ。
「毛先にゆるくパーマかけたんですよ」
と髪をゆらす年下女子ちゃん。
手を伸ばしかけてひっこめる年下君。
絶対に触ると思ったが、流石に人前なので踏みとどまったようだ。
(飲み会で手相の話題になった時は遠慮なく触りに行っていたのを見たのでな…)
そのあと彼が
「リップも似合ってますね」
と言ったので、
「うわ同じこと言ってるよ!」
と笑ってしまったが、
「いやあんたたちがさっきから騒いでるの聞こえてたからですよ!」
と反論された。
なんだ、やりとり全部聞いてたのか。
やっぱり、話しかけられるの待ってたんだな。
いつもの三人できゃっきゃできたので、ちゃんと輪に入れてあげられてよかったなと思った。
そのあと、他の女子たちも入ってきて
「年下女子ちゃん髪キレイになったね!」
「めっちゃかわいい!」
と大盛り上がり。
こういうときはやっぱり女子だ。
細部まで変化に気づいて全部話してくれる。
年下女子ちゃんはさすがに恥ずかしそうにしながらも、みんなで話せて楽しそうだった。
ちなみに年下君は、
「僕も!最近髪切ったんですけどどうですか!」
と切り込んで笑いをさらっていった。
そうだね、君も最近散髪したんだもんね。
他の人たちにも知ってほしいよね、わかる!
周りの女子たちが笑いながら「かわいー」と声をかけてあげていた。
平和すぎた。
てっきりデレデレして終わりだと思っていたが、いや大変失礼いたしました、ちゃんと場を盛り上げるのに徹していたよ。
そういえば、年下君というのは基本"デキる"子で、私はめちゃくちゃ評価しているということを久々に思い出したわけで。
その後、年下君はそれはそれは真面目に一人で仕事に勤しんでおり、
「ああ、今日あんまり絡みに行く日じゃないんだな…」
と反省した。
昼食は、久々に誰も誘わず一人で食べに行った。
喋らないと食事ってすぐ終わるんですね。
ものの15分で食べ終えて帰ってきてしまった。
せめて息抜きになれば…と、帰り道に甘いお菓子を買う。
あとで差し入れしよう。
午後も粛々と作業して、どうやら今平気っぽいかな、というタイミングを見計らって、年下君にお菓子を持って行った。
「おお助かる…!今日外出られなくてパン3つしか食べてなくて」
という年下君。
いやパン3つも食べてればもう十分では、と思いつつも働き盛り男子には足りないのだろう。
「すいません食べますね!」
といきなりお菓子を食べ始めて猛烈に愛おしかったことを記録しておく。
ついでに仕事の話を少し聞いて、先輩らしく助言もして、あとは雑談に花を咲かせた。
最近同じドラマを追いかけていたり、語れるものがあってやっぱり楽しい。
ずっと話していたい。
でもやっぱり疲れている感じがするし、解放してあげたかったので、早めに切り上げて自分も仕事に戻る。
いつのまにかいい時間になって、年下女子ちゃんは先に帰り、私もぼちぼち帰り支度をして、年下君に「がんばってね」を伝えて帰路についた。
…今日はあんまり絡まずに過ごせたぞ!
ノー絡みは無理だったけど、そこまで邪魔せず自分の絡み欲もほどよく満たせたぞ!
年下君が忙しすぎてそこまではしゃぎモードではなかったために、余計な嫉妬も特にせずに済んだぞ!
…というわけで、ほどよい1日でした。
最近、「自立するということは、依存先がたくさんあること」といったような話を聞いた。
私の依存先は間違いなく年下君なので、そこばかりにならないようにする必要がある。
いまのところ「…or、ひとりになる」を選択してしまいがちだが、通常運転だし別に良いと思う。
ひとりはもともとお好きでしょう、自信を持って選択していきましょう!
明日も強く生きてみます。
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