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年下君が、世界で私しか見られないものを送ってくれたけど疑心暗鬼が止まらない

仕事中「お腹空きましたね」「食い行きます?」と年下君が誘ってくれたが、まさに今から私は会議…
というタイミングだった。

「今から会議だから1時間待てる…?」
とたずねると、
「なんで昼時に打ち合わせなんか入れるんすか!」
と言いながら
「待ちましょう!」
と言ってくれたので、待たせた。

ちょっと延長して会議が終わり、「ごめんご飯行こ!」というとすぐに財布を持って着いてきてくれた。

行き先も決めず漠然と歩き出してしまったが、そういえばいつも行列で入れないラーメン屋があるな…
と思い出してそこへ行くことに。

会社の人たちは一度は来たことがある店で、私も気に入っていたのでちょうどよいやと連れて行った。

奇跡的にすぐに入れた。

「何がおすすめですか?」
と聞かれたので定番メニューを答えて、私も同じものを注文した。

久々の人気店の味はとてもおいしかった。

年下君もだいぶ満足してくれた。

食べながら最近観た映画の話をしたり、年下君がこっそり送ってくれた「私にしか見せない秘密の未発表創作物」の感想を話したりした。

そうなのだ、そんなものを、年下君は私にくれたのだ。

飲みの席で伝えたらちゃんと週末に送ってくれたのだ。

本当に本当に嬉しかった。

いつか世に出るものかもしれないけれど。
本人以外は私しか観たことがないそうで、私はそこに大きな優越感と感動を覚えてしまったのだ。

その後も隙を見つけては仕事中に色々雑談して、彼の家のこともだいぶ話してもらえるようになり、距離感がどんどん縮まっていることを喜んだ。

そして今日は仕事がとても早く終わったので、お互いすぐ帰ってよく休もうね、という話をしていた。

同じタイミングで帰れるかな、と思ったら、私がお手洗いに立っている間に年下君が先に帰ろうとしたので、正直少し寂しくなった。

「帰りますね」
と言われたので、
「一緒に帰ってもいい…?」
と咄嗟に出てしまい。

自分でもびっくりしたが本当に寂しかったから口をついて出てしまったのだ。

年下君は「いいですけど、まだかかるならちょっと別のフロア行ってきますね!」
とそそくさとどこかへ行ってしまった。

ああ、共通の仲良しの年下ちゃんのところへ行くんだ、と思った。

別のフロアへ行く理由なんてそれしかない。

また寂しくなったけど気にせず着いていこうと思って後を追った。

年下ちゃんのいるフロアへ行くと、部屋から出てくる年下君とすれ違った。

思わず「あれ、年下ちゃんは?」と聞くと「え?わかんないです!」と言いながら出ていく年下君。

あれ?
じゃあ何しに来たんだ?

突如放置され途方に暮れるも、暇なので普通にフロアで年下ちゃんを探してしゃべりに行った。
(私は普通に年下ちゃんが好きで、年下君がここへくる前から彼女と仲が良いからだ)

年下君がいないならもう普通に帰ろうと思って、年下ちゃんに「一緒に帰ろう」と誘いに行った。

彼女は喜んで仕事を畳み始めてくれたので、よしじゃあ二人でこのまま帰ろう

と思った途端に
「○○君と屋上でタバコ吸ってます!」
と年下君からLINEが届いた。

なんだ…

帰りしなに別のフロアにいる男子を誘ってタバコに行っていただけなんかい…!!!!

と、少しだけ安堵した。

まあ、私を置いて普通に帰ろうとしたので、もう一緒にいすぎるの、いい加減飽きてるんだろうなあ…

というのは感じながら。

うん、さすがに毎日毎日一緒だとそりゃあもう、嫌だよねえ。
すいません…。

という気持ちで油を売っていたら年下君も年下ちゃんも揃ったので、3人で会社を出た。

「最近飲みすぎたよね」
「疲れたよね」
とふらふらしながら駅まで歩き。

ここでお別れ、のタイミングで
「じゃあ今日はみんな早く寝てゆっくりするんだよ」
と年長者らしく声をかけたところで、
年下君が
「釜石さん、一杯飲んで帰りたくないですか?」
と言い出した。

ああ、3人揃ったから急に帰るのが惜しくなったんだなと察した。

年下ちゃんは「疲れているのでお酒を飲まずにご飯だけ食べたい」と言い、ああそれは素晴らしいな!と私もすぐ同意。

かくして「お酒を飲まない晩御飯」を目指して夜の街を徘徊することとなった。

まずはファミレスに行こうとしたが、平日の夜でも若者が行列を作っており、入ることはできなかった。

「そういえばこのへんにおいしいハンバーグのお店あったよね」
と偶然思いついて私が発言すると、
「あったあった!」
と年下君がのっかる。

年下ちゃんは知らなかったが、確かに近くに有名ハンバーグ店があったのだ。

ナビで調べながら店に行き、3人でおいしいハンバーグにありついた。

めちゃくちゃおいしかった。

みんな笑顔で頬張った。

雑談から仕事の悩みからとにかくいろいろ、素面で話しまくった。

お酒を飲まなくても全然楽しいな、と実感できてとてもよかった。

年下ちゃんがいなかったら、彼はまっすぐ帰っていただろうけど、行けてよかったな。

そういえば、年下ちゃんが「辛い時は一人で泣きながらご飯を食べることがある」と言うと、「そういうときは誘ってくださいよ」と返していたな。
すぐ、年下ちゃんにはそう言うことを言うよね。

…と、最近妙に気になってしまう。

帰りの電車に揺られていたら、年下君からLINEで、私と年下ちゃんがそれぞれご飯を食べている写真が送られてきた。

ああ、年下ちゃんの写真を撮って個人的に連絡を撮りたいんだな、でなければ私の写真なんて撮る必要がないもんな…

とまた余計なことを考える。

ちなみに私はご飯に行くと高確率でご飯を食べる年下君の写真を撮るので、おそらくその感じで「こっちも撮っていいだろう」となったはず。

…やめよう、勝手に変なこと考えて落ち込むのは。

もしそうだとしても、今が楽しいからいいじゃないか。

年下君の楽しそうな写真も撮ることができたし、いいお土産になったじゃないか。

そのうちご飯に行くことも一緒に帰ることも当たり前ではなくなるかもしれない。

でも、年下君がなついて、信頼してくれているなら、多分私は大丈夫だ。

相手にはおそらくされていない。

でも好きなだけ、好いておこう。

好きでいるのは私の自由!!


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