じゅんくんコンカフェ


じゅん→(じ)
ひな→(ひ)



(じ)ただいま〜
えっ、なんでこんな部屋中折り紙とかペーパーフラワーとか風船とか飾り付けで賑やかなの?

ひな 手に持ってるスケッチブックに何かを書き込む

(じ)なに?何してるの?
「きょうはなんのひ?」?
あっ!俺の誕生日!
ごめん!最近新しい作品の台本覚えるのが忙しくて、頭からスッポリ抜け落ちてた!
良く良く床見たら
『じゅんくんお誕生日おめでとう!』って書いてある!
嬉しいよ!ひなちゃんありがとう!大好き!

ひな 続けてスケッチブックに書き込む

(じ)えーっと
「ありがとうo(≧▽≦)o 横にあるボードも見て」?
ボード?てか絵文字書くの相変わらず上手いね。
あっ。あった。
「じゅんくんコンカフェ」?
僕のコンセプトカフェ?なにそれ?
というかなんでひなちゃん。喋らないの?

ひな スケッチブックに書き込む

(じ)「キッチンの方も見て 話さない理由は後で説明するから今は気にしないで。」?
ごめんね。分かったよ〜 じゃあ今は気にしないね。
キッチンの方もすごい飾りだね〜
何このすとぷりが来てそうな服。
もしかして僕が着るの?
なんか勝手にひなちゃんがメイドさんみたいな事してくれるのかと思ってた(笑)

ひな スケッチブックに書き込む

(じ)「じゅんくんコンカフェなんだから、じゅんくんが店員さんに決まってるじゃん!私が客!
何となく分かった?もう質問大丈夫そ?」
あっひなちゃんを僕が迎えるんだね。
僕の誕生日だから変な感じするけど、ひなちゃんが一生懸命準備してくれた事だから
まっいいや〜
うん、もう大体理解出来たよ〜

ひな スケッチブックに書き込む

(じ)「良かった!それじゃあ」?

(ひ)じゅんくんお誕生日おめでとう!!
じゅんくん昨日の23時に演技の仕事で家出て行ったでしょ?
だから今日はまだ一言も会話してないじゃん?
じゅんくんの誕生日に1番最初にする会話は私からの「じゅんくんお誕生日おめでとう!」でありたかったの。
でもコンカフェのサプライズで
じゅんくんの頭の中?マークだらけになっちゃって。
家入った途端に質問されてそれに答えたら「じゅんくんお誕生日おめでとう」が最初の会話じゃ無くなっちゃうでしょ?
だからスケッチブックで会話してたの!

(じ)ありがと〜!
そう言う事だったんだ!汲み取れなくて本当にごめんね。

(ひ)別に怒ってないよ。
それじゃあ「じゅんくんコンカフェ」始めよ!
早くさっきの服着て!!


(じ)分かった!すぐ着替えるね!


(ひ)ちょっと!なんでここで。
私の前で着替えるの?

(じ)え?ごめん。でも付き合ってるんだし別に大丈夫かなと思って。

(ひ)そういう事じゃなくて、今日はコンカフェのお客さんと店員さんっていう設定なんだよ!
店員さんがお客さんの前で着替えないでしょ!?

(じ)確かにそりゃそうだね。ちょっと考えれば分かることなのにごめん。
洗面所で着替えてくるね。

(ひ)うん。そうしてよ。




(じ)おまたせ!着替えてきたよ!

(ひ)めっちゃ似合ってる!すんごく可愛い!!
あれ?小さい王冠も無かった?

(じ)これだよね?ごめん。付け方が分からなくて。

(ひ)これはね!ここをこうやって付けるの!
うん!可愛い!

(じ)ありがとう!そう言って貰えて嬉しいな!



(ひ)次はじゅんくんカフェで使えるお金。
通称ジュエルを渡すね!

(じ)あっこれ!ゲーセンに置いてあるこういうの↓

のお菓子の下に敷き詰められてるヤツだ!
これ好きだったんだよね〜
こんなにいっぱい嬉しい!


(ひ)違うよ!ジュエルだよ!!
なんでじゅんくんはそういう夢の無い事言うの!

(じ)ごめん。


(ひ)いいけど。
あっ、あとこれメニュー。


(じ)うん。
オムライスとかパンケーキとかのコンカフェっぽいメニューから
グラタンとかガバオライスとか僕の得意料理が書いてあるね!
あっ、という事はやっぱり僕がひなちゃんに作るの?


(ひ)だから私がお客さんなんだから当たり前じゃん!
何回言わせるの!?
それに私料理下手なの知ってるじゃん!


(じ)ごめん。でも一応僕の誕生日だし
あと役者の仕事終わりで少し疲れてるから今から料理作るのは少し辛いかな…


(ひ)じゅんくんの誕生日だから特別な事しようと思ってこのカフェの事考えてメニューも飾りも作ったんだよ!
このイベントを二人でやったら絶対楽しい時間が過ごせると思って!
この飾り達とその楽しい時間が私がじゅんくんに送るプレゼントなの!
こんな面白くて見た事無い誕生日イベント企画してくれる彼女他に居ないよ!!!
そもそも役者の仕事って言ったって映画のエキストラじゃん!
侍の沢村一樹に大勢斬られる中の1人じゃん!


(じ)ごめん。そうだったんだね。
そんなに色々考えてくれてたのに酷い事言っちゃってごめん。
本当にごめん!!

パァン!(風船の割れる音)

(ひ)あっ!
飾りの風船がじゅんくんの「ごめん」の「め」のツノみたいになってる部分で割れちゃった…。
折角頑張って用意したのに…。
じゅんくんの「ごめん」は軽くて浮いちゃうから気をつけてってあれだけ言ったのに。


(じ)ごめん。

パァン!(風船の割れる音)

(ひ)また割れた!!
毎日「ごめん」って何度も言うから部屋の天井「ごめん」だらけだし。
それに!本当だったら
「じゅんくんお誕生日おめでとう」って書いた物吊り下げたかったのに「ごめん」が邪魔で出来なかったから床に貼ることになったんだからね!


(じ)そうだったんだごめん。本当にごめん。

パァン!パァン!(風船の割れる音×2)

(ひ)もういや!!とにかくごめんってもう言わないでよ!!

(じ)ごめん。

パァン! (風船の割れる音)

(ひ)だから!言うなって言ったじゃん!!
もう辞めた!!折角2人で楽しい時間送れると思って頑張って用意したのに台無し!
最悪!!


(じ)僕は昔から人を怒らせ易い性格だから、
その人を怒らせる前にごめんって言わないとイケナイって思っちゃうんだ。
しかも、僕が思う「ごめん」って言わなきゃいけないタイミングが
遅いから怒らせ易いんだと思って。
だから僕が思う「ごめん」のタイミングより2個前で「ごめん」って言ってるんだ。
色々僕なりに考えてはいるんだけど、またひなちゃんを傷つけちゃって本当にごめん。

パァン! (風船の割れる音)


(ひ)貴方が思う「ごめん」のタイミングの2個前で「ごめん」って言ってるって事は
その時貴方は「ごめん」って思ってないって訳じゃん!
だから貴方の「ごめん」は軽いし人をイラつかせるんだよ!
それに貴方は周りや私の事を怒らせないように気を使ってるつもりかもしれないけど
結局貴方が人に怒られたくないだけなんだよ!
自己中な考え方なんだよ!

(じ)ごめん。そうかもしれないね。

パァン! (風船の割れる音)

(ひ)もうとりあえずいいから。とにかく窓開けて。


(じ)え。でも。こんな事しちゃっていいのかな…?


(ひ)だってそうするしかないでしょ。こんな部屋で生活出来ないし。

(じ)そうだけど。

(ひ)もう本当ウジウジ腹立つな。
いい。私が開ける。


ガラッ (窓を開ける音)


部屋の中から沢山の「ごめん」が
窓の外へ。夜空へと登って行った。







僕はアオト イン ティラミスというバンドでギターボーカルをしています!
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