悲劇のヒロイン

昨日、久々に地元のさきちゃんから電話がかかってきた。


高校時代、私とさきちゃんはとても仲が良かったんだけど、私が上京してからはめっきり連絡が途絶えてしまっていた。



地元の大学に進学した彼女は上京したての私のことをやけに心配してくれたし、ほぼ毎日のように連絡を取り合っていたんだけど、いつしかそれも来なくなってしまった。


いざパタリと連絡が来なくなってしまうと胸にぽかんと穴が空いてしまったような心地がして少し悲しい。かと言って私の方からわざわざ連絡することも無い。いつも話題を出してくれるのはさきちゃんの方だし、ただ彼女の話を聞いて何となく同調して合図地を打ってあげるだけで会話は成立していた。




彼女は特に人の話に興味を持たないし、私も自分の話をするのがあまり得意ではない。ちょうど需要と供給がマッチした関係だったのだ。


そんな彼女からおよそ3ヶ月ぶりに連絡がきた。内容は高校時代から付き合ってる彼氏と別れそうというものだった。この話はもう何度も聞いているし、極力彼女の意見を肯定してあげて、押し付けがましくならないように客観的な角度からその彼氏に物言いつける術も身につけている。そうすれば彼女も気を悪くしないし、どうせ数日後にはまた仲良くなっているのだから。


彼女に加担しすぎてもいけないし、かと言って引きすぎてもいけないちょうどいい塩梅がある。



あくまでこれは友達に愚痴を垂れることでしか救われないこんな不幸な私を見て!というさきちゃん作・演出の壮大な悲劇のヒロイン物語なのです。


ゆうか