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結婚して1年の心境

夫と結婚して、早いもので1年が経つ。この一年間、私の心境はいろんな面で少しずつ変化していった。私はなんでもすぐに忘れてしまうので、覚えているうちに書き残しておく。

結婚して家族になるということ

正直これを甘く見ていたかもしれない、と思う。
子供が産まれればまた話は別なのかもしれないが、お互いに仕事があって趣味があって、それまでそれぞれの生活があった二人だ。生活基盤がしっかり築かれた状態のいい歳の男女が結婚したところで、良い意味で人はそんなに変わらないでしょ、と思っているし、私の信条としてそう思いたかったのかもしれない。
けれどやっぱり自分たちの親世代にしてみればそんな簡単な話ではないようで、私のその辺りの認識の甘さが招いたあることがきっかけで実家の母に苦言を呈され、去年の今頃は入籍直前にも関わらず10年以上ぶりに母と大喧嘩した。両家顔合わせを経て一応雪解けはしたが、この一件以降しばらくは「家族になるって、めちゃくちゃ重圧かも...やっていけるかな私......」「籍入れずにこのままシングルの方が楽だったのかな..........」と、いわゆるマリッジブルーのような状態に陥っていたのを思い出す。

でもそんな沈んだ気持ちでいる間にも、結婚を決めたら怒涛のように襲いかかってくる「ちゃんとやらなきゃいけないイベント」たち。周囲への結婚報告、両家への挨拶、内祝いの手配、季節の行事、お互いの親戚へのお祝い事やお悔やみ事への対応......とにかく一つ一つ対応するだけでもかなりの気を遣った。大丈夫でしょ、という顔をしていながら、内心かなりビビっていた…というか、また何か親の地雷を踏み抜くんじゃないかとビクビクしていた。今思えば、なんやねんそれ、って思えるんだけどね。
それでもやはり人というものは段々と慣れてくるもので、初めましてをしてから約一年経っても緊張していた義実家でも、最近は少しずつリラックスできるようになってきた。昨年の年末年始に義実家に帰った時、ゆく年くる年を見ながらみんなでお酒を飲み、年が明けた瞬間に「あけましておめでとうございます」と言い合った。普段口数の少ないお義父さんに、「去年まではこんなことしてなかったんだよ。ゆいちゃんが来てくれたおかげだね」と言われたのがとても嬉しくて、しばらくその言葉を反芻していた。
私は家族イベントとか親戚付き合いとかに疎く、なおかつ人に気を許せるまでとても時間がかかるタイプなのでこの歳から新しい人間関係を築くのは正直しんどい。でも嬉しいこともあるもんだなぁと思う。苦手ながらも、これからも一つ一つそういうことを積み重ねていけたらいいなと思っている(というか、頑張るしかない...)。

あとは純粋に、「この人と家族になったんだな」と思うことがぽつぽつと出てきた気がする。一人暮らしも大好きだったけど、今は実家に住んでた時みたいな安心感があって、私の「安心」の対象は実家の家族から夫になったんだなあと、たまにしみじみ思ったりする。

子供のこと

子供を持ってもいい、と覚悟ができるまで1年掛かった。
「持ってもいい」というよりは、「私が妊娠出産をすることへの覚悟」が正しいな。

結婚する前から子供は授かれたら嬉しいなと思っていたし、私はきっと母親に向いている。子育てはそりゃあ大変だろうと思うけど夫と一緒ならたぶん大丈夫だし、楽しめるかもなと思っている。だけど、「妊娠して出産するのは私」という一点だけがずっと受け入れられなかった。こんなこと言ったら反感買うかもしれないけど、「夫が妊娠してくれるのなら喜んで妊活するのに」と思った。最低かもしれないけど本当にそう思った。夫には話してないけど、私の心の中では結婚して割とすぐこの問題に直面した。

社会に出てもうすぐ10年。仕事も毎日そこそこ楽しく、海外出張なんかも行かせてもらえるし、稼ぎも夫婦同等で、自分で好きな服買って。時には会社の人としこたま飲みに行ったり、夫婦二人で奮発して美味しいもの食べに行ったり。私はこの穏やかながらも充実した毎日が好きだ。

だけど私が妊娠したら?
病院で「妊娠してますね」と言われた直後からつわりに襲われて、機嫌よく働いているこの毎日が、地獄のように辛い日々に変わるかもしれない。そうなったとき、私はどう思うだろう。
自分の意思では到底コントロールできないことに立ち向かわなくてはならない、それが私にとってはとんでもなく怖いことに思える。でも子供を持つには私がやらなきゃいけない。乗り越えなきゃいけない。この一年、とにかくそこに辿り着くのに時間を割いた。

今でも辿り着けたのかは正直わからない。だって今でも怖いから。でもどこかで腹括るしかなくて、だったらもうここから先はちょっと頑張ってでも次のフェーズに移行して、そこからまた考えていくか。32歳の誕生日までは仕事に集中させてと夫にお願いして、先日誕生日を迎えてやっと次のステップを解禁した。
避妊をやめて1周期目、排卵から生理が来るまでの2週間でまた目まぐるしく考えが変わっていった。ああやっぱり怖いな、妊娠したらどうしよう。でもしばらくしたらそんなのすっかり忘れて今まで通りに過ごしていて、生理直前になったらまたぐるぐると思考する。柄にもなく「もし検査薬で陽性を見る日が来たら、意外と喜べるかも…」なんて想像を膨らませたりもした。まあ、そんな簡単に授かれるものではないのだが。

そんな風にグチャグチャと考えていた矢先、直近の生理で経血の量があまりにも少なくなっていた。怖くなって病院に行ったところ、多嚢胞性卵巣症候群かもしれない、と言われた。排卵障害の一種らしい。特に何をすべしというのはなく、対処療法しかないとのことなので、妊娠を望むなら排卵誘発剤を飲むことになるそうだ。女医さんのいる病院を予約したらたまたまそこが不妊治療も行っている病院だったため、既婚で妊娠希望ですと伝えたところあれよあれよという間に不妊治療にスイッチ。血液検査を受けたら今度は甲状腺の値が少し高いね(妊娠を望む女性の理想値は2.5以下と言われているところ、3.6くらいだった)、とのことで、今度は甲状腺専門病院紹介するから念のためだけど精密検査に行ってね、とのことになった。うーん、先は長そうだ。
とはいえ、自分の体に向き合うことから始めた今は、とても穏やかな気持ちでいる。私にとっては、これも必要なステップだったのかもしれない。まあ気長に行きますか、と思っているが、誘発剤飲んだら意外とすぐ授かったりする可能性も…もちろんゼロではない。とにかく今は自分の体に向き合いながら、少しずつ気持ちを整えていくことにしよう、という気持ち。


とりあえずはこんな感じですわ。この先も多分いろいろあるだろうしそれに伴って考え方も目まぐるしく変わるんだろうけど、こういう自分の「思考の跡」みたいなものはあまり忘れずに大事にしたいなと、思う最近です。

結婚1周年のお祝いは代官山の老舗フレンチ「マダム・トキ」で。もちろん王様のレストラン見てから行きました。

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