見出し画像

ヒップホップ名盤を聴く③

ヒップホップ名盤お勉強シリーズ第3弾。改めて聴き返したもの、初めて聴いたものが混在していますが、どれも新たな魅力を知ったものばかり。まさに名盤の名に恥じぬ内容よ‥。
以下に過去の記事も貼っておく。

第1弾

第2弾

Warren G / Regulate... G Funk Era (1994) 

画像1

トラックがAORでめっちゃ気持ちいいやつ。Gファンクのゆるい横揺れ感と浮遊感のあるシンセの組み合わせが最高。M1「Regulate」から最後まで素晴らしすぎて、詳しくないけどSnoop Dog「Doggy Style」と並んで個人的GファンクアルバムNo.1の座に君臨するレベル。西海岸のこの頃はギャングスタラップが隆盛を極めようとしていた頃だと思うけど、これはマッチョでヤンチャな感じはせず、シティポップが流行っている現在にも非常にハマるのではないでしょうか。だんだんジャケットもめちゃめちゃお洒落なものに見えてきた・・。さすがDr. Dreの弟。

Pete Rock & C.L. Smooth / The Main Ingredient (1994)

画像2

90年代前半〜中盤のNYシーンのヒップホップは本当にすごいなと思わせる一枚はPete Rock & C.L. Smoothの2枚目でラストアルバムです。いきなり1曲目からATCQ「Verses From the Abstract」のサンプリング、そこからのM5までの流れは本当に素晴らしい。というか全曲ヤバい。M11「Take You There」とか大好きすぎる・・。アタック感強めでダイナミック、かつ洗練され無駄がないビートは90年代ブーンバップの中でも最良のもので、そこへのジャジーでソウルフルなサンプリングがたまらない。あと、メロウなシンセ?のウワモノが全体的に上品なアルバムに仕上げているキモな気がする。昔聴いた時はここまでピンとこなかったな。ATCQの2ndと並ぶ金字塔。

The Pharcyde / Labcabincalifornia (1995)

画像3

若きJay Deeの出世作として有名なThe Pharcydeの2ndアルバム。Jay Deeに引っ張られたのか、本人たちがそうしたかったのかはよく分からんが、1stで陽性のヴァイブスを振りまいていた姿から一転、本作はかなりダークでクールな雰囲気の一枚。この変化って、ATCQの4thや5thで見せる姿と被ってくるところがある(やっぱりそれもJay Deeが絡んでいる)。M4「Runnin'」、M9「Drop」がやはり強い。

2Pac / Me Against the World (1995)

画像4

なぜか2Pacにはこれまで縁がなかった。東西抗争で人気絶頂の最中殺害されたスーパースターって前情報はずーっと前から知っていたけど、なぜか彼の音楽は聴いてこなかった。聴いてみると、声についてはドスが効いててかつ籠ったような強面の人の声という、ある意味イメージ通りだったが、トラックはなかなかにスムーズなGファンク・R&Bサウンドで、内情的でメロウな作風がかなり意外だった。東西抗争などの前情報からかなりバキバキにキメた内容を想像してたので、そこについては結構面食らった。ほのかに香るラグジュアリーさが良い感じでビシバシ韻を踏んでくるライミングも本当にクール。うん、確かにこれは名盤で、90年代を代表するクラシックだと思う。

Outkast / ATLiens (1996)

画像5

憂いを帯びたサウスヒップホップ。後の「Aquemini (1998)」、「Stankonia (2000)」のハッチャケっぷりと比較するとビックリするくらい寂寥感がある。Stankoniaから遡って追ってきているので、こんなに大人しい、ある意味大人なアウトキャストには正直面食らった。それにしても、彼らのラップは独特で面白い(特にアンドレ3000)。英語が苦手な自分にとって、彼らの早口なライミングは歌詞を追いながらでもついていくのが難しいが、韻の踏み方の自由度が高いように感じるので(詳しくは知らんけど)、普通に音を追ってるだけで楽しい。

Bush Babees / Gravity (1996)

画像6

ネイティブ・タン勢に数えられるニューヨークのラップグループの2ndアルバム。メンバーはジャマイカやトリニダードで育ったらしくレゲエ等からも影響を受けているらしいが、このアルバムでもM12、M13はその影響が強い。最も特筆すべきはネイティブ・タンからの手助けで、特にThe Ummah(Q-Tip, Ali shaheed, Jay Deeからなるプロダクショングループ)の作る硬質なビートがとってもそれっぽく、ATCQの4枚目等を思い起こさせる。また、当時無名だったMos Defが3曲(M1、M7、M10)に参加していることで有名で、なかなかの存在感を発揮している。

DMX / It's Dark and Hell Is Hot (1998)

画像7

ジャケが上裸で筋肉・タトゥーアピールってところがザ・ヒップホップって感じだ。このアルバムがDMXのデビュー作だが初登場で1位を取るほど、米国では超人気者。というかこの後5作目までチャートで1位を取るほど、90s後半〜00s前半の売れっ子ラッパー。全く知らなかったぞ‥。ただし、どうも動物虐待、薬物、武器の所持等、複数の逮捕歴があるという、自分が昔ヒップホップに対して持っていた悪いイメージを体現するかのような存在でもある‥笑。アルバムの内容も、狂犬のように吠えて噛みつきそうな、殺気立った勢いを感じる。まあ正直自分にとってはマッチョ過ぎる気もするんですが、当時のメインストリームの空気感を存分に味わえる一枚のように感じた。余談ですが、Kendrick Lamarはこのアルバムを聴いてリリックを書き始めたらしいよ。

補足:2021/4/9、オーバードーズによる心臓発作で亡くなったとのこと。せっかく最近知ったのに悲しい・・。安らかに・・。

Kanye West / 808s & Heartbreak (2008)

画像8

最近、かなり再評価が進んでいるカニエの4枚目。なぜ再評価が進んでいるかって、雑に言うとこのアルバムのカニエはラップよりも歌いまくっているからというのと、オートチューンかけてまくっているからってこと?のようだ。このあとにDrakeやWeeknd、Frank Oceanが登場することを踏まえると、このアルバムの影響力は相当大きいということである。この悲しみに溢れたアルバムは、母の死と妻との離婚というダブルパンチを喰らったカニエの当時の心情をこれでもかというくらい表している。本当に、前作の自信満々なパワフルさから打って変わって悲哀に満ちており、従来の「ボースティングしてこそヒップホップ」みたいな価値観とは対極にあるアルバム。当時はかなり賛否があったらしく、まぁ否定する意見もわからんでもないが、今聴くと結構すんなりと馴染むのは、たぶんこのアルバムに影響を受けたアーティストの楽曲をたくさん聴いてきたからだろうな。

Tyler, the Creator / Wolf (2013)

画像9

Odd Futureでやんちゃしてた頃のタイラーの2枚目。この辺りはちょうどEarl Sweatshirtの「Doris」やFrank Ocean「Channel Orange」がリリースされた頃で(これらはともに2012年)、Odd Future勢が如何に勢いに乗っていたかがわかる。猟奇的で整合しないスタイルがこの頃のタイラーの特徴だったが、(このアルバムでも同じスタイルがベースではあるものの)いくらかその色が減退し、バカっぽい曲とか、とっつきやすい曲が増えている。なので、今作は前作の「Goblin」よりは聴きやすいと思う。アップテンポで攻撃的なM5もいいが、メロウなトラックに野太いタイラーのラップが光るM4、M6などが後のアルバムにも繋がる真骨頂だと感じた。ちょっとランニングタイムが長いのが減点要素かな・・・。それにしても舐めたアルバムジャケットである。


最近少しずつヒップホップ聴くペースも落ちてきたけど、まだまだやります。少なくとも今年一年は継続するぞ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?