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「私」でいるための、闘争と逃走

12月1日(土)19:00-22:30に、下北沢にある『BOOKSHOP TRAVELLER』にて【本屋の未来を語らない】というイベントを開催します。
本や本屋に関わる2人のトークライブ、パフォーマンスや展示など、普段とは一味違う知的で不思議な本屋さんが表れます。
この連載ではトークライブに出る木村と、パフォーマンスで出演する國立、日菜子の3人がインタビューのような、雑談のような、お互いの人柄を知っていく様子をまとめました。
初回:感情を溜めておくために、パッと線を引くみたいに言葉を置くんです。
2回:私の才能が「それはつまらないよ」って語りかけてくる
3回:陶芸家、華道家、画家、彫刻家、わたし
4回:音読を聞いただけで、教科書1冊暗唱できたんです
前回:職人気質の正体とおもちゃ箱


後回しにしたくなくて、今すぐやりたいんですよ

國立:私は日菜子さんのスピーディーなところはすごいと思うし。実行力は彼女の方がすっごい強いと思う。なんでかって言うと……大学時代の話していい?笑

日菜子:なんだろう、怖い怖い怖い。笑

2人は同じ大学で、國立さんが立ち上げたサークルに所属していました。

國立:プロジェクションの舞台を初めてやったのが大学生の時で、その時に一緒にタッグを組んだのが、彼女なんですよ。

日菜子:うん、そうだったね。

國立:その時は私が「こんなことをやりたいんだよね」ってぽろっと言ったら。そしたら「借りてくるわ~」って言ってた彼女がとっとと行っちゃって。笑

日菜子:えー、そうだっけ~?全然覚えてないや。

國立:「借りれる?」って聞いたら、「借りれるよー」って言って借りてきてくれて、それで投影したのがはじめてなんですよ。部屋とかも最初に全部借りてきてくれたのは彼女で。

日菜子:あ〜。

國立:それも実は彼女しかできなかった理由はあって、メディア学科だったからっていう。その学科しか使えない資材だったからっていうのはあるんだけど。

日菜子:でもね、それ最近少し落ち着いてきた。当時はその場で全部やりたい人だったんですよ。いません?そういう人?

木村:わかる、いるいる。笑

日菜子:なんか後回しにしたくなくて、後でやっておくねじゃなくて、今やっておきたい!って感じ。

木村:おれは結構考えちゃうタイプだったから、そういう人みて「こういう感じでもいいんだな」と思って頑張って身につけたかな。

日菜子:でも私はこれで結構痛い目みて。相手がちょっと呟いただけのことだったのに、勝手に進めてしまって、「え?なんで勝手なことをするの?」みたいなことがあったりとか。私も痛い目みて少しずつ学びました。笑


「私」でいるための、闘争と逃走

木村:なんか、面白いね。2人ともそれぞれ、幼少期から持ってたものの延長線として、今の作品があるんだね。自然体の自分がちゃんといるというか。よくあるのはさ、学校とかで矯正されちゃうみたいなのもあると思うんだけど。

日菜子:無理やりピアノやらされる、とかですか?

木村:いや、というよりは学校とかで、本当は別のことがしたいのに、先生に「こうしなさい!」とか言われて、自分の本当のスタイルではないことをやらされるというかさ。したくないことをやらされるとか。

國立:あー、まあね。

木村:今でこそ「うるせぇ!」って言えるかもしれないけど。笑。ずっと抗ってきたのか、途中で元いたルートに戻ってきたのかはわからないけど、話を聞いてると今の2人はきちんと自分のルートというか、スタイルの延長線に自分を置いてるなって印象だな。

國立:それでいうと、抗ってたこともあるのかな。絵画でよくあるんですけど、先生が「こう描きなさい」って指示するんですよ。

木村:正解が決まってるみたいな。

國立:その時に「なんでそうなんだろう」ってすっごい考えて、先生の言いなりになりたくなかったのはあるかも。1回描いてみて、本当に良いものができたらそれでいいけど、納得いくものができなかったときは、(自分に判断力がないとダメだと思って)貫き通したっていうのはあるかな。

木村:それはいつの話?

國立:高校生と、あとは大学も。大学は入学する前に思ってたのと全然違って。アートプロデュースって、作品を作り上げためにプラン立てたり、プロセスを客観的に見て判断したりする技術を勉強すると思ってたのに違って。それこそ無法地帯みたいなところに放り込まれて。

完全データ管理世界に天気予報士なんていらない。
デジタルVSアナログ。ピクセルVS桜吹雪。

木村:無法地帯って。笑

國立:放り込まれて、みんなの内面をさらけ出し合うみたいな。1回戦争について話したことがあって。クラス20人くらいで椅子をぐるっと円形に並べて議論するんです。朝の1時間目から「はい、じゃあ戦争について話しましょう」から始まって。

木村:へええ。

國立:そしたらもう、無法地帯なんですよ。『戦争はなぜ悪いかって言うと…。』って言う話も出るし。『なぜ戦争を悪と言えるのか』とか。『じゃあ止める為には如何するの』とか、皆でガーッと話し合うんですよ。
それが2時限だから3時間ずーっとそれをやっていて、途中泣き出して嫌がる子もいたし…。

木村:嫌がる人も居るよねやっぱりね。

國立:自分の内面を見ることになるじゃないですか。相手と全然違うことに感じているのに、相手に合わせすぎちゃうと、自分の心が段々ズタボロになってくるって気づいて。「あ、だめだ」って思ったんだよね…。

日菜子:そうかぁ。

國立:我の強さと言うか、「自分はこう思う」っていうのを大事にしないと、自分を守れないと感じる事は結構あったので。それを繰り返すなかで今の性格が形成されちゃったのかな。

木村:やっぱり、戦いながら自己形成するタイプなんだね。

國立:嫌だけどね、ほんとは。調和したいって思っていて。ただちょっと、その場所が悪かったと今でも思っているんですけど。

木村:そうだと思うよ。

國立:戦ってるばっかりだと疲れるじゃないですか。その結果いい作品ができるならいいんですけど。体力的にも衰えて、質にこだわる時にやっと調和を考えてくる。…でもさ、日菜子さんも結構反抗的なタイプじゃん。

日菜子:え~っ…。私はなあ。

木村:日菜子ちゃんの方がもっと器用にやってる気がする。「そうですねふふふ~♪」とか言って。しれ~っとこう、スーッといって。笑

日菜子:今のが戦いだとすると、私って本当、逃げながらだなって確信した。私は中学くらいの時に絵が好きで、とりあえすマンガを描きまくってて。なんだったんだけど、ちょっとまあ、家族との話し合いで、なぜか「大学はちょっといいところ行きましょうよ」みたいな感じになって。

木村:美大の中でってこと?

日菜子:いや…美大とかではない、普通の私立大学。で、じゃあ私勉強で何が出来るんだろうって考えた時に、歴史が得意だったんですよ。だから一生懸命やって、クラスで成績トップくらいまでいったんですよ。そしたら上のクラスに入れられちゃって、そしたらもう全然太刀打ちできない。
「私勉強できねぇ!」と思ったら学校行けなくなっちゃって、そのまま2年間不登校。それで親に「美大いきな」って言われた瞬間「ハ~イw」って復活。笑

木村:心身ともに美大を求めてたんだね。

日菜子:ある意味、私は「学校に行け」と言う言葉と戦ってたのかもしれない。ひたすら逃げまくって。「できなーい、できなーい。」って言って。

國立:でも心の中では相当戦ってるよね。逃げるって言うけどさ、戦いながら逃げてるじゃん。

日菜子:やわらか戦車なんだよ。

やわらか戦車は ネットアニメーター・ラレコ氏によるFlashアニメ。および、その登場キャラクター。 戦車なのに『やわらかい・非武装・ヘタレ』というべらぼーにゆるいテンションのゆるキャラ。

國立:全然柔らかくないでしょ(笑)だって、君、作るもの結構強いもん。それって多分さ、気質が強いんだよ。逃げてばっかりです~って言ってるけど、全然逃げてないと思う。それは外からの攻撃なのか、自分の中からの攻撃なのか、わかってないのかも。

日菜子:自分の攻撃な気もするんですよ。自分で勝手に、「こうしなきゃ」って、自分で決めて戦っているっていうか。だって、大学なんて何処でも良かったじゃないですか。なんか、そうしなきゃって思い込んで、自分で敵を作って、それと戦ってるみたいな。

國立:で、それと逃げながら色々回ってるみたいな。

日菜子:そうだね~、でも、美大行くって決まってからは人生楽しかったです。


とにかくつまらなくて、不登園だったよね
につづきます


お知らせ
12月1日(土)19:00-22:30に、下北沢にある『BOOKSHOP LOVER』にて【本屋の未来を語らない】というイベントを開催します。

詳細はこちらのイベントページへ

イベント名【本屋の未来を語らない】

▶概要
どんな未来になるか語っても、予測することはできません。どんな未来を作りたいか考えて、そのために行動する。
本屋さんの未来は自分たちで作ることができます。トークライブやパフォーマンスや展示など、普段とは違った本屋さんを作るイベントです。

▶日時
12月1日(土)19:00-22:30

▶タイムテーブル
19:00open
19:30start
19:30-20:00 第1部トークセッション
20:00-20:10 休憩/交流
20:10-20:50 第2部 パフォーマンス
20:50-21:05 休憩/交流
21:05-21:45 第3部 パフォーマンス
21:45-22:00 休憩/交流
22:00-22:15 第4部 パフォーマンス
22:30-23:00 交流
22:30 close

※途中参加・途中退出可能です。
※タイムテーブルは当日変更になる可能性があります。

▶内容
1.トークセッション
BOOKSHOP LOVER 和氣さん×korekore木村さん

2.パフォーマンス
イベントページ内で随時告知していきます。

3.展示
イベントページ内で随時告知していきます。

▶参加費
一律3,000円(1ドリンク付き)
パフォーマンス参加、展示参加、一般参加全て一律料金になります。

▶会場
BOOKSHOP TRAVELLER

▶住所
東京都世田谷区北沢2-26-7アパートメントストア1F

▶参加募集
(1)パフォーマンス出演
1組あたり最大10分になります。
参加費は参加人数×3,000円が必要になります。機材はスピーカーのみご利用頂けます。

(2)展示
絵画、写真、イラストなどジャンル、テーマを問わず募集しています。
出展スペースは90cm×90cm目安、点数はスペースに収まれば何点でも大丈夫です。
販売可能、販売手数料なしになります。
展示に必要な機材(釘、金槌など)は各自持参でお願いしています。
細い釘、虫ピン、押しピンは使用可能です。(太い釘は使用できません。)

▶ポスターデザイン
大鐘ハル(HRQ RECORDS)
https://twitter.com/haru9pic

▶主催
劃桜堂(かくおうどう)

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