屁をこいで、みんなを幸せにしようと思った話

久しぶりの実家だ……
嫁を連れて帰ってきた……

何年ぶりだろうか……

変わらない風景と、変わらぬ匂い……

3日前と変わらない……

玄関では愛犬のタロ(白のラブラドールレトリバー)が出迎えてくれた。

これでもかっ!!っていうくらい、尻尾を振って、体を擦り付けて、全身で嬉しさを表現している。嫁に。

俺には見向きもしない。

悔しいから無理やり引っ張って俺の方に抱き寄せて、なでなでしまくったら「グルルルゥゥ!」と怒りはじめたので、手を離した。

リビングからおかんが顔をだす…

「あら~いらっしゃい!ほら、ここに座って!飲み物でもだすから!」

といって嫁だけ誘導される。
タロは尻尾を振って嫁とおかんについていく。

しかし、ここは俺の実家だ。もともと住んでいた場所だ。

呼ばれていないが、俺は堂々とキッチンのカウンターの椅子に座った。

嫁とおかんは楽しそうに会話をしている。

タロは少し暇になったのか、俺の足もとらへんに寝転がり、のんびりと過ごしていた。

コーヒーを飲んでいると無性に腹が痛くなった……

うんこか…??
いや、まだ違う……
これは屁だ……

俺は全集中の呼吸で神経を肛門に向けた。

そして、

「ぷぅ……」

とても可愛い屁が出てしまった。

すると、おかんが


「いや、ちょっとタロ!?も~可愛いおならしたねぇ~も~ふふふふふ!」

嫁も


「タロちゃんおならしたの~!?可愛い~キュンキュンする~」

などとほざいている。

タロはまんざらでもない顔で立ち上がり、嫁とおかんの方に愛嬌を振り撒きながらじゃれつきにいった。

俺は「ほ~可愛い屁ならみんなから褒めてもらえるのかぁ~」と思い、次なる屁を待った。

今さらあれは俺の屁だ!とは言えない。
あの手柄はタロにくれてやる。
俺は器のでかい漢だから。

しばらくすると、

むっ!きたきたきたぁー!!

俺は全神経を肛門に向けた。

嫁とおかんは楽しそうにタロを触りながら話をしている。

俺はみんなに幸せを提供するべく、さっきのような可愛い屁をだすことにした。

世界中の人々……
みんな幸せになれ!!
願いを込めて肛門を緩めた。

ばぼぉぉぉぶるるるるプス……ぷすぅ……

全然可愛くない屁がでた。

みんな一斉にこっちを振り向いた。

おかん「だからあんた帰ってくるの嫌なのよぉぉぉぉ!!汚いっ!!!」

嫁「絶対うんこでたでしょ!!?やめてよもぉぉぉ!!!」

タロ「グルルルゥゥ!!!わう!!わう!!」

みんなから怒られた………
なんか納得いかない……

終わり

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