麻痺に対するリハビリテーション

脳梗塞や脳出血、脊髄損傷などで体に麻痺を患った人へのリハビリについて語ります。

私は急性期病棟、回復期病棟、リハビリ特化型デイサービス、入所リハビリ、通所リハビリでリハビリを提供してきました。一応一通りの分野で働いてきた経験があります。

麻痺に対するリハビリテーションには様々な方法や様々な手技があります。

私もなんとか担当患者の麻痺を治したくて、色々と勉強し、高いお金を払って研修会にも多く参加しました。色々な人の治療やアプローチも見てきました。

結論です。
現在の医療では麻痺は治せません。

悔しくて仕方ないですが、これは紛れもない事実です。日々医療は進化しており、iPS細胞などの研究も進んでいますので、いつかは治るかもしれません。希望は捨てる必要はないです。

でもリハビリテーションのプロとして、過度な期待を患者に持たせ、結局治らず、気持ちをどん底に突き落とすようなことはしたくありません。
過度な期待はその患者の人生を崩すことに繋がります。

過度な期待は、高いお金を摂取してなぞの治療を行う詐欺紛いのものに引っ掛かる可能性を高めます。弱っている人につけこむ情報商材などの詐欺と同じです。

しかし、私は諦めたわけではありません。

リハビリテーションの原点に戻り、どうやったらこの人が麻痺を患っていても、楽しく生活ができるか、人生を謳歌できるか、社会復帰できるかを一緒に考え抜きます。

そのためにはどのような道具や福祉用具が必要か、どんなサービスを受けるとよいか、どのような動作方法を獲得すればいいかをしっかり考えます。

そして、一番大事なのは、その人とその人を支える方々の行動変容です。

今までの自分の体とは違うという事実を受け止め、悲しみを乗り越え、出来なくなったことを考えるのではなく、どうやったらできるかという思考と行動に変容する必要があります。

それを乗り越えた人たちは麻痺を患っても楽しい生活を取り戻しています。

リハビリ職も反省する必要があります。
過度な期待ばかりもたせ、結局治らず。
でもリハビリ職は「少し手があがるようになったでしょ?少し歩けるようになったでしょ?俺のおかげでしょ?」
そのちょっとが、その人の生活に直結していますか?

在宅復帰させ、その人は引きこもり傾向になる。
自分の試したい徒手療法やアプローチを行いつづけ、結局生活に繋がるまでは治らない。

麻痺に対して治すという考え方自体が間違えです。麻痺に対してはどのような代替え手段を獲得させるかが大事です。そして、患者を医療職に依存させるのではなく、精神的にも自立させることが重要です。

「あなたのおかげで良くなった」と自分に感謝させるリハビリ職は二流です。

「頑張って乗り越えたぞ」と思わせるリハビリ職が一流だと思っています。

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