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言語学版 ガリレオ ch.5

第5章 ズレる言葉

『ガリレオ』の湯川准教授は「変人」と言われている。

ガリレオ変人

しかし、「変人」は京大ではむしろ立派な「ホメ言葉」であり、「京大変人講座」なるものまで存在する。それを書籍化したのが、この ↓ 本。

京大変人講座本

今回取り上げるのは、続編の「科学哲学」の講座。

そこでは、「椅子」と「椅子でないもの」の線引きは難しいことが指摘されている。

椅子の線引き

つまり、「椅子なのかどうかわからない」というグレーゾーンが存在するのである。

そして、どの言葉にもグレーゾーンはつきまとう
「X」と「Xじゃないもの」の線引きは難しいのである。

グレーゾーン

このことを念頭において、次の「吉岡里穂問題」を考えてみよう。

吉岡里穂問題

「そういう好きじゃない」ということは、吉岡さんとかまいたちの山内さんで「好き」の意味がズレているということになる。

好きゾーン

つまり、同じ日本人でありながら「同じ言葉を違う意味で使っている」ということである。

「実に面白い」

これが外国語となると、思ってもみないズレがある。

たとえば、日本語では「薬」に対して「飲む」と言えるが、英語ではmedicine(薬)にはdrinkではなくtakeを使う (take a medicine (薬を飲む))。

drink-飲む

上の図は中国人留学生の修論からとったものであるため、中国語も比較されている。面白いことに、中国語も「薬」に対して「飲む」に相当する「喝」ではなく違う語(「吃」)を使う場合がある。

このように、「飲む」を意味する動詞がどこまで使えるかという「切り分け方」が言語間で異なる

外国語を学ぶということは、このような言葉のズレ(切り分け方)に気づくことでもある。(『ことばと思考』 今井むつみ 著より)

切り分け方(今井本)

言葉はズレる。

「実に興味深い」

To be continued.

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