マガジンのカバー画像

文学の落下点┊ novel

6
創作小説
運営しているクリエイター

#切ない恋

小説 『クリシェ』

小説 『クリシェ』

一部分より

■13:39

「先生、俺もう長くないらしいよ」

病室中を生温い風が撫でる。
それが嫌な現実味となって僕の喉を掠めた。
それで、分からないから分かろうとしたかった。

「…でも今生きてるっ」

辛うじて発した掠れた声が、目の前の彼にに届かずに溶けて小さく消えていく。
そっか、とかこれからどうやって生きたい?とか僕には“教師としてかけるべき言葉”がたくさんある。
探している、分かりた

もっとみる