ケルト_Irish

〘異聞・ケルト9〙英雄たち

〖アルスターサイクル9〗
 
 

 
 さて、クーフーリンの戦いをもう一つばかし。

 スカアハの元での修業を終えたクーフーリンが、身重のオイフェを残してアイルランドへと帰還する事になった時のことは覚えて……ませんよねwww

 クーフーリンは彼女に金の指輪を渡し、産まれる男の子の指にその指輪がピッタリになる頃、父親である自分を探しにアルスターへ旅立たせるよう言い残した。その際に、次の三つの命令(ゲッシュ)を与えている。
『進む道を変えてはならない』
『誰にも名乗ってはならない』
『挑戦された時には、いかなる場合であっても応えねばならない』
     「異聞・ケルト4」より

 クーフーリンは、オイフェにこう言い残していた。(ざっくり)

 オイフェが産んだ男児はコンラと名付けられ、幼い頃からスカアハに師事した。そして、予想の遥か上空成層圏を上回る戦闘技術を身に付ける。 

 唯一、クーフーリンが伝授されたゲイ・ボルグについては教わる事が出来なかったが、これ以外の戦闘技術は全て仕込まれた。もちろん、槍のてっぺん棒立ちも、鮭跳躍も何もかもで、しかも、それら全てに於いてクーフーリンを上回っていたという。 

 何より、父であるクーフーリンの話、クーフーリンが所属しているアルスターの『赤枝騎士団』の話を聞かされて育ち、憧れと尊敬の念を抱いてもいた。

 そのコンラが七歳になる頃。

(……やはりケルト文化では7歳が一人前と見做される分かれ目らしい。まあ、クーフーリンやクーフーリンの子どもが少々特別だったのかも知れない…… ←心の声)

 残された金の指輪がコンラの指に合うようになり、彼は言いつけ通り小舟に乗ってアルスター(アイルランド)へと旅立った。母親であるオイフェや伯母であるスカアハからは、「気をつけるのよ。知らない人についてっちゃダメよ」などと言われていたに違いない。7歳だもの。 ←

 クーフーリンを上回る武芸の天才コンラ──彼を乗せた小舟がアルスターへ近づいた頃、人々はちょうど『足跡の浜』と呼ばれる海岸に集まっていた。

 彼らの目の前で、コンラはスタッフ・スリング(投石器)を使って鳥を撃ち落とした。鳥は不思議なことに生きており、彼はそのまま鳥を空に放った。そして、再び鳥を撃ち落とすと、今度は鳥を蘇らせて見せた。

 これには、人々は驚嘆よりも警戒した。年端の行かぬ異国の子ども(やっぱ認識的には子どもだった!w)がそんな芸当をやってみせれば当たり前だ。報告を聞いたコンホヴァル王もビックリ仰天だべさ。

 子どもにすらそんな技を仕込むような土地から、十分訓練を積んだ戦士がやって来たりしたらたまんない! アルスターひとたまりもない!
(いやいや、そうそうこんな子どもも大人もいないからwwwww)

 そう考えたコンホヴァル王は、使いをやって彼を追い返すことに決めた。

追い返すんかい!w

 
 いや、本によっては討伐となっていたりもするんですけどねw

 最初に使者として選ばれたのは、口達者が取り柄のコネレ・マク・エハハであった(発音しにくい名前ばっかやな口に出すわけやないけど)。

 コネレが懐柔しようと呼びかけるも、コンラは聞く耳を持たないので仕方ない。

聞く耳持たないからって
諦めるんかいww

 
 次に説得に向かったのは「私の命がある限り、アルスターの誇りが損なわれることはない」とか何とか宣言していた、これもケルト神話の英雄の一人コナル・ケルナッハ。クーフーリンの乳兄弟でもある。

 ところが、コンラがスリングで石を空へ放り投げると、突然、雷鳴がコナルを襲い転倒してしまった(死なないのか、落雷で……)。彼は起き上がる前に、コンラに盾の紐で縛り上げられてしまった。落雷で死ななくても、英雄、形無し……。

 こうなっては真打登場である。武道で言えば大将戦みたいなものだ。つまり、いよいよクーフーリンがコンラの元へ出向くことになった。

 クーフーリンは海岸へ向かい、コンラと対峙した。
(※クーフーリンは何故か事情に通じていたエメルから、コンラが息子であると聞かされていた、という説も実はある。あるけど、私が独断で却下www)

 クーフーリンは、彼が自分の息子であると薄々気づいてはいた(そりゃ、人間離れした子どもだものねw)。そして、コンラもまた、目の前の男が憧れの父であると。

 クーフーリンは名を明かさねば死ぬこととなると通告した。だが、コンラが聞き入れるはずもなかった。『名乗ってはならない』というゲッシュを与えたのは当のクーフーリン──尊敬して止まない父であったのだから。まして、課せられた者がこれを破れば、身の破滅を招くと信じられてもいた。

 しかし、逆にゲッシュを厳格に守ろうとしたために不利益を被る、という展開もアイルランドの神話・説話では日常茶飯事だった。この場合においても、ゲッシュがクーフーリン父子の対決を不可避の物にしてしまったのである。

 図らずも、どちらにとっても本意ではない父子対決が始まってしまった。 

 最初は剣で、次は組み打ちで、最後には海で互いを溺れさせようとした。そのいずれに於いても、コンラが優勢であった。
(……7歳児、すげぇ……)

 クーフーリンは止むを得ず、スカアハが彼にのみ授けたゲイ・ボルグをコンラに放った。 

 見事に命中したゲイ・ボルグ。まともに受け、コンラの腸(はらわた)が足元にこぼれ落ちる。

 勝敗はついた。

 虫の息のコンラを連れ、クーフーリンは王都に戻り、彼が自分の子であると紹介した。 

 コンラは自分がアルスターに参戦すれば、5年もあれば敵を全て倒し、その王権を遥かローマにまで届けることが出来たのにと悔しがった。

 そして、尊敬する赤枝騎士団の面々に挨拶をすると、その短い生涯を閉じた。

 ……って。

やめたげてよ!
短すぎるじゃん!( ᵒ̴̶̷̥́ ^ ᵒ̴̶̷̣̥̀  )

 
 彼の墓が建てられた土地は、これに由来して『偉大な男の足跡』と名付けられた、と伝えられている。 (らしい)

もうやめたげてよー・゚・(。>д<。)・゚・

 
 次回でやっと終わりますwww

 
 
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〖参考文献/出典/引用〗
※昔の資料を引っ張り出すことが出来ず比較的新しめの資料群

◉井村君江 著: ちくま文庫
『ケルトの神話―女神と英雄と妖精と』
◉池上良太 著: 新紀元社
『図解 ケルト神話』

〖その他〗
◉遥か昔々に読んだタイトルも作者名も覚えていない数々の本やマンガの記憶のカケラたちと妄想像の山www
 
 
 
 
 
 


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