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〘お題de神話〙かつてない山だ

 
 
 
「人は何故山に登るのか──そこに、山があ
るからだ」
「どうした、突然」
「どっかの登山家の言葉だっけ?」
「ふぅむ。イギリスのジョージ・マロリーだな。哲学的に捉えれば、『山は人生に似ているから、その山の頂上を目指して一生懸命登ればばいい』的なやつだったはず」
「まだ誰も成功してなかったエベレスト登頂を目指しての言葉とも言われてたよね」
「そう言えばさ。山の神様って女神様が多いよね。日本ではそこから奥さんを“山の神”なんて呼ぶようになったみたいだし」
「話が横滑りと言うより滑落してるなw けど、確かに山の女神様って醜いとか怖いとか散々な言われ方されてるよな」
「あ~小学生の時に富士山と八ヶ岳の壮絶な仁義なき戦いの話聞いて怖かった記憶あるわぁ」
「え、なになに?」
「聞いたことあるような……」
「いや、ないな」
「どんだけ仁義なき戦いだったんだ?」
「富士山のご祭神って木花之佐久夜毘売このはなさくやびめじゃない。で、八ヶ岳は姉の石長比売いわながひめと言われてたらしくて。今は日本一高い山と言えば富士山だけど、昔は八ヶ岳の方が高かったらしくて、そんなはずないって怒る富士山と八ヶ岳が大ゲンカになったんですって」
「身長でケンカする女神ってアリなのか……」
「おれ的にはナシだが……それでどうなったんだ?」
「はっきりさせよう、ってことになって、お互いの山頂にといを渡して水を流したみたいよ。そしたら、確かに八ヶ岳から富士山に向かって流れて、八ヶ岳の方が高いことが証明されたんですって」
「これはただでは済まないな」
「何たって仁義なき戦いだもんね」
「ご明察通り、憤慨した富士山がといで八ヶ岳の頭を力任せにぶっ叩いて、それで削られて富士山の方が高くなったとか……」
こえぇ……」
「そう言えば、それ聞いて思い出したけど、S県には石長比売いわながひめはばかって、富士山を誉めちゃアカン場所があると聞いたぞ」
「山の神が怖いと言われても仕方ない事態だな」
「北欧神話でも、山の神スカジは狩猟の女神でもあるしな。強いことは間違いない。スカンジナビアの語源にもなった女神様だし」
「ってか、何でいきなり山の話?」
「今さら訊くか」
「いや、おれは明日のヤマを立てなきゃならんので、つい……」
「「「テスト!!!」」」
「そうだぞ。現実逃避もいい加減にしとけ」
「うおぉぉぉ」
「週明けから予告しといてあげたのにー」
「あ~誰かヤマ立ててくれ」
「やれやれ。お前たち、今夜が山だな」
「うえぇ……そんなオチいらん……」


 
 
 

 
 
 

山に感じる霊性や神性。
山の魅力についての表現は数多あり、魔物が棲んでいると言われるように、古今東西、取り憑かれる人は後を絶ちません。
豊かさ、恐ろしさ、美しさ、雄大さ、言葉で表現出来ない何か──自然に対して人は畏敬の念を抱き、遠巻きにする者と、少しでも近づきたい者とに分かれるのかも知れません。
“山男にゃ惚れるなよ”なんて歌詞がありますが、山の魅力に取り憑かれた男性に惚れても寂しい思いをするぞ、または、場合によっては悲しい目に遭うこともないとは言い切れないぞ、と言う喚起でもあるのでしょう。
 
遠い親戚のお姉さんの連れ合いに、山荘の管理を任されている人がいました。少し前まで現役でしたが、現在は年齢的なことや体調などの問題から辞められたようです。
遭難者などが出た場合、山岳救助隊の一人として出動もしていたような人です。夏だけでなく、雪山にもです。
昔、何度かそのお姉さんの家に泊まらせてもらったりしましたが、電波感度の良い場所に当たり前のように無線が配置されており、良く応答していたのは記憶しています。山というのは、日常的にそう言う危険を伴う場所なのです。
ハイキング、山登り、決して準備を怠らず、無理をせず、過信もせず、入山名簿の記入以下登山に於けるルールは守って楽しんで欲しいです。
 
救助に行く方は命懸けなのですから。
 
後が長くなりましたがw本文は1,000字に収めとります🤣(ちなみに私はその山荘に一回行った登山で二度と山には登らないと誓いました。山は眺めるものです!www)
 
 
 
 
 

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