ニーチェと葬送のフリーレン 高貴な魂と新しい貴族
高貴な魂
フリーレンはゼーリエに、「望む魔法を言うがいい、ひとつだけ授けてやる」と言われましたが、「いらない。魔法は探し求めている時が一番楽しいんだよ」と答えました。ニーチェ的に言えば、フリーレンは高貴な魂の持ち主であると言えます。
高貴な種類の魂たちは、このように欲する。つまり、彼らはタダでは何物も手に入れようとしない。一番そうしたがらないのは、人生という持ち物だ。賤民の素性の者は、タダで人生を生きようとする。
森一郎訳「新旧の石板5」
高貴な魂のありかたはこうである。高貴な魂はどんなものをも無償で得ようとは思わない、ことに生を無償で得ようとは思わない。賤民に属する者は、無償で生きようとする。
手塚富雄訳「新旧の表5」
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崇高な者
かれはかれの英雄的意志をも忘れ去らなければならない。かれには、高い飛翔の人になってもらわなければならない。単に崇高な人でとどまっていてもらいたくない。
──意志をも捨て去ったかれを、天の大気そのものが、高めるのでなければならぬ。
手塚富雄訳「崇高な者たち」
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勇者にとってこそ、美は最も困難なことである。美は激しい意志ではとらえられない。威力がものやわらかになって、可視の世界へ降りてくるとき、そういう下降をわたしは美と呼ぶ。
手塚富雄訳「崇高な者たち」
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怪物を打ち倒した。謎を解いた。だが、彼はみずからの怪物と謎をも救わねばならない。それを、天上の子どもたちに変えなくては。
佐々木中訳「崇高な者たちについて」
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そしてわたしは、力強い者よ、だれにもまして、君からこそ、美を期待するのだ。
やさしい心を獲得することが、君の最後の自己克服であるように!
手塚富雄訳「崇高な者たち」
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大きな勇気と気力を持つ者は、軽やかに優美でなくてはならない。
佐々木中訳「崇高な者たちについて」
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新しい貴族
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