霊的哲学である錬金術
大いなる仕事
世界の質を変えるために、錬金術師はまず自らを変えなければなりません。内なる大いなる仕事が外なる大いなる仕事を生むのです。
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魂の黄金
真の錬金術師は、物質の向こうにある真理を求める道を歩み、魂の黄金を編み出します。この旅は単なる物質的欲求を超え、内なる探求心を刺激します。物質的束縛から解放され、魂の深部に秘められた価値を見つけ出すため、彼らは精神的修練と内省に努力を捧げます。
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霊的な哲学
錬金術は、金属の物理的変化の秘密を教えるのではなく、人間の精神的な変容を象徴的に示唆する霊的な哲学です。
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神的性質への変容
錬金術は物理科学ではなく、霊的哲学です。より卑しい金属から金への不思議な変化は、人間の本性的な悪と弱さからの生まれ変わり、神的性質への変容を象徴しています。
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賢者の石
実は、賢者の石、アルカヘスト(万物融化液)、不老不死の霊薬は同じ一つのものの名前であり、同一の働きをします。賢者の石は、石ではありません。どの人の内にもあり、どの場所にも存在します。
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神人合一
「賢者の石」は、黒→白→赤という過程を経て完成されます。黒は「死・腐敗」、白は「再生・復活」、赤は「完成・完全」を象徴する色です。黒化は腐敗、白化は浄化、赤化は神人合一という意味もあります。
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人は神なり
黄金の夜明け団(Golden Dawn)というオカルト団体に所属していた神秘主義者アレイスター・クロウリーは、「神は人なり、人は神なり」と断言しています。これは「我々は本質的に神でありながら、現在は人間の経験をしており、神への回帰を目指そう」という意味を持っています。
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対立し合うものの結合
ユングは、錬金術と神秘主義が常に「対立し合うものの結合」を追求していること、そこに登場する物質の変化が心の変容のプロセスのアレゴリーであること、また、そこには「アニマとアニムスの対比と統合」が暗示されていることに気づきました。
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本物のリアリティ
ユング派の観点では、イマジネーションは空想の産物ではありません。むしろ、古代の錬金術師が「真の幻想ではない想像」と称したものであり、それは向こうからやってくる本物のリアリティです。
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もう一つのリアリティ
錬金術師は二重の見当識を持っていました。一方は現実のリアリティであり、もう一方はイマジネーションのリアリティです。二重見当識とは、妄想などによって歪められた見当識を持ちながら、正しい現実的な見当識が併存している状態を指します。
彼らが重視したのはイマジネーションのリアリティでした。イマジネーションのリアリティは、彼らにとって現実のリアリティと並び立つ、もう一つのリアリティでした。
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一なる世界
錬金術において、世界は「一なる世界」と呼ばれています。この「一なる世界」では、万物が一つに繋がって網の目を形成しています。無限の網の中で、どこかで起こった出来事が全体の変化となるのは、すべてが相互に関連しているからです。縁によって結ばれていると言ってもいいでしょう。
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原因と結果
錬金術では鉛を金に変えようと試みますが、これはイエス・キリストが水をぶどう酒に変えたのと同様の奇跡です。錬金術は科学的な外観を持っていますが、原因と結果を基本とする一般的な科学とは異なり、因果律を無視した奇跡を起こす魔術です。
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混沌を秩序へ
錬金術師は、混沌を秩序へと導き、闇を光へと変える存在です。
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