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読書習慣の原点「作家ノート」~学生時代の課題を振り返る~

自宅にいる時間が長いせいか、気づいたら、書店に読書感想文用の本がずらりと並ぶ季節になっていた。

課題図書って書かれると読みたくなくなるんだよな~と、横目に通り過ぎ、今だから読みたい名作のコーナーをうろうろするのが最近のお気に入り。いまだに自粛の影響で、書店員さんのレビューが熱い!

ふと、「作家ノート」という一人の作家とひたすら向き合う課題があったことを思い出した。

誰を選んでも良いが、1年間読み続けられるよう、極端に作品が少ない作家を選ぶのは禁止。あまりに難解なものを選ぶと自分を苦しめるので、ほどよく短編と長編のバランスが良い作家を選ぶのがポイント。

わたしは、
▶小説(中2):宮沢賢治
▶詩(高1):寺山修司
▶評論(高3):小林秀雄 を選びました。

宮沢賢治は『銀河鉄道の夜』をちゃんと読みたいという、なんとも無邪気な理由で選んだつもりが、作品をとおして根底には自己犠牲と死があって、思ってたよりもディープな世界観の作家ノートが出来上がった。

寺山修司は、文字でハート型を作っている詩が可愛かったから♡とか感性で選んだが、途中から名言集と詩を織り交ぜて書いたので、いい加減なきっかけの割にはこちらも結構ちゃんと取り組んだ。

当時ピンとこなかった言葉が重くのしかかってくる。

『たかが言葉で作った世界を言葉でこわすことがなぜできないのか。引き金を引け、言葉は武器だ』
『大体、不満屋ってのは世の中との折り合いが悪いんじゃなくて自分との折り合いが悪い奴のことなんだから』

国語以外にもやることが山ほどある中、最低ノート1冊分感想を書くのは、まぁまぁ体力のいる課題だった。

しかし、作家の生き方を調べて、同じ作家の本をひたすら読むという経験は、いま思えば学生時代にやってよかった課題だと思う。

共通して訴えたいこと、人生観を汲み取る読書スタイルは、この課題のおかげで得られた。おかげで、どんなに整理してもすぐに本棚がいっぱいになるけど。だって紙がいいんだもん・・・。


・・・ちなみに、小林秀雄の記憶がまるでなく、数年前に新鮮な気持ちで『考えるヒント』読んだ。(高3だし、要領よく書いたんでしょう・・)

いずれにせよ、感想を書くことを強制されるわけでなく、読む本を指定されることもなく、心のままに読みたい本を読めるのがしあわせ。

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