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良い物流代行会社のたった一つの見分け方

よく「いい物流会社ありませんか?」とか相談されます。話を聞いてみるとほとんどが「今が高いと感じるのでコストを下げたい」という相談になります。そこで私は「じゃあいまより安いところに仮に倉庫を移転したとしましょう。そこより安いところがあったらまた移転しますか?」と聞きます。するとほとんどは少しなやんでから「はい」と答えます。

結局のところ、物流がコストセンターとしかみてないので「究極0円だったらいいなぁ……」としか思ってないわけです。つまりこういう状況で倉庫を紹介しても不幸になるので基本的に紹介をしません。

基本的に倉庫を紹介するためにはかなり話をして、いまの現場もみてじっくり見極めてからになります。大きく分けて二つのパターンになります。

1. 自社で物流をしていて、明確にキャパがオーバーしたパターン
2. やりたいことが決まっていてその目的の達成がいまの倉庫だと達成できないパターン

よく1と2が両方絡んでるケースもあります。ともかくコストを下げるための移転だけはよほどのことがない限り死亡する(とはいえ例外もあります)のであまりやりません。というか私のコンサル契約が先に切られるからね!

というわけでそのような前提で「良い倉庫」という抽象的な概念を具体的な見分け方にすると、たった一つだけになります。それは

在庫誤差0、誤出荷0を目指すための地道な努力をしているか

ということだけです。ポイントは「努力」であって、「現在、出荷精度99.9%ですよ」とセールストークを営業がしてくるところはほぼダメです。あとは、努力を吹っ飛ばすような魔法のシステムを売りにしてるところもほぼダメです。誰がなにを言おうと、当たり前のように特別なシステムやWMSすらなしで在庫誤差0、出荷精度100%をやっているところがあるので、そこに達してから文句言え、以上解散です。

誤差0じゃない出荷精度を売りにしているところはヤヴァイ

まず最初に出荷精度の話から。仮に出荷精度が99.99%だとすると、0.01%はエラーになると。ちょっと分かりにくいので物流の場合100万件出してのエラー率のPPMという単位を使ってみましょう。99.99%だと100PPMになります。つまり100万件出すと100件エラーになる。実はほとんどのクオリティーを売りにしてる会社はこのレベルで「物流クオリティーに自信があります」といっています。この表現は裏を返すと「これ以上は完成度はあがらないので努力を放棄します」といってるだけです。

この表記を信頼して来た荷主は、おもったより出荷トラブルに直面することになります。それは物流会社が努力をしつづけることを放棄したために変化に弱くなっているからです。すると、100PPMがあっというまに1000PPMぐらいになってきます。悲しい……。なので、0PPMにならなくても0PPMになるような努力をし続けているかということを見極めることが大事になります。その努力をしているかの見極め方は現場を見ただけで一瞬で分かります。例えば挨拶や、ガムテープを貼る音を聞くだけでそこの現場の状況が分かりますね笑

WMSとかシステムを売りにしてるところはヤヴァイ

次にシステムの話を。ぶっちゃければシステムなんかなくたって年間100万件以上出荷代行やってても在庫誤差0、誤出荷0にはできるんです。現実にできてるところあるから。

システムでトラブルが防げるケースってほぼなくて、システムを適切に運用できていない人間がトラブルを起こすんです。たとえば、楽天で大ペナルティーになる納品書入れ間違えとか、システムでどうやっても防げないし、悪意をもった人間によって意図的にされるケースすらあるわけです。

また、システムにあわせて業務が組み立てられればいいけど、ほとんどの荷主は微妙に違って、そして変えたくない業務があるのでそことシステムのフィッティングが悪くて結局微妙なトラブルになります。たとえば、「鉛筆1本単位で売るので、バーコード貼れないけど出荷代行して欲しい」といわれたらほとんどのWMSは使えません。コスト度外視してバーコード貼った袋にいれるとか出来なくはないけど、たぶん入荷コストが鉛筆1本より明らかに高くなります。

こういうのをバーコードなしでも運用できるかとか含めてシステムに過度に依存しないようにしてる現場がいい倉庫です。

「なんでも言うことを聞きます」ということを売りにしてるところはヤヴァイ

最後にあげたのが、「荷主は神様です。リクエストにお応えします。」という倉庫です。これは別なところで書くつもりだったのだけど、倉庫が赤字になる原因は「荷主の言うことを聞きすぎる」からなんです。この詳細は別な機会にかきます。荷主は思いつきでいろいろいってくるので、それに毎回対応していたらオペレーションも組めないし、それ「本当に売上あがるんですか??」とおもうようなことも思いつきでいってくる。そんなの相手していたら倉庫の身が持ちません。それでも持っているというのはなにかがおかしい、そう考えるべきです。

まとめ

何度もいいますが、世の中に0PPMを達成している倉庫はあります。そこが大事にしていることは「常におかしいところを探す努力を続けている」ということです。そういう倉庫に預けましょう。

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