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アドラー心理学を学ぶと知的な跳躍を求められない件について。

まずこの記事はアドラー心理学会や個人心理学会の考えや意見を毀損するのが目的でなく、一個人としての思考のプロセスであり、感じたことを外在化することを目的としています。

先日アドラー心理学会の総会はいけずに、その後で行われた関東地方区のシンポジウムに参加してきました。しかし、参加中から精神状態がもの凄く悪化し、三日経った今でも尾を引いています。企画や、運営された方は本当に大変なご苦労や労力がありその点については大変お疲れ様でしたとしか言いようがありません。

ところが当の私は正直「これなんのために参加したんだっけ?」と自責の念を発し、正直いるのが辛くなったレベルでした。

でまあそれの何が違和感かということについて考えるとシンポジウムのタイトルは「アドレリアン大集合」であった。さて、ここでちょっと横道にそれよう。

日本ではあまりも用いれられないけど、マルクスの理論に対してどういうスタンスをとるかで、フランス語では「マルクシスト」と「マルクシアン」という2つの使い分けをする。「マルクシスト」は「マルクスの理論をみずからの思想的立場と、その概念、術語を分析の基本的な道具とする人」のことであり、「マルクシアン」は「マルクスの知見を理解し、その志に敬意を抱くが、その術語や概念を分析のための主要な道具として用いない人」のことである。
(内田樹「ためらいの倫理学」)

この定義によって「アドレシスト」と「アドレ二アン」に分けよう。(アドレリアンにするとややこしいのでちょっと違和感あるけどアドレニアンにしています)

「アドレニアン」は「アドラーの知見」を自分の用語定義に基づき言い換えられる人で、「アドレシスト」とは「アドラーの知見」をアドラーの用語を用いてでしかアドラーの理論の説明をできない人になる。後者の人々は「無限循環参照」になってしまう。特にアドラーの思想的根本である「共同体感覚」とか話をすると「そんなことを聞くなんて、お前には共同体感覚がない!」と反論され、まるで左派の粛正みたいなことになる。と考えると、「パセージ」とかのアドラー心理学会の出しているプログラムは確かに「アドラーの知見」を野田俊作先生の言葉で置き換えたテキストになる。なるほど。実際に向後千春先生も「アドラーのジャーゴンを使わない」といってるのも納得できる。

そこと真逆にいるのがラカンやデリダといった人達だ。特にラカンとかはほんとにちんぷんかんぷんである。いま本棚から「精神分析の四基本概念」を引っ張りだしてよんだけどやっぱりちんぷんかんぷんであるのでそっと本棚にもどしたところである。正直引用すら面倒くさいレベルである。心が折れた人を内田先生が「現代思想の遭難者」と名付け「よくわかんないことはあたりまえだたら、とりあえず毎日拝んで読もう」という激励をすると書いていたぐらいである。ここに知的な跳躍とそれに対する渇望があるということである。

ところがアドラーはわかりやすい。これも向後先生の講演にあった内容になるけど、アドラー心理学の五大要素(目的論、全体論、社会統合論、仮想論、主体論)はアドラーの言葉でなく、後の人々が付け足した内容だ。そして嫌われる勇気などに書かれた「それはあなたの課題ですね」とかすべてアドラーが語っていないジャーゴンである。ところが、このような言葉のどれすら「アドラーが語った言葉より致命的にわかりにくい」のである。

これが今回感じた違和感の正体である。これを意識していないと、「分かり易いことをわざわざ難しい概念や言葉をならべることで分かった気にさせられた」気分になってしまう。ところがアドラーの言葉にあたっても優しすぎるので「知的な跳躍」が刺激されづらい。特にアドラー心理学と個人的な語りをされることは、その人の語りでありそれについて知的な刺激を全くうけないのである。別に本人が結婚や離婚しようと子供がどうなろうと私の興味の対象ではないという話なのに、その話が主体になってたのがもの凄く辛かったのである。

「分かっている私」と「分かっていないあなた」の二層構造を作り出していることだ。ところが、「分かっていないあなた」はその言葉を使わなくても実は「分かっている」のだから、とても辛いのである。

アドラーの勉強の仕方は「アドリニアン」の書いたやテキスト(パセージのテキストや、トーキングセミナー、向後先生の本)を読むか、桜田さんや、長谷川さんの飜訳した原著を読むでいいのかもしれない。このことがわかっただけ良かったのだろうか。そういうことにしておこう。

重ね重ねになりますが、関係各位お疲れ様でした。

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