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№5 -予定日をすぎて お産のこと -memory of birthing-

なぜだか予定日より早いだろうと予感していたけれど、過ぎてしまった。
予定日より1週間以上すぎると、提携の病院とも相談した上だが、
自宅で出産できる可能性が低くなってくる。
気持ちが焦ってきていた。

予定日を2日過ぎた自宅検診。
朝におしるしが出る。
なかなかお腹が下がってこなくって、心配していた。
本当に生まれてこれるの?自然分娩できるのかなあ。
たまちゃん、大きくなりすぎて出てこれないのかな。
私の骨格が悪いのかな。

心配が重なって、情緒不安定になっていた
堪えていた気持ちが涙と共に溢れ出る。
助産師さんも心配しておられたみたいで、
もしも、万が一、病院で産むことになったとしても、下から産むことにこだわってほしい。
たまちゃんの弟や妹も待ってるからね。と、お話があった。
ああ。そうだなあと。
もしも自宅出産ができかったとしても、たまちゃんも私も無事であればいい。
チャンスは次にもある。
こだわりを諦めた(手放した)と同時に、腹の奥深くで、
覚悟のようなものを決めたときだったように思う。

検診が終わって、気付いたら主人がおにぎりを握って、お弁当を詰めていた。
高熊山に登りに行こう!思いついた。と言う。
まだ私はメソメソしながら、よく分からないまま、車に乗り込む。

そこは大本教の出口王仁三郎が、この山の岩窟に篭り、
七日七夜にわたって修行をされた場所だそうだ。
「この時期、松茸山の為、進入不可」と書いてある看板を横目に進む。
更に、「台風被害の為、立ち入り禁止」の看板も、「少しだけ・・お邪魔します。」と、山道に入っていく。

木漏れ日が美しく穏やかな参道から、急に険しくなった。いつもよりも身体が重く、
ヒーヒー言いながらゆっくりと進む。
ゆっくりと1時間かけて山頂に着くと、大きな磐座があり、
そこからの眺めは絶景で、まるで夢のようだった。
たまちゃんが無事に生まれますように、と願掛けをする。
夫婦ふたりだけが、この山にいて、この景色を見てるなんて、贅沢だなあと思った。
こうやって2人で過ごすのも、あと僅かだねなんて言いながら、お弁当を食べて、
磐座の上でお昼寝をする。
ずーっといたくなるくらい、心地よい時間だった。

帰りの道中は、台風被害で木が倒れて道を塞いでるのを、よじ登ったりしながら進む。
お腹が大きくって、重心が取りにくくて、下りの方が辛い。よたよたと歩く。

松茸は発見できなかったけれど、あけびを沢山発見。
大満足で帰路へつく。

身体をよく動かした為か、おしるしが沢山出ていた。
その晩はお腹の張りもとっても強い。

たまちゃんがスムーズに出てこれるようにと、プールにお湯を入れて、
水中出産のシュミレーションをしてみる。

いつでも出ておいで。とお腹に語りかけて、
ひとりでゆーっくりお風呂に入り、眠りについた。


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