アビスパ福岡:長谷部茂利監督退任に思うこと
長谷部監督の勇退報道がリークされたのが9月13日の昼頃であった。今回の勇退と、そのリークされたタイミング、その後の影響について、いろいろ複雑な思いがある。
その事に関して、いろいろと書いてみたい。
まずはタイミングである。30節の町田戦の前でリーグ戦が残り9試合残っていて、残留も確定していないが、これからの成績によれば、十分に上位進出も可能な残り試合数の時期であった。
このタイミングでの報道は、アビスパ福岡にとっては「百害あって一利なし」のタイミングであった。7月からのリーグ戦8試合で勝ちなしという状況ではあったが、地方エレベータークラブをJ1昇格&3年連続残留させ、去年はクラブ史上初のタイトルも獲ったアビスパ史上最高の成績を残した監督の退任報道である。サポーターもそうだし、長年支えてくれている地元企業のスポンサーにとっても衝撃的な報道であった。
アビスパ的には、残留を確定させた後、ホーム最終戦前に発表して、ホーム最終戦を「長谷部監督ありがとうセレモニー」で締めくくるのが理想だったと思うが、このリーク報道で、いろいろゴタゴタが生じることとなった。「勇退ブースト」など存在せず、町田にはぼろ負け、そして降格圏の磐田には引き分け、サポーターが最も重視する鳥栖とのダービーでも、「新監督就任後勝ちなしで連敗中だった鳥栖」相手でも点が取れる気配がほぼない引き分けに終わり、試合後にはブーイングが起きている。7月からのリーグ戦3ヶ月11試合、0勝5分6敗なのである。ブーイングが起きても仕方ないだろう。
アビスパ福岡にとっては、まさに「百害あって一利なし」の勇退報道のタイミングであった。
では、誰がリークしたのか?。ここからは想像でしかない。この報道で、利益を得る者がリークしたと考えるのが妥当だろう。候補は2つ
・長谷部監督にオファーしてるJ1の資金上位クラブ
・長谷部監督のステップアップに伴い儲かる代理人
この2つである。この早すぎる勇退報道で、オファーを考えてなかったクラブも手を挙げる可能性も大いにあるだろう。競争が激しくなればなるほど、価値がつり上がり、動く金額も大きくなる。金額が大きくなればなるほど、代理人に入る金もでかくなる。そう推理すれば、代理人がリークした可能性が一番高いように思えて仕方がない。
ともかく、地方のJ1資金下位クラブが、いいようにしてやられたという思いがしてならないのだ。
ところで長谷部監督の勇退自体は、個人的には「ついに来たか」という感じであった。「アビスパでやれる事はやった。J1昇格させ3年連続残留させ、今シーズンも残留は、ほぼ大丈夫な状況。カップ戦は獲れたが、リーグ戦で優勝するだけの力が、アビスパにはない。タイトルも獲ったし残留もさせてきたが、観客動員は増えないし、予算も思ったほど伸びずJ1最下位クラスのまま。このままやっても、資金力下位のままじゃあ、主力が毎年引き抜かれて、残留優先の戦いで同じ事も繰り返しになる。それならば、オファーもあるし、J1で優勝争いできるだけの資金力のあるクラブにステップアップしたい」と考えてもおかしくないだろう。今シーズン残留させてくれれば、個人的には「ありがとう」で送り出したいと思っている。
アビスパ福岡は、価値が上がった長谷部監督と同じ歩幅で「クラブ価値」を上げることができなかった。釣り合わなくなってしまったのだ。経営側の力不足であった。J1に3年連続残留しタイトルも獲得したが、依然、J1下位の資金力であり、「J1上位クラブから選手や監督も引き抜かれる立場」であることを変えることができなかったのだ。
そして、来年以降の未来に目を向けると、あまり楽観的に考えることはできない。
「岡田武史去りし後の札幌」、「オシム去りし後の千葉」「手倉森誠去りし後の仙台」のケースを思うに、来年以降の、ごく近い将来での「降格劇」が訪れてもおかしくないのだ。
長谷部さんの次の監督選びを失敗しただけで、間違い一つだけで、簡単に降格する。(J1で平均能力の監督ではダメで、平均以上の能力がないと、今のアビスパの資金力では残留も厳しい。
(そういえば、以前にもそんな事を書いていました)
アビスパ福岡はJ1に定着できていない
https://note.com/yuumei24/n/n6db4bba4313f
ともかく、新監督が能力の高い監督であることを祈るしかないのである。