アビスパ福岡はJ1に定着できていない

noteを立ち上げた後、2年ほど放置してましたが、再開します。

再開後の初回記事のタイトルは、「アビスパはJ1に定着できていない」というものです。その理由を説明する前に、軽くアビスパの歴史と状況を説明したいと思います。

アビスパ福岡は、2001年のJ2降格後、2006、2011、2016と「5年周期でJ1昇格するも1年で降格するというエレベータークラブ」でした。(5年周期という長い周期で昇格し、すぐに沈んでしまうことから「潜水艦クラブ」という表現をする人もいましたが(苦笑)
それが変わったのは、2020年より柳田伸明強化部長と長谷部茂利監督を招聘してからです。2020年にJ2を2位で昇格すると、2021年から2023年まで3年連続J1に残留しました。特に2023年はJ1リーグでは過去最高の7位、そしてクラブ史上初のタイトル、ルヴァンカップを獲得しました。2024年も、J1第26節終了時点で7位と好位置につけています。競技マネジメントは、柳田&長谷部コンビで、非常にうまく行っていると言っていいでしょう。
アビスパの歴史上、現在が最大の幸福な時代であることは間違いないでしょう。

一方、経営の方を見てみましょう。クラブの戦闘能力は、トップチームの人件費に大きく、おそらく90%ほどは影響されます。そのトップ人件費は、売上高の大きさに影響されます。そしてトップ人件費の差があればあるほど、「主力選手の引き抜き」が多発します。アビスパも、「2022年シーズン後に、クルークスがセレッソ、志知が広島」に「2023年シーズン後には、エースFWの山岸が名古屋」に引き抜かれています。
ということで、戦闘能力見るにはクラブの売上高の数字を見るのが、大きく参考になります。
アビスパの2023年の売上高は28.74億です。2023年のJ1では16位、Jクラブ全体では19位です。2024年のJ1は全20クラブ中、年間順位下位3クラブが降格、つまり16位までしか残留することができません。2023年度実績を当てはめるとアビスパの売上高は、2024年J1の中では17位です。売上高では降格してもおかしくない順位にいます。売上高がJ1の中では下位ながらも、トップ人件費が16.11億の割合を高めて、なんとか戦闘力を維持していますが、それでも、2023年のJ1では15位です。現時点は、柳田&長谷部コンビの競技マネジメントの優秀さで残留し続けていますが、その基盤となる経営規模が、追いつけていません。2人の内のどちらかがいなくなったら、すぐに残留争いに巻き込まれる可能性が高いでしょう。(おそらくJ1上位売上高クラブから狙われる可能性が高いのは長谷部監督。あとは日本サッカー協会が、大岩剛の後の五輪代表監督に狙ってくる可能性も高い)

長谷部去りし後のアビスパが、同じ末路を行かないように参考にするべきクラブがあります。イビチャ・オシム去りし後のジェフ千葉です。J1下位の資金力ながら、リーグの優勝争いにからみ初タイトルを獲得した輝かしいオシム時代(2003-2006途中)の後、2009年に降格して以降、J2から這い上がることができていません。売上高で見ると、2005年27.22億だったものが、2008年35.64億にまで伸ばしましたが、成績自体は、オシム時代(2003年3位、2004年4位、2005年5位)から右肩下がり(2006年より11位、13位、15位)となっていました。2009年に降格した時には、売上高が26.83億と大幅にダウンしています。

千葉の例は、オシムを代表監督として強奪されてから降格への道を歩み始めたと思いますが、最大の要因は、やはり売上高をJ1中位まで伸ばすことができなかったからだと思います。オシム監督の流出は売上高の差は関係ありませんが、オシム時代でも主力選手の茶野と村井がよそのJクラブに流出しました。オシム後では、さらに酷くなり阿部、羽生、佐藤、水本とオシムチルドレンの多くが流出しました。

千葉と同じような事が、「長谷部去りし後のアビスパ」に起きる可能性は、少なく見積もっても60%は起きると思っています。それを防ぐためには、J1中位の10番程度(2024年現在だと約50億)に伸ばす必要があるでしょう。長谷部監督がいれば、残留するのには、そこまで伸ばさなくても大丈夫かもしれない。けれど、長谷部監督がいつまでもアビスパにいてくれるとは限らない。監督や選手が入れ替わる中でもJ1に完全に定着するためには、50億程度ないとダメだろうと。2024年26節終了時点で、アビスパより少し上の33.83億の京都はともかく、10億以上多い41.11億の札幌、44.19億の柏でも、残留争いに巻き込まれてる状況を見れば、全く楽観視できないと思います。

現在の経営規模では、アビスパ福岡はJ1に定着できていない。
個人的には、そう思わざるを得ないのです。








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