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やさしさに包まれたなら

帰りの電車で爆睡中、ガサッという物音で目が覚めた。
見ると、向かいの席のおねえさんが紙袋を落とし、中に入っていた飲み物(色と香りからおそらくカフェオレ)がつつーーーーーと流れ出ていた。

そのとたん、周りの人々がいっせいにカバンをごそごそやり始め、
方々からおねえさんにティッシュが差し出された。

ポケットティッシュ2つをおねえさんに預けて颯爽と電車を降りていった人や、
おねえさんと一緒に揺れる電車の中しゃがみ込んで床を拭いてあげた人、
床を拭いて汚れたティッシュを捨てるためにビニール袋を渡してあげた人など、

知らない人同士の見事なチームワークによって、一駅の間に事態は収束した。


帰宅すると、そのあとすぐにダンナちゃんも帰ってきた。
実家に行っていたという。(お互い実家が近い)

おとうさんと帰省していた妹さんに、やっと、
仕事を辞めたことをやっと話せたという。そして、以前から興味があったプログラミングの勉強をするためスクールに通うことも話した。

そうしたらふたりとも「頑張れ」と応援してくれたそうだ。
よかったね、ダンナちゃん。ほんと、よかった。

公務員4年目だったダンナちゃんがうつ病になり、昨年の9月から休職したのち、年末に退職してから3ヶ月。

気持ちの落ち込みの波がおおきくて、接し方がわからずおろおろしたり、
病院を探しまわったりした日々が、ずいぶん昔のことのように感じる。

今は症状もだいぶ落ち着ちついて、毎日お散歩したり筋トレしたりと
健康な心身をつくろうと頑張っている。

ダンナちゃんがスクールに通うのは6月からの予定だけれど、
コロナの影響でどうなるかはまだわからない。(オンライン授業になるかも?)

本人は私のことを想って、早く仕事につきたいと思っているみたいだけど、
どうかそんなに焦らないで、勉強を楽しんでほしい。
そして、身体だけは大事にしてほしいな。


私自身はちっとも変わらず、相変わらずぱっとしないが、
目に映る景色はやさしさにあふれている。

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