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今日という日

仕事が早く終わったので、帰りに映画館に寄った。といっても映画を観るためではなく、最近Amazonプライムビデオでみた『ジョーカー』のパンフレットを(今さら)探しにきたのだ。しかしながら、上映が終了したものは置いてないらしく、(予想はしていたものの)がっくり。ダンナちゃんが欲しがっていたのだが、なんでも影響を受けている宮台真司しぇんしぇ(ダンナちゃんは敬愛の念をこめてこう呼んでいる)のコラムが載っているそうで、それを見たかったのだという。調べたらAmazonとかで手に入りそうなので、頼もうかな。ダンナちゃんしかアカウントもってないけど。

しょんぼりしながら帰宅すると、なんとダンナちゃんからちょっと早めのホワイトデーのプレゼントを頂いた。私が最も愛し毎年リクエストするお菓子、鳩サブレーである。通常のパッケージと、めちゃくちゃ可愛い夫婦鳩と、二つも頂いてしまった!嗚呼、パンフレット今日見つけてプレゼントしたかったなあ…。

明日も探すぞ!と思ったものの、

明日、私は生きているんだろうか。

3.11の日、私はひとりで実家にいて、片杖をついていた。(足の手術をして、リハビリ中だった)住んでいた地域では幸い大きな被害はなかったものの、震度5強あった。揺れがおさまったあと、中身がとび出てしまった冷蔵庫を片付けたり、吊り棚からガラガラ落ちた鍋やおたまを元に戻したりして気持ちを落ち着けてから、持ち出し袋を背負って近所の公園に避難した。でもほとんど人はいなくて(平日の昼間だったし)、その中で、おそらく生まれて初めての事態にパニックになっていたのだろうか、「なんで?何があったの?」と泣きじゃくるフィリピン人らしきお姉さんがいたので、私自身もショックでぼんやりしつつ、背中をさすってあげながら「日本の北のほうで大きな地震があったみたいですよ」などと、持ってきた小さいラジオから聴こえてくる情報を伝えあげた。そんなふうにして夕方まで、地元の病院で会計のアルバイトをしている母が帰ってくるのを待って過ごした。父と姉は都内で仕事をしており、結局家族全員が揃ったのは翌日の夜だった。

ダンナちゃんも当時は実家にいて、なんと前日に祖母が亡くなり、法事で家族親戚一同集まっていたため皆無事だったのだそうだ。「おばあちゃんに守られた」と言っていた。ちなみにダンナちゃんは「おにいちゃん(ダンナちゃんは長男)、テレビ、テレビ!」と言われ、とっさにテレビを倒れないよう掴んだそうだ。(そのあと「ちがうちがう、テレビつけて」とツッこまれた)

そんなダンナちゃんとは当時まだ知り合っていなかった。当時の私は、自分に好きな人が出来て、結婚までするとは全く思っていなかった。ずっとひとりで、実家で暮らすんだろうなと思っていた。

今生きているのは奇跡で、あたりまえではない。

というあたりまえのことを、つい忘れてしまう。

毎年この日が来ると、そのことを少しだけ思い出すけれど、またしばらくすると忘れてしまう。それはある意味しあわせなのかもしれないけれど、もっと、大切に過ごしたいな、と今日という日の終わりに思う。

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