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40代で副業始めてみた、すると


※この記事は実話ですが、登場人物の名前などは変更してあります

自己紹介

はじめましての方ははじめまして、既に私の作品に触れている方はいつもありがとうございます、bizark22でございます 

私はド田舎に住む40代男性で、農家です 
しかし貯金がかなり少なくなってしまい、副業を始めることにしました 
草刈りです 

草刈りとは


草刈りはシンプルな仕事ですが、私の場合は時給2,000円以上で、並のバイトよりは稼げていると思います 
草刈り機という、棒の先端に付いた鉄の円盤(チップソー)もしくはヒモ(けっこう頑丈)で雑草を刈っていくだけです 
ただ、この仕事はハイリスクで、大怪我をする可能性があります 
刃の付いた鉄の円盤が高速回転するのですが、万一当たれば指くらいはカンタンに吹っ飛びそうです 
おそらく手足や首を切断することも可能でしょう(読むのをやめないでください、これはスプラッタホラーの話ではありません)

また、雑草(というか植物)は気温が高いほど生長が早く、草刈りは暑い時期にやることも多いのですが、これはかなりの重労働です 
近年の夏が過酷なまでに暑いことは皆様御存知の通りですが、その暑い中エアコンもなしで数キロの機械を何時間もブンブン振り回すのは大変です 

あと、水路にうっかり落ちそうになったり、先端が石に当たったりの苦労もありますが、そろそろ草刈りの基本説明は終わりにして、本題に入りましょう 

慣れない現場作業

二人の先輩と一緒に作業します 
この先輩とのコミュニケーションが私にとってちょっとした刺激になっているのです

私は情けないことに、農家でありながら体力や筋力に乏しいので、みんなの足を引っ張る格好になっています 
ある酷暑の日、小野さんという先輩から「このへんの草を二時間で刈れ、刈れたら合格だ」と言い渡されて作業したのですが、途中で頭痛など軽い熱中症の症状が出た上、腕が痛くなって、まだ作業が残っているのに座り込んでしまいました 
もちろん試験?は不合格、早退する時には小野さんに笑われてしまい、恥ずかしい思いをしながら帰路につきました 

次の日、現場に行ってみると、斜面など草刈り難易度の高い場所の草ばかりが刈ってありました 
早くに作業を始めた小野さんが刈ってくれていたのです 
おかげで私は若干楽に作業することができました 

小野さんはこれについて特に何も言いませんでしたが、私のためにやってくれたことは明らかです 
私のことを半人前扱いしているのは悔しくもありますが、それ以上に、私のことを思いやって自ら苦労を引き受けてくださっていることを嬉しく、そして申し訳ないな、と思いました 
前日の笑いは嘲笑ではなく、苦笑のようなものだったのかもしれません 

その後何日か経ち、別の先輩である佐藤さんから褒められました 
佐藤さんは作業時間を計測したりもするのですが、私の作業スピードが伸びていると言うのです 
体力や筋力が伸びたというより、作業や環境に慣れたのが主因だと私は考えています 

しんどいですし、本業の農業や私生活がやりづらいなどの問題はありますが、いい現場に恵まれたな、とも思っています 

40代で新しいことを始めてみるということ

さて、ここからがこの記事の肝要なところですが、40代で新しいことを始めてみるということは、ミッドライフ・クライシス(中年の危機)を乗り越えるのに有効ではないか、と私は考えています 
中年、具体的に言うと40代半ば頃になると、自分の人生はこれでよかったんだろうか、他の道があったんじゃないだろうか、などと思い悩むことがよくあります 
それでミッドライフ・クライシスなどという名前がついてるわけですね 

note記事執筆者の白饅頭さんは、ミッドライフ・クライシス対策として自らの手で「予測不可能性」を高めることを提案しています 
そのやり方は人によって、あるいは状況によって違うのですが、私の場合は副業として草刈りをし、今まで付き合ったことのないような人たちと付き合ってみるということでした 

私は農業大学校卒業後、わりと孤独に実家で農業を15年以上続けてきました 
さらに、一人でいることを好み、あまり人と交流してこなかったので、もともと苦手だった人付き合いがどんどん苦手になっていきました 
しかし貯金が減るというのっぴきならない状況に追い込まれ、今まで付き合ったことのないような人たちと付き合うことを余儀なくされました 

ですが、これは結果的に良い影響をもたらしてくれました 
世の中にはいろんな人がいる、悪い人ばかりではない、という当たり前のことを再確認させてくれたのです 
また、本業の農業が多少うまくいかなくなっても、食べていく方法はあると、理屈ではなく実践で納得することができました
そんなこんなで、生きること、生き続けることに少しだけ自信がわいてきたのです 

私の場合は現場の先輩たちが人格者だったため、ラッキーすぎる面はあると思います 
ですが、それも行動しなければいつまでたっても得られません 
私のように、一人でいることが好きで、ゲームしたり本を読むオタクこそ、時々は外の世界で行動する必要があると思います 

もちろんうまくいかないことの方が多いでしょうが、その時は次の行動を起こせばいいのです 
私も始めから草刈りをやっていたわけではなく、少し前までは介護施設のバイトなどもしていました 
この草刈り副業をいつまで続けるか分かりません 
肉体的にしんどいですし、スケジュール調整が難しく、本業との両立は難しいかもしれないと考えています 
やめる時は、また次の新しいことを始めたいと思います 

余談ですが、草刈りのようなハイリスクの現場仕事や、技術の必要な現場仕事の需要はこれから伸びるのではないかと私は考えています 
小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では、多少学力が低くても理系に進ませたり、工業高校や農業高校の土木などで学ばせることも検討されてはいかがでしょうか

40代になっても、自らの手で「予測不可能性」を高めることで、人生の危機を乗り越える自信を得たこと、これが私が草刈りの副業を始めて得た最上のものです

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