プロローグ

会社への通勤時間は往復で2時間。
わたしは毎日この時間を利用して夕飯の献立を考える。
それにしても十分すぎるほど時間が余る。
ならば、
それを利用して日々の料理を記録をしよう。
そう思い立ったのだ。

塩気が足りないな。
少し茹ですぎたかな。

そう思っても次の日には全て忘れてしまう。
自分で作っているというのに
昨日の夕飯すら思い出せない時もある。
そんなことじゃ、毎日料理をしていても
全く成長しないじゃないか。

それに今のわたしはレシピ本がないと、
ろくに料理もつくれない。
お砂糖少々、油は適量の度合すら
いまだにマスターしていない。
運良く味付けが決まった時だって
どうしてそうなったのかわからないまま。
無法地帯のキッチンなのだ。

そんなことは裏腹に
早く自分の味を習得したい。
冷蔵庫の残り物で美味しいご飯を作りたい。
という気持ちは増すばかり。

料理の良し悪しを書き留めたら
少しは自分の記憶に残るかもしれない。
こうしてわたしは
料理奮闘記を書くことを決意したのだ。

たくさん作り、たくさん失敗しながら
楽しく成長できればそれでいい。