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席を譲ってもらった【妊娠23週】

母子手帳を貰いに行くと、お腹が大きくなる前こそぜひマタニティマークを付けることを推奨された。

幸い在宅ワークなので混み合っている電車に乗ることはほんの数回しかなかったし、このマタニティマークを付けることに抵抗があった。



人が座っている座席の目の前に立つと、まるで「譲ってくれよ」と言っているみたいで嫌な感じがするかなぁ〜とか、気を遣われるのも申し訳ないんだよな〜とか考えてしまって、ドアの脇で安全を確保しながら立つことに落ち着いていた。


ある日、銀座線で3人の外国人観光客の方がわざわざ少し離れて立っていたわたしに席を譲ってくださった。背の高い綺麗な女性がすぐにわたしの様子に気がついてくれたようだった。
言葉は通じないのだけど、お礼を言うわたしに「気にしないで、座って!」みたいな風に言っていたと思う。

彼らが降りるときにも何度も頭を下げてお礼をしたのだけど、笑顔で手を合わせてくれた。



わたしや家族にとって、わたしの妊娠はかけがえのない特別なものだけれど、正直電車にたまたま居合わせた他者にとっては何でもないことだ。

だから妊娠しているからといって世間から優しくされる期待などこれっぽっちも抱いていなかったのだけれど、
初めて電車で親切にしてもらって、見ず知らずの誰かからもまだ見ぬ命を尊重してもらったような気がした。本当に嬉しかった。



自分が妊娠すると、突然世間に妊婦が増えたような気がするとよく言う。
今まで気にも留めていなかった妊婦の様子によく気がつくようになるからだと思う。
妊娠してから、わたしと夫にとっては世間がベビーブームかのように映っている。

実際に、今まで見逃していたような妊婦の苦労にも気がつけるようになった。
わたしが電車で親切にしてもらったように、わたしも誰かに与えられたらいいなと思う。

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