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「監督であり教育者」の愛情

わたしの今年の推し・履正社高校の小田村くんが発した言葉で印象的だったことがある。

「監督は自分の人間性を厳しく指導してくれた。恩返しがしたい」


この言葉を聞いて思わずウワッと目を伏せたい気持ちが湧いてきた。自分の「人間性」を厳しく指導されることはすごくキツイことではないか。

わたしは、そのようなことをされたら傷ついて立ち直れないんじゃないかと容易に想像がつく。
まだ若く取り返しがつくであろう高校生のときでさえきっと受け付けられなかっただろう。



入学当初からヤンチャだったという小田村くんは、一年前の夏に監督からマネージャー転向を言い渡された。
一ヶ月間マネージャーの仕事をこなして、見えなかったものが見えるようになったのだろう。

たしかに一流の選手たちは皆人間性に優れている。自分の弱い部分と向き合うことは苦しいけれど、逃げずに取り組んだことに心から尊敬する。

ビブスを洗濯したり、ボールを並べたり、グラウンド周りの草を刈ったりしていた」。これまでとは異なる立場になることで、見えてきたものがある。「コーチが練習メニューを考えることが当たり前のように見えていたけど、難しいことだし、僕たちのためにいろいろと準備をしてくれていた。支えてくれる人たちもたくさんいて、チームが一番という気持ちが強くなったし、感謝の気持ちを覚えた
https://web.gekisaka.jp/news/highschool/detail/?376392-376392-fl



そんな経験を経て、今大会では6試合連続ゴールという驚異的な記録を打ち立てた。

5試合連続ゴール中で迎えた盛岡商業戦、わたしはやはり小田村くんの連続ゴールを期待してしまっていた。履正社は後半から次々と得点をし、疲労も溜まっているであろう小田村くんは交代させられるのかと思っていた。さすがにここまでかと…。

『交代するぞ』と言ったら、むくれた顔をしたので(笑)、じゃあ最後まで行って点を取ってこい


結局小田村くんはフル出場をし、6試合連続ゴールを決めた。もちろん期待に応える本人も凄すぎるが、選手の意思を尊重し信じて送りこむ監督の愛情を感じる。
厳しくも思えたマネージャー転向の指導も、教育者としての愛情だ。

高校サッカーの監督は、監督と同時に教育者なのだ。


自分を想って指導してくれたこと、変われたこと、尊重し信用してくれたこと。すべてが選手たちの、高校生たちのこれからを支えるのだろうと思う。



そんな履正社を指揮するのは平野直樹監督。
ガンバ大阪のジュニアユース監督時代には稲本潤一、星稜のコーチ時代には本田圭佑などを見た名将だ。

高体連は学校の先生だから、選手たちの勉強だとか苦手なことだったり「これを見られたらやばいな」ってことも情報がいっぱい入ってくるんですよ。提出物を出していないとか。好きなことをやっている時って機嫌がいいですよね。でも嫌いだったり苦手なことをやっている時って機嫌が悪い。そこで指導者がやらなければいけない事もあるんで、そういう事も学べる場所っていうことですね。だからサッカーでも自分たちがボールを持っている時は機嫌がいいけど、相手ボールになった時に「ここは我慢だ」っていう場面も沢山ありますから。そういうところに繋がってくると思います。
https://koko-soccer.com/interview/17-manager-interview-relay/237-kantokuinterview80


わたしは「監督であり教育者」が指揮をとる高校サッカーが好きだ。


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