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【米国株】インサイダー売りはノイズ

創業者や役員といったインサイダーの持ち株売りが報道されるたびに、この会社の株価はもう上がらないのではないか?暴落の予兆か?との不安を口にする投資家が出てきます。

会社のことを一番よく知っている人達が株を処分しているのだから、何か投資家が知り得ないところで会社に良くないことが起こっているのではないか?と勘繰りたくなるものです。

しかし、インサイダーによる株売りは問題となりません。

米国証券取引委員会(SEC)の規則10b5-1は、インサイダー取引に関する規則です。以下はその主な内容です:

  • 取引計画: インサイダーは、価格、金額、売却日を事前に指定し、多くの場合、計算式や評価基準によって決定される、株式を売却するための所定の計画を設定することができます。

  • 肯定的抗弁: 重要な未公開情報をインサイダーが知る前に、誠実に計画を立てた場合、インサイダー取引に対して積極的な抗弁が可能です。

  • クーリング・オフ期間: 取引を開始する前に、10b5-1プランの下で強制的な待機期間であるクーリング・オフ期間が設けられています。

  • 善意の要件: インサイダーは、取引計画に関して誠実に行動し、計画を採用した時点で重要な未公開情報を認識していないことを証明しなければなりません。

  • 複数計画の制限: 濫用を防止するため、本規則は複数の重複する取引計画の利用を制限しています。

この規則は、インサイダーが重要な未公開情報に基づいて取引できないようにすることでインサイダー取引を防止し、証券市場の公正性と健全性を維持することを目的としています。

つまり、インサイダーは好きなタイミングで株を売ることもできず、投資家に公表されていない重要情報でもに株を売買することを禁じられているのです。

ですのでインサイダー売りの報道が出たからと言って、何か良くないことがこれから起こるのではないか?と心配する必要はないのです。

最近起きた事例を見てみましょう。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-02-21/S96TZDT1UM0W00

ベゾス氏は2/20までの9営業日で約85億ドル(約1兆3000億円)の持ち株を売却しましたが、AMZN株は崩れていません。株の取引量も他の日とほとんど変化ありませんでした。

インサイダー売りはノイズであり、投資戦略を左右する要素ではないのです。

そもそも、創業者や役員サイドからすれば、資産の大半が自社の株であり、これは一社に自分の資産を集中投資している状態と言えます。全く分散投資されていないリスキーな状態であり、株を売って他の資産にシフトさせるのは自然なことです。つまり、インサイダーは基本的に売ってばかりなのです。

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