完成度の高さ≠売れる

最近アート系(美大出身とかも含め)の人と話をすることがとても多いのだけど、とにかく彼らと話していて決定的に私の目線と違うところがひとつあると感じたのは「完成度」ということだ。

完成度を高めることが成功だという価値観がそこにはあり、それが決定的にビジネス的な成功の足を引っ張っていることには気づかないということ。
(美大では売れてることよりも、作ってるヤツが偉いという風潮があったって話も聞いた)

ビジネス的には「完成度を一段下げる」というのはものすっごい重要な戦略になる。個別にはいろいろあるんだけども、完成度が高いと売れる可能性は高まるという相関関係はない!

まったくない!

芸術家系
職人肌
アスリートタイプ
は、特にそこらへんわからない感覚がありそう。完成度を高めるのが存在意義的な価値観が強いから。あと、鍛えれば高まると思ってる。

それは圧倒的成長が見込める場合はありだけど、今すぐ金が欲しいというビジネスには向かない。こういうタイプは、完成度を金で買ってくれる会社に勤めるのが一番安定するとは思うけど…基本的に人のいうこと聞かないしね、厳しい道になる。

私の仕事は、どこまで完成度を落とすかを決め、落とした分を次のお金であげることまで含めてドキュメンタリーでお届けすることであり、妥協なく完成度を上げる姿勢を見せること。

完成度を高めることじゃないよ、完成度を上げる姿勢を見せることなんだよ(それはsnsの発信のこととかじゃなく商品にいくらお金を使うかとかでも意図的に変えられる)

もちろん一定の品質は必要だし、そこは崩せない。そしてあえて完成度を落として売り出しても、必ずバージョンアップしなくてはいけないからハードな話ではある。

楽に儲かることなんかどこにもないか、犯罪のどちらかだ。

完成度の高さと売れる可能性に相関関係はない!
と、利き手にタトゥーでほっとくべき。透明なインクで。

前も書いたけど(「ハードルを下げる頭の良さ」)、まず商売したいなら商品の完成度を高める前に売り始めなくてはいけない。なぜなら商品が完成するまで待って販売しても、市場に沿わない可能性があった時にそこまで上げた完成度が無駄になるし、一度完成させたものをさらにそれを越えるというのは大変な苦労が伴う。

つまり、コストが余計にかかるってことです。

売れるかどうかを市場に聞くには、マーケティング調査なんかじゃなくて販売するんですよ、普通に!
そこで売れたら売れるし、売れなかったら売れないんだ。調査会社に何百万も渡す必要もなくむしろ利益も出るかもしれない。調査はコストにしかならないけど、売ってみるというのは利益が出る可能性がある。
長期的に見て必要不可欠な調査であるなら無駄という事はないけれど、売っちゃえばはっきり答えは出るし、何なら利益も出る。マイナスしか出ないのと、プラスに転じる可能性の差はものすごい。

でも、ひとつ注意しなきゃいけない事があって、その低品質で売った時に「あそこは悪いものを売っている」という印象をお客に持たせてしまうリスクは当然ある。そこをそう感じさせないように販売するっていうのも重要ポイント。でもできない事じゃないです。今はネットなどで情報発信が簡単になっているので、プロトタイプから販売していく事を最初からお伝えしながら売ることも十分できる。そうするとネットでの販売がメインになってしまうというところはあるけれど、最初のうちはそれでもさほど問題ないかと思います。
ネットから飛び出すのは簡単だ。

最初のお客はむしろ制作メンバーくらいのイメージで外に出す。
これがものすごく大事だし、今の時代だからできる事でもある。

でも、これができないわけですよ、完成度の呪いにかかっている人は。

完成したものを作れば成功する、成功しないのは完成度が低いせいだ。
あるいは、完成度は完璧だ、これで売れないなんて何がいけないんだ?マーケティングか?みたいな事をし始めてしまう。

売れないのは、完成度なんかあんまり関係ないんです。
売れるか売れないかは、そういうものだとしか言いようがないです。
強いて言うなら、その完成されたものが間違っている。

つまり、自分たちの考える完成度って、結局自分たちの尺度の完成度でしかないわけです。そういう面が必ず一定量含まれています。特に素晴らしい技術などで万人に伝わるようなものを作る人もいますが、それだって自分の尺度で作るしかなくて、その尺度感が素晴らしく世の中に伝わるものである場合、それを「完成度が高い」なんて評されてドンドン売れたりするんですけど。でもその場合上っ面の完成度を真似なんか絶対にできないんです。必要なのは尺度がその市場に沿っているという事で、それが個人的な感覚とうまく一致する人もいるというだけ。そんな訳の分からない霊感みたいなものを真似して完成度を高めるなんて二階から目薬はやめて、素直にプロトタイプを販売しちゃえばいいんですよね。それが一番早い。
でもできない(無限ループ)。

これで、時間という唯一平等な資産を無駄にしていく……。
チャンスだと思った波も消えていく。最近は特に早いからねーそういう波は。

まず、売る。売れるというサイクルに入ったものだけをバージョンアップしていく。最初の未完成なやつがいいという人もいると思うけど、そこは売り手がどういう商売をしたいか、どういうものを作っていきたいか、つまりそのビジネスのビジョンによって取捨選択していくべきところ。
売れるサイクルに入っていない商品の完成度を高める努力は、はっきり言って無駄。いや、無駄になる可能性が高いという意味で、シビアに見るべき。

完成度は、コントロールすべきもの。
もちろん高いほうがいいし、高める技術を持っていることは強みであるけれど、戦略としては「完成度を落とす」という事も必要なのです。
というか、そういう考え方もあるってことをまず選択肢にいれる。
完成度は高めるもの!という思い込みをやめる。
あなたの100点は誰かの30点かもしれない
のだから。
↑これは1年くらい前に書いたものだけど、そこから一年たってこの考えはより強くなった。

完成度の高さを求める事と、売れる事、成功することは、それぞれ別の事であり、関係があるが一定の公式が存在するものではない。
これを絶対に忘れないように。

つまり、この世はすべて「関係があるようで関係がなくて、複雑に関係しあっていて、すべてに意味があって、すべてのものは無意味で、あらゆるものに価値があってあらゆるものの価値は重要ではない」というものなんだ。

わかりやすくいうと、全然わからないっていう事。

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つよく生きていきたい。