バーゼルのアートバーゼルはバーゼルバーゼル
世界の現代アート大集合、アートバーゼル。
の、総本山というか本家というか、宗家というかが、毎年6月にスイスのバーゼルで開かれるアートバーゼルで、通称バーゼルバーゼルというらしい。
ほかにも、香港バーゼルとかマイアミバーゼルとかが開催されているので、本家はバーゼルバーゼル。
なにそれかわいい。
スイスのバーゼルは、フランスとドイツとスイスの境目みたいなところにあって、ヨーロッパにおける国際展示場という感じらしく、時計の世界的な見本市でもとっても有名。
アートバーゼルも、基本的には個展とかではなく、販売のために並べられる場所だという。
美術館ばかり行っていると、美術品が売り買いされるという感覚がどんどん薄まってしまうけれど、あれらも所詮モノだ。売り買いは可能だ。
さらにもともと西洋美術の文脈から言うと、昔からあるやり方とそれに反発するやり方(それだって過去の積み重ねがあればこそ)がそこにあるということで、いたって普通というか、特別なことではないのだろう。
がんばって外国語を理解しないと入れないものではなく、でもちょっと特殊な、スポーツのようにルールと技術をマスターしておかないとその世界は理解できない、しかしボールを蹴るのが楽しいとか蹴られているボールを見てるのが楽しいとか、そういう意味が分からなくても根源的な面白さは共有できるし、面白さがわからなくても応援というエンターテイメントにハマってしまえば内容なんてどうでもいいみたいな側面もあり、そして金があるなら金があることを見せるためになるべく高価なものを買いたくなる。
そういう、人間が集まった時に起きる様々な現象のすべて。
「いきなりアートバーゼルにいく前に、バーゼル市内で美術館とか見てから行ったほうがいいかもしれないですねー」
「ええと、ホルバインとか」
「そう、ホルバインとか」
「で、アートバーゼル行って、凄まじい量あるから、まあとにかくあれこれ見てもらって、あと行きたいところはありますか」
「ええと、バイエラー財団…」
「ああ、あそこは金持ってるから!もしかしたらアートバーゼルに日程あわせてなんかイベントやってるかもしれないから聞いておくわ。アートバーゼルの会場から、たぶん電車で20分くらいの場所ですよ」
「で、あと、やりたいことは?」
「ライン川を渡りたい」
世界史で覚えた地名、ライン川。
合唱隊で散々歌ったモルダウ川も憧れかもしれませんが、バーゼルはライン川がど真ん中に流れている街。
スイスと言えばユングフラウとか、マッターホルン、ニーゼン山などなど、とにかく山なんだけど、川や湖も大きいらしく。
今回は山に行く余裕はないので。
でもスイスまで行って山を見ないとかどうなのという気もしつつ、そもそも山育ちで山に遊びにくるやつらが大嫌いだったという事も思い出したりして、山に対する気持ちはいつも複雑です。
あと、スイスの鉄道、安くない。
物価もヤバいが、いろいろヤバい。
スイスフラン、150円。スイスにいるだけで貯金が溶けて破産するんじゃないかという恐怖がある。
そして、そんな中で、人生において最も無意味な、役に立たない、アートというものを(しかも信じられない高額な)、見に行くという不思議なことをやる予定です。
もし2023年のバーゼルバーゼルに行く方がいたら、現地でお会いしましょう。ライン川を渡りましょう。
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¥ 300
つよく生きていきたい。