「アイドルマスター シンデレラガールズ」をまったく知らない女が2日間配信ライブを見たら

誰にでも“初めて”のときがある。

2022年1月29日、私にも“初めて”が訪れた。

初めての『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th ANNIVERSARY M@GICAL WONDERLAND TOUR!!! 【Tropical Land】』

簡単にいうと『アイドルマスター シンデレラガールズ(以下、アイマスと略す)』というゲーム&アニメのキャラクターの声を担当している声優さんたちが出演する、10周年記念ライブ。

1月29日、30日と2DAYSで有観客の沖縄公演を行うはずだったけど、オミクロンがオミクロンしたせいで無観客の配信のみになったらしい。

今回は、その配信ライブをアイマスをまったく知らない私が2日間見てどう思ったか、という話をしようと思うんです。

そもそも、そんな私がなんでアイマスの配信ライブを見ることになったのかというと、理由はひとつ。普段から仲良くしてくれている声優・タレントの杜野まこちゃんが出るから。まこちゃんが私の知らない世界でどんな輝き方をしているのか見てみたいなー、と思ったんだ。

そういえばさっき、アイマスをまったく知らないと言ったけど、これはちょっと言い過ぎたかも。本当は、まこちゃんを通して少し知っている。

まず、ゲームのコンセプト。これは自分で一度調べたことがある。「プレイヤーがプロデューサーとなってアイドルユニットを育てていき、その子たちをトップアイドルにすることで自身も“アイドルマスター”となることを目指すゲーム」であっているよね?

だから、このゲームのプレイヤーは自分たちのことをプロデューサーと呼ぶ。お互いを〇〇Pって呼んだりする。

で、まこちゃんが声を担当しているキャラクターが姫川友紀ちゃんというアイドル。野球が好きなキャラクターで、現実のまこちゃんとリンクしているんだよね。ビジュアルも何度か見たことがあって、元気で周りをパーッと明るくしてくれるようなイメージの子だったのを覚えている。あと、ユッキーと呼ばれていることも知っている。

ユッキー以外のキャラクターはひとりも知らない。

そんなアイマスの声優さんたちが出演するライブがあることは、まこちゃんが今まで何度も出演していたから知っていた。

「今月ライブがあるんだー」とか「この前ライブだったんだー」とか、姫川友紀ちゃんへの思いとか、ときどき普段の会話の中で出てきてはいたし、話の様子から大きなライブなんだろうなということもなんとなーくわかっていた。

結局のところ、アイマスというゲームについてはユッキーというキャラクターがいること以外よく知らないということなんだけど、そういう人がいきなり配信ライブを2日間見るとどんな感想を持つんだろうというのが、今回のテーマ。

自分でも予想がつかず、ちょっとワクワク。
何事にも“初めて”は一度しか訪れない。

先に言っておくべき私の習性

私がアイマスに接する機会がなかったのは、単に私の趣味嗜好と異なるものだから。どのくらい違うかを書いておいた方が、ライブを見たあとの変化がわかりやすいと思うのであえて細かく書いておく。
 
私自身、ゲームはかなり好き。
平気で丸一日やっていられる。(良い子は適度にやろう)
ただ、私がするゲームは麻雀、ゴルフ、野球、パズルゲーム、ボードゲームなど。アイドルを育てる系のゲームはまったくやらない。

アニメや漫画も大好き。
はまると何十時間でも見続けられる。(良い子は適度に見よう)
ジャンルも結構幅広いと思うけど、異世界なんとか系とかアイドルなんとか系はほとんど見ることがない。

音楽も幅広く聴く方だと思う。
J-POP、POPS、K-POP、R&B、HIP HOP、REGGAE、JAZZ、HOUSE、ROCK……

トラック、メロディー、歌詞、いろいろな角度から好きを見つけるけど、前提としてボーカルの歌唱力の高さが聴くことの条件になる。

物心ついたときからピアノ、クラリネット、DJなどずっと音楽をやってきたせいなのか、音のずれに対して体が勝手にストレスを感じてしまうというどうにもできない理由があるためだ。
気持ちがこもっているとか頑張っているというような“心”の部分も大切にしたいけど、どうしても“技術”を優先させて聴く曲を決めることになる。

だから、歌の上手さが重要視されていないグループの曲なんかは、あまりじっくり聴いていられない。あ、でも、なぜかSMAPとかは聴いていても平気だったな。

他に、書いておいた方がいいことはあるかな。
性格上の欠点も書いておこうか。
多くの人が持っている感覚なのに、私は持っていない感覚。

私は、誰かに憧れたりのめり込んだりすることがない。

たとえば私は野球が大好きなんだけど、好きな野球選手を聞かれたときに答えることはできても、好きの感覚が他人と違うらしい。

私の好きは、その選手のサインが欲しいとか、握手したいとか、一緒に写真を撮りたいとか、その選手に認知されたいとか、その選手を追いかけたいとかではない。だからファン感謝祭のような選手と触れ合える行事にも行ったことがない。

そう言うと「好きじゃないのでは?」と言われるけど、私の中ではものすごく熱く好きという思いは持っている。ただ、その対象が野球選手であればその人のプレーと人物像、歌手であればその人の歌声と人物像であり、それ以外の何かを求めたいと思わないってこと。

同性に憧れを抱くこともないので、この人みたいになりたい! と思ったことは人生で一度もない。好きな芸能人の見た目を真似するとか、その人が出ているCMの商品を買おうと思ったことがない。落ち込んでいるときに好きな芸能人を見たり好きな作品を見たら元気が出た、なんていう経験もない。

現実の人間でもそうなのだから当然、架空の世界で生きているゲームのキャラクターだったり、その声をやっている声優さんにのめり込むということも私の場合は考えにくい。

だから、今回どんなにアイマスのライブが最高だったとしても、今日から私もプロデューサーになる! アイマスの世界で生きていく! 〇〇ちゃん大好き! となることはないと思う。

もちろん、私自身にそういう感覚がないと言っているだけで、私と違う感覚の人を否定しているわけではないから勘違いしないで欲しい。
親になったことのない人に親の気持ちはわからないし、骨折したことのない人に骨折した痛みはわからないのと一緒で、ただ私にない感覚というだけ。マイノリティーだという自覚もある。

そんな感じで、超絶ドライな性格の私が異世界の「ゲームのキャラクターの声を担当している声優さんたちの配信ライブ」を見たらどう感じるのかを検証しようと思う。

正直な感想を述べていくけれど、もちろんマイナスな意味で言っている言葉はひとつもない。変な解釈をしないで、全部素直に受け取って欲しいです。

いやー、長い前置きだった(笑)。
ここからがもっと長いから、一度トイレ休憩推奨です。
ということで、いよいよライブ視聴スタート。

1日目

本当は沖縄でお客さんを入れて開催されるはずだった今回のライブ。無観客の配信ライブとなったことは、出演者にとっても現地に行くはずだったプロデューサーたちにとっても本当に無念だっただろう。

配信が始まる前に、出演する19人の声優さんの中でまこちゃん以外に知っている人がいるかチェックをすることにした。

いた! 中島由貴ちゃん。たまたまこの前『UTAGE』という番組を見ていたら、キスマイの宮田くんがアニメソングメドレーを歌うために即席バンドを作っていた。そのときベースで参加していたのが確かこの子で、しまゆきちゃんと呼ばれていたはず。

お、もうひとり発見! 伊達プローーーーーーーー!! 私は麻雀のMリーグを見ているので伊達プロが声優だということは知っていたけど、まさかアイマスの声優さんでもあったとは。

声優界にうとい私なのに、この日の出演者の中にふたりも知っている声優さんがいるなんて、結構な確率じゃない?
幸先がいい。

さっそく配信ライブのページにアクセス。始まるのを待っている間、流れるプロデューサーさんたちのコメントをひたすら読む。

無観客で配信のみになってしまったことを残念がるコメントと、もう少しで始まるライブにワクワクしているコメントが流れていく。ライブが始まる前のこのソワソワする感じは私も知っている。

開始予定時間の17時を少し過ぎたころ、ナレーションが入った。事務員のちひろちゃん?とかいうキャラクターのようだけど、絵がシルエットだけなのでよくわからない。とにかくちひろちゃんがナレーション担当ってことね。

そして、オープニングのアニメーションが始まる。なんせ初めて見るのでまだ世界観がつかめず、盛り上がるコメントを横目にただただ無言で見続ける。

アニメーションが終わったら、ステージが映って全員揃っての1曲目が始まった。コメントがすごい勢いで流れていく。そりゃー、ライブの始まりって気持ちが盛り上がるよな。わかる。みんなトロピカルな衣装に身を包み、アイドルらしい華やかさで歌い踊っている。

私はというと、まだこの雰囲気に乗れていなかった。まあ、全然知らない曲だし、人もまだ覚えていないし当然だよな。とりあえず、冷静に無言で見る。

あーーー! まこちゃーーーーーーん!!

まこちゃんが映った瞬間、テンションが急上昇。いい笑顔。大きくてキレのある動き。素晴らしい! まこちゃん、素敵だよ!

しまゆきちゃんと伊達プロも探したけれど、19人が短いスパンで次々と映っていくのとフリフリの衣装を着ていて印象が違うからか、どれかよくわからない。トークの時間にちゃんとひとりひとり確認できるはずだから、今はとにかく見ていよう。

ちなみに、ユッキー以外のキャラクターを知らないので声優さんたちがどのくらいキャラクターを再現しているか比べようがないが、まこちゃんはユッキーと同じ髪型だった。

1曲目が終わったら、全員の自己紹介タイム。MCは原紗友里ちゃんという声優さんのようだ。役名は本田未央。初っ端からMCするなんて、原さんはリーダー的存在なのかな?

ここでやっとひとりひとりの名前と顔を確認。

声優さんたちがしゃべっている間に、コメント欄には「飯屋」「毛深い」「りあむ」などよくわからない言葉がたくさん流れてきて気になるも、とりあえずここはスルー。「りあむ」がキャラクターの名前だということは途中でわかった。

長年のファンの人たちは全員わかるだろうけど、19人もいるとすべての声優さんを初見で覚えるのは難しい。すぐに覚えられる人、なかなか覚えられない人が出てくる。たとえば私は口元にほくろがあるから初対面の人はそこで覚えたりするみたいなんだけど、同じように顔や動きに大きな特徴がある人なんかは真っ先にインプットされた。

伊達プロとしまゆきちゃんもやっと認識できた。あと、ジャンルは違えど私も人前に出て仕事をする身なので、魅せ方が上手だなと思う人は自然と頭に入ってきた。

何も考えずにただ楽しみたいと思っているのにステージでの振る舞いを分析しながら見てしまうのは、職業病でもあるので仕方がない。

自己紹介が終わったら、また曲が始まる。ライブ中に何度かトークの時間があったけど、毎回MCがトークコーナーの終わりに「ここからまた曲に行くよー、次の曲は……」という内容のセリフを言い、そのあと全員で声を揃えて「この曲です!」と言ってから曲に入るという流れだった。

実は1日目はまだあまりライブに入り込めないところもあって、まこちゃんが出てきたらちゃんと見るけどそれ以外はなんとなく見ている感じだった。それに、家で見ているから自由に動けちゃうというのもあり、お腹がすきすぎて途中離脱してご飯を作りに行ったり、LINEが来たらそっちが気になったりというのもあった。

そんなこんなで、この日は強く記憶に残った部分はなく、気づいたらもうアンコールになっていて『EVERLASTING』という曲を全員で歌って踊っていた。この曲は、途中でビートが一瞬変わる部分があって構成がとてもいいなと思ったことを覚えている。

そのあと、ひとりずつ挨拶があり、最後は『お願い!シンデレラ』。これはCMで中居ちゃんが歌っていた曲だから、さすがの私もサビを知っていた。
 
最後まで華やかに歌って踊るアイドルたちを見ていると「かわいい衣装に身を包んではじけるような笑顔を見せてくれているけど、体力の消耗は激しいだろうな」とか「全員がずっと出ずっぱりではないけど1ステージやるだけでも相当疲れるだろうに、明日も同じボリュームのステージを見せてくれるってことだよね。すごい」なんていう気持ちになって、とにかく笑顔で1ステージこなしていることにリスペクトを感じた。

だって、休憩なしで3時間半くらいあったからね。私が行くようなライブは長くてもだいたい2時間半くらいだし、もっと長いライブがあったとしても途中で必ず休憩が入る。ぶっ続けの3時間半は出演者はもちろん、視聴者もものすごくパワーを使ったんじゃないかなと思った。

でも、好きなものがこんなにボリュームたっぷりで見られるなんてファンは嬉しいよなーとも思った。

ということで、1日目が終わってのまとめ。

しっかり見ていたのは、ほぼまこちゃんのシーン。トークの安定感はいつも通り素晴らしく、歌とダンスは杜野まことしてのソロライブで見ていたけど、そのときとはまた違う雰囲気でユッキーとしての表情や大きな動きも加わってとても目立っていたなと思った。もともとまこちゃんを知っているから目に入るだけではなく、どこにいてもわかる華やかさがあった。

そして改めて言うけど、みんなこんなボリュームのあるライブをこなすなんて体力的にも精神的にもすごいなーと、本当に感心しちゃった。

よし、出演者のパワーに負けていられない。2日目はもっとしっかり見るぞ。

2日目

前日に誓った通り、2日目は4時間近くあったものを最初から最後までしっかり見た。差をつけるものではないかもしれないけど、個人の感想として2日目の公演は1日目に増して素晴らしかったと先に言っておく。

ライブの開始は1日目より1時間早い16時から。1日目は休憩なしの3時間半だった。それを踏まえて、途中でお腹がすいてもいいように食べ物も準備し、トイレも済ませて準備万端。

ほぼ16時に開始。
オープニングからの流れは昨日とだいたい同じ。

1曲(トロピカルガールという曲らしい)歌ってから、自己紹介コーナー。昨日より顔と名前の一致する人が増えたぞ。

そういえば昨日もあったけど、コメントで見かける「飯屋」とはなんだ? 昨日はまあ知らなくてもいいやと思ったけど、今日は知りたい気持ちの方が強くなっている。調べてみよう。

で、わかったのが原紗友里ちゃんのあだ名だということ。アイマス関連の番組で、原さんの他のあだ名を考えようということになったときに、原さんは救世主の「メシア」がいいと言ったけどそれをリスナーさんが「飯屋?」とコメントしたことで、結局「飯屋」になったという。

こういうのは普段からアイマスに触れている人たちじゃなきゃわからない情報。でも、わからないからつまらないと思うのではなく、何だろう? と疑問を持って調べて知るというのも、一歩その世界に近づいた気持ちになってよき。

ついでにもうひとつ気になっていた「毛深い」も調べてみよう。「草」とか「すこ」のようなもともとネット用語?だったものだろうか。

これは、上坂すみれちゃんが「かわいい」と言われることが苦手で「かわいい」の代わりに「毛深い」を使って欲しいと言ったことから始まったらしい。

なるほど……ってなるかい!
なんだそれは(笑)。

上坂さんは、透明感のある見た目とは違うキャラの声優さんに違いない。

山下七海ちゃん、アイドルの中のアイドルみたいな感じ。アイマスで演じている大槻唯というキャラクターを知らないので、山下さんそのものとして見てしまうけど、系統としてはAKB48の柏木由紀さんみたいなイメージ。魅せ方が上手な人だな。

改めて書くけど、ユッキー以外のキャラクターを知らないので、私にとっては声優さんがキャラクターに寄せているかどうかなどはまったくわからない。このあと出てくる山下さん以外の声優さんも、見た姿をその人の特徴そのものとして覚えていってしまうことになる。

でも、みんなアイマスのキャラクターの代わりに中の人として出ているライブだし、私にこういう人なんだと思われることが逆に成功ってことだよな。

ライブが進んでいき、衝撃を受けたのが『ずるじゃん』という曲を歌うしまゆきちゃん。いやいやいやいや、あざとかわいすぎでしょ。すべて計算しつくされたような動き、声、本当に少しのほころびもない完璧なあざとかわいさ。

こんなの、ずるじゃん!

全国民が彼女のことを好きになっちゃうんじゃないかと思ったわ。

その次の『OTAHEN アンセム』という曲も衝撃的だった。主にコメント欄ではりあむという役名で呼んでいる人が多かった星希成奏ちゃんのソロ曲のようで、タイトル通りヲタクについて歌っている歌みたい。

で、りあむちゃんのうしろでまこちゃんと新田ひよりちゃんがヲタ芸をするんだけど、まーそれが素晴らしすぎた。全力全開のヲタ芸に感動すら覚えた。BPM速くて歌うの大変そうな曲で、噛んでいたりあむちゃんもかわいかったなー。

あと印象に残ったのが『レッド・ソール』という曲。この曲はいい曲だなーと思って配信ライブが終わったあと、唯一改めて調べて聴きなおした。1日目にも歌ったみたいだけど、ご飯を作りにキッチンに行っていたときだったのか記憶にない。

個人的には、アイドルアイドルしたものよりこういう大人っぽい曲調の方がやっぱり好みなんだと思う。だからといって、他の曲は好きじゃないということではない。(変な解釈をされないように念のため言っておく)

かわいらしい声が多い中で、低めの格好いい声を出すふたり(河瀬茉希ちゃん、松田颯水ちゃん)がこの曲を歌っていて素敵だと思った。ちなみに、河瀬さんは髪が一人だけ金?アッシュ?みたいな色だったし、松田さんは自分のことを「我(われ)」と言っていたので、すぐ覚えられた。

他に、鈴木みのりちゃんと原田彩楓ちゃんもいて4人で歌っていた。歌が上手な4人だったけど、特に鈴木さんは安定感のある素敵な歌声だなととても心地よく聴いた。あとから、鈴木さんはもともとアーティストだと教えてもらって納得。

そして、まこちゃんのソロ曲『気持ちいいよね 一等賞!』。

毎回まこちゃん演じるユッキーがホームランを打ってから曲が始まるらしいんだけど、今回は飯屋さんが相手チームのピッチャー役で、まあ芝居が細かいし何より上手だった(笑)。まこちゃんの指導を受けた部分があったにしても、野球を知らずにあそこまで自然な動きができたのだとしたら、飯屋さんはものすごく勘のいい人なんだと思う。好きになっちゃった。

この曲って休むところがないのに、息も切らさずに最後まで歌えるなんてまこちゃんはすごいなと思った。途中でテンポが変わったり、他にも注目すべきところはたくさんあると思うんだけどね、何よりもあんなに笑顔のまま踊って歌って息を切らさないっていうのが一番すごいと思うんだよね。

最後は、誰もいない部屋で「まこちゃん良かったよ!」と声に出して言いながら拍手しちゃったよ。

トークコーナーも楽しかった。私はみんなのことを知らないから、このコーナーをじっくり聴くことで、この人はこんなしゃべり方する人なんだなーとか、この人はマイペースな人なんだなーとか、この人はいじられ役でこの人はまとめ役かー、なんてことを知っていく。

2日目は特に1日目よりもちゃんとトークを聴いていたから、だんだん人も覚えてきてよりトークの中身もわかるようになってきた。その場にいるときもいないときもまこちゃんの話題が出ていて、友達ながらやっぱりどこに行っても目立つ人なんだなと思った(笑)。

2日目の途中まで見て思ったのが、アイドルっていうのはちょっと不器用なところを残しているくらいがかわいいんだなってこと。

全部一緒にするなと思われるかもしれないけど、アイドルの世界にうとい私にとって現実の人間にしろゲームの中のキャラクターにしろ、アイドルというものについては全部同じような意識で見ている。

私の場合、前述の通り人にのめり込んだりすることはなく、野球選手なら野球、歌手なら歌、俳優なら演技と技術的な部分を中心に見る。だから、その人全体が商品であるアイドルについては、どこに重きを置いていいかわからなくて興味を持ちづらいものになってしまう。

飛び抜けて顔が整っているとか、飛び抜けて歌やダンスが上手いとか、ドラマによく出ている演技派とか、そういうわかりやすい特徴がある人だと記憶には残ると思うけど、そうでなければどう好きになればいいかわからない。

考えれば考えるほど、私はアイドルの世界に浸かるには向いていないと思えてくる。

そんな私が、だ。2日合わせて6時間以上アイマスのライブを見続けた結果、いつの間にか出演者のみんなに興味が湧いていた。個人的には普段使うことのない言葉なんだけど、“推し”というやつも出てきた。

もちろん杜野まこ推しだけど、それ以外にも少しずつ気になる子が増えていくのを感じていた。で、なんで気になるのかなーと考えた結果、わかったのが「全力で頑張っているけどちょっとだけ不器用なところがあるから」だと思った。

たぶん、みんなプロの声優として立派に活躍しているんだろう。歌もダンスも素敵だし、そもそもこんな大きなライブをこなしている時点ですごいと思う。だけど、なんというかみんなどこか少し隙があるんだよね。

トークがそんなに上手じゃなかったり、不器用そうな動きをしたり、一人称が私じゃなかったり、ちょっとダサい部分があったり、なんか少しだけ足りない部分というか隙がある。それは悪いことではなくて、そういうところがあるからこそ応援したくなるんだ、と気づいた。

私は、技術的に秀でている人が好きで、不完全より完全な人の方が好きだから、育てるアイドルのようなものが日本で流行り出したときに全然興味が持てなかった。でも、今更ながらそれを好きと思う人の気持ちがわかった気がした。

ちょっと欠けているところがある女の子が、頑張ってどんどん成長していってものすごいパフォーマンスも見せてくれるようになる、なんてキュンキュンくるじゃん。応援したくなる。

で、そのファンの人たちの応援が、その子の欠けている部分を補う。自分の応援もその子の一部になって、その子が完全体になるっていうのがいいんだよね、きっと。

そんなことを考えながら、アンコールを迎えた。

10年間を振り返るライブ映像が流れ、ちひろちゃんのナレーションが入ると再び曲が流れ出す。アンコールの1曲目は、なんと飯屋さんのソロ曲だった。

『ステップ!』という曲。もちろん、全然知らない曲。なのに、なんだか涙が出てきた。コメント欄を見たら、他にも泣いている人が続出しているようだ。

1日目は、アンコール1曲目が全員で歌うシンデレラ10周年記念曲『EVERLASTING』で、そのあとにトークを挟み、また全員で『お願い!シンデレラ』を歌って終わった。

だから、アンコールがもう1曲あることにもびっくりしたし、こういうグループのライブを見たことがないからわからないけど、アンコールにソロ曲をやるってたぶんなかなかないことなんじゃないかと思った。ここで飯屋さんが歌うというのは、何か特別な意味があるんじゃないかと感じた。

そう思ったら、よくわからないけど感極まって涙が出てきてしまった。飯屋さん、素敵だよ! そう思いながら最後まで曲を聴いた。

そして全員での『EVERLASTING』が始まった。ひとりひとりの顔が映る。たぶん、りあむちゃんは泣いていた。それを見たら、また涙が出てきた。情緒不安定かよ。

最後のトーク、全員が一言ずつ挨拶をする。みんな感動するようなことを言っていたと思うけど、正直ここはあまり覚えていない。有観客だったはずが無観客の配信ライブになっちゃって、お客さんの反応がわからない中でもこれだけの素晴らしいライブをしてきたら、出演者も視聴者も思うことはいっぱいあったと思う。

でも、私自身言葉を使う仕事をしているというのもあり、人の言葉が心に響きにくくなっているところがある。なので個人的には、このトークコーナーでの言葉よりも歌って踊る姿からの方がみんなの気持ちを感じやすかった。もう、みんなの思いをいっぱいいっぱい受け取ったよ。そんな気持ちになっていた。

最後は『お願い!シンデレラ』で終演。実に、4時間近い時間が過ぎていた。

終わった。
2日間が終わってしまった。

2日間でどう変化したか

率直な感想を言うと、特に2日目はとっても楽しかった! アイマスのこと、声優さんたちのことを知っていくたびに、どんどん楽しさが増していった。

大坪さんの声は優しいなー癒されるなーとか、らりちゃんの名前どこで切るんだ?(あとから本名であり、ブラジル系で母方、父方の名字が入っているから長いということを知った)とか、1日目にはそういう感想すら持つ余裕なくただ見ていたけど、2日目はひとりひとりに対して感情を持つようになった。

「アイドルマスター シンデレラガールズ」をまったく知らない女が2日間配信ライブを見たら、最後は泣くほど感情移入するようになった。

今のところアイマスのゲームをするという気持ちにはなっていないけど、今回見た19人の声優さんの名前をどこかで見かけたら嬉しいし、その作品は気にして見ると思う。
(実際、この前ニュースで何かのライブについて取り上げていて、そこに上坂すみれちゃんの名前が出てきてテンションが上がった)

そして、次は現地でアイマスのライブを見てみたいという気持ちになっている。知らない世界に一歩足を踏み入れてみて、本当に良かった。

ありがとう、シンデレラガールズのみんな。
ありがとう、プロデューサーのみんな。

この記事が参加している募集

X日間やってみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?