見出し画像

花も気分屋。

 散歩の帰りにシャクナゲ、という花を連れて帰ってきた。揚げ物みたいに美味しそうな名前だ。

お花屋さんの店主いわく、『入学式の看板の周りに飾ってある、紙のぽんぽんみたい』に咲くらしい。

一輪で貫禄のある存在感…!
一重?だとか八重?とか、いろんな種類があるみたいなのだけど(ざっくり。)お店で飾られていたものは焼酎の瓶に入れられていて、ピンクの華やかさと瓶の豪快さが相反してなんだかかっこよくてお洒落だった。


よくみたら、ささってるの…焼酎の瓶!

 そもそも気分屋でマメな性格じゃないので、一人暮らしでいる限り生きているものは育てられないなぁ、と思っていたのだけれど、30歳近くなって、植物を愛でる心がやっと芽生え始めたのか…観葉植物や花を部屋に飾ってみるようになった。

観葉植物は枯らしてしまったこと、数億回。(ごめんなさい)お祝いの頂き物だがなんだろうが容赦なくシナシナに。
…この部屋は呪われてるに違いない、と疑ったこともある。植物に嫌われてるのかとも思った。

33になった今、やっと長くイキイキと育てられるようになり、少し観葉植物側にも認められたと思う。

お花に関しては、水を取り換えてたまに茎を適当にペッペッと切るだけなので、1週間にいっぺんくらい買いにいっては一輪挿しみたいなものにさしたり、サービスエリアで買った可愛いご当地サイダーの瓶に入れてみたりして楽しんでいる。

そんなこんなで、冒頭に書いたシャクナゲを買ったお気に入りのお店もできた。

いつも変わったいろんな花が揃っていて、きっちり並んでいる、というよりはそれぞれが個性的でのびのび育ってる感じ。
ちいさな博物館みたいで眺めてるだけで楽しい。

レジ下に飾ってあったお花。もうすぐドライフラワーになるそうな。


店主は、第一印象は少しそっけないけどなんだか信頼できる保健の先生みたいなイメージの女性だったが、それぞれの花について聞くと『これは水は少なめに、こうすると長持ちする』と詳しく丁寧に教えてくれて、話しだすと柔らかくて目の奥が優しい笑顔になる。

説明を聞いて、素敵だなぁと思って買って帰ったお花を、言われたとおりにドライフラワーにしてみたこともある。
大雑把でガサツな自分が、将来ドライフラワーを部屋に飾るなんて想像もしていなかった。

ふっくらとした蕾で購入したシャクナゲは、花が開かないこともあるらしい。
『開きそうなものを選んでおいたからね』と言われたが、花にもそんな気分屋なのがいるのか…今にも咲きそうな蕾まで作って咲かない選択肢があるのか!咲きます詐欺にもほどがある!!と、なんだか親近感を覚えてしまった。

(気分屋とかじゃなくて、大事に育てたら咲くってこと?)

わたしの購入したものは外側が淡いピンクで中に行くほど白に近い色味になる。

開くかなぁ…

八重咲き。薄い花びらがたくさんロールキャベツ?みたいに重なっていて、本当に紙で作ったポンポンの花みたいに咲くらしい。

 性格をよく熟知した店主にのびのびと見守られてきた気分屋なシャクナゲが、うちでどんなふうに咲くのか、いや、こいつの前では咲かんぞ!となってしまうのか。

楽しみに待ちたいと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?