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ござさんゲスト出演「中孝介コンサート邂逅」感想文(2023.12.2)

 いつもお断りしている通り、わたしは文筆家でも音楽関係者でもなく絶対音感もない、ピアニスト・ござさんを単推ししている一般人である。
 大して音楽に詳しいわけでもないのに、ござさんのコンサート鑑賞記録としてあやふやな記憶と暗闇メモを元にnoteを書いているため、誤りがあるかも知れないことを初めにお断りしておきます。間違い等ありましたら、優しくご指摘頂けると助かります。

0 承前

 2023年12月2日、浜離宮朝日ホール。
 ござさんがゲスト出演なさる「中孝介コンサート2023 邂逅」に行ってきた。
 個人的なことだが、タイトスケジュールに追われ、ニュースの底ぐらさに眉を顰める毎日だから、たとえござさんのご出演が数曲でも、その、生のピアノの真っ直ぐな音にすがる思いだった。今回はどんな曲をどんな音で聴かせてくれるのかなぁ…

2023年は猛暑であり暖冬。12月だというのに汗ばむようなこの日、大手新聞社の脇を通ってホールに行く際に見た夕さり。

 ところで浜離宮朝日ホールと言えば、2022年のござさんがプロになって初の有人ソロコンサート「EnVision」。
 あの思い出がたっぷりつまった浜離宮朝日ホールでのコンサートなので、はじまる前から愛おしくてたまらない。
 あのときの記憶をたぐり寄せながら湾岸の道を歩き、会場に着く頃には上の写真のような夕さりに。長いエスカレーターを上りつつ、初めて会った何人かの顔が浮かび、そのとき着ていた服や、ござさんへのプレゼントに悩んだことなどが思い出される。
 わたしのあの「EnVision」の記事はTwitterのモーメントにあげたきりで、まだこのnoteに掲載できる状態にはなっていないけれど、大事な大事な記憶なので、いつかきちんとまとめなければ…
 この会場は、携帯の電波抑制が働いているホールであるため、スマホは見ることなくそんなことをふわふわ考えながら、コンサート開演を待つ。

1 承前〜ござさん登場まで

 今回のわたしの座席は、比較的前方の6列目で、下手側。ギリギリござさんの横顔と手の動きが見える位置。まさかのペン忘れという間抜けっぷりに、優しい友人がペンを貸してくれる。ありがとう…(泣)

天井の高いこぢんまりしたホール。スタインウェイと三線、ギター、チェロが。こういう編成だとやっぱりマイクは必要になる。

 客入れSEは波の音。これは去年もだったから、中孝介さんの定番なのかも知れない。1ベルはヒーリングサウンドみたいな曲で、2ベルもキラキラしたオリジナル曲。
 やがてオンタイムで伊藤ハルトシさん、黒木千波留さん、中孝介さんの順に登場。伊藤さんと黒木さんは黒い衣装、中さんは白い衣装で光を集めてる。まずは3曲。

①愛紅 弦の音が良かった。Vo.高音部にやや不安定さがあるのは歌い始めだからか?
②サンサーラ 歌詞を意識した歌い方で、世界観が伝わってきた。
③あなたがいるだけで この曲で伊藤さんはチェロに持ち替え、Cr.も入れていた。Pf.の黒木さん前半は控えめに後半のフォルテが効いていた。いずれもボーカルを補うようなアドリブかと思われ、2人の卓越した技術を見た気がした。

 3曲目を弾き終わって、Pf.黒木さんがすうっと影のように下手にはけ、ここで中さんのトーク。音楽と出会ったときのことで、実は歌ではなく楽器が好きだった話など。
(このとき、キャスでも話したが、目の前でトイレに立とうとして転んだ方がいらっしゃって、気が気でなかった。中さんのコンサートは年配の方も多くいらっしゃるから、足元灯はもう少し点いていてもいいかと思う。)

中さんがピアノを習っていて、友達が遊びにきてもずっとピアノを弾いているピアノ少年だった話。
 「ござさんは?」とふられ「僕はですねえ…ピアノも弾いてましたしサッカーしたり、あとポケモンが流行っていたのでポケモンやったり(中略)わりと元気な子どもでしたね!」
 えええ?!ござさん元気な子どもだったの?という軽い衝撃がw きっと、ござさんのピアノを、中さんが「超絶」と誉めていたので照れたんでしょうね…

ゆうかげnote「中孝介声をきかせてコンサート2022 」ゲスト出演 感想文(2022.12.3)より抜粋

 1年前のトークで、中さんがピアノを習ってらしたのは知っていたけれど、次の4曲目で弾き語りしたのは驚いた。しかもかなり達者なピアノだった。伊藤さんとのデュオもよかった。
④いのちの歌(竹内まりやさんのカバー)
⑤遺書の書き方

3 ござさん演奏「ワダツミの木」

 ここで伊藤さんがはけ、ひとつの予感に胸が高鳴る。
「去年もご一緒していただいた… ござ!!!」と紹介され、ついにござさん登場。
 黒の細身のジャケットに、シャツもスタンドカラーの黒。髪を切ってきたようで、後ろがかなりすっきりしていてお似合いの髪型。
 襟元やポケット口が金色(近くで見たオシャレさんによる情報。ありがとうございます!)で、パンツも黒。靴はグレーのスエードのツートン。ベルトだけは多分自前で、使い込んだ感じだったのが好感度高い(「ござの日2023」で、衣装のベルトが長すぎて、切ったことがあったようだったので、ベルトだけは自前だったのかも)!

 ここのトークけっこうボリュームがあったのでまとめると
・中孝介さんもござさんも吹奏楽部と判明。「あらっ!仲間じゃないですか!」ってござさんうれしそう。
・中さんピアノとかチューバとか楽器愛がすごい。
・中さん、最初オーボエがやりたかったのに興味のなかったチューバになった。
・楽器の選択権がなかった話題でござさん「わかります!吹奏楽あるあるですね」と吹奏楽トーク。
・中さんはチューバ、ござさんはクラリネット担当で「親子みたいな楽器」(ござさん談)という繋がりがあったことをお互い初めて知った。

 ここでござさんが椅子の高さを調節。大事な曲が来る予感に包まれる。

⑥ワダツミの木
 奄美の先輩である元ちとせさんのワダツミの木と紹介の後、弾き始めたイントロのはっとするように華やかで正確なアルペジオ。聴き慣れた原曲よりもテンポをスローにして、寄せては返す波打ち際のイメージ。
 2003年12月3日の配信の冒頭で弾いた「ワダツミの木」がコンサートと全然違うアレンジ、とござさんがおっしゃっていたのは、ソロピアノだとメロディを弾く必要があるからだと思うが、雰囲気はあの感じで1周目はシンプルにベースを効かせて。2番目からは和音が重なりベースを弾く左手が跳ねるように。サビの「声を顰めて」のところの指くぐりが美しい。
 大サビのトレモロが中さんの声を支えるように震えるのも、島唄のコブシに合わせたアレンジと見て良さそう。いつもながら正確でよく回る指が繊細だなぁとうっとりしたが、実はそれに続くアウトロがござさんの真骨頂。音量がぐっと上がりff、四度堆積和音(なのか?!)の神秘的で重厚で、重い歴史を感じさせる素晴らしい後奏!
 先に書いた2023.12.3の配信「ピアノ弾いてますリクエスト募集中」はメンバー限定だが、あのときの雰囲気がよく伝わるのと、このコンサート翌日の配信だったので、ござさんの感想がトークで語られている。ぜひご参考に。

4 ござさん演奏「answer」

 すごいアウトロの余韻を観客が曳く中、ステージ上では中さんがトークで繋ぐ。中孝介さんは動画もよく上げていらっしゃるし、トークもお好きなのかな?きっとそこがござさんとしては少し気楽なのかも…
 次の曲紹介で「answer」と言われござさん「一年ぶりですね!」と相槌。このときござさんは立って左手でマイクを持っていた。
 実はスタインウェイの脇に、ござさんトーク用と思われるマイクが設置してあって、座位に合わせてあったと記憶するが、中孝介さんが立っていらっしゃるので、ござさんも律儀に立ってトークされていたようだ。
 譜面台は倒れているものの楽譜を置いており、その楽譜を気にしつつ、脚がちょっとブラブラしたり手が腰にいったり腕組み…はよくないなと思うのかすぐピッとしたり、といってポケットにも入れられないし…みたいな逡巡があるのがござさんらしくて、しかしとても穏やかで落ち着いた立居振る舞い。
 トークの要旨としては

・中孝介さんは奄美育ちだったので、電車の乗り方がわからなかった。
・特に乗換の方法はしばらくわからなかった。学校で教えるべきでは?
・「ござさんは電車の乗り方わかりました?」と問われたござさん「ぼく都会育ちなんで」w 会場が温かい笑いに包まれたのがクライマックス。

⑦answer
 直前までの温かいやりとりを受けたような穏やかな前奏に包まれる多幸感。ござさんは、ほとんど手元を見ずに中さんを見つめたまま弾いていらした。🎶急に咳が出て…のところなど、公式音源より音量強めなのは、中さんとの間合いによるものなのだろうと思う。

ピアノはCDよりも引き算されていたと思う。それでいながら、中さんの歌とござさんのピアノのアウフヘーベンが感じられました。わたしから鍵盤は見えないけれど、左の掌が何度もひるがえり、流れるように弾いているその仕草の途中、ハッとする高音の煌めきがありました。ござさん、うなずきながら弾いてた…。間奏のfffもキラキラをまとって美しい…(中略)
 何ていうか、歌詞世界を「音で」表現しきっているのね。だから、いわゆる「伴奏」というよりピアノ音で「answer」を歌っているのだと思えるのです。

ゆうかげnote「中孝介声をきかせてコンサート2022」ゲスト出演感想文(2022.12.3)より抜粋

 間奏もとても美しく、サビからCメロの高音も歌に寄り添っているようで、すばらしいanswer。上記の去年のコンサートでは、隙のない芸術家同士のアウフヘーベンを感じたが、今年はもう少し歩幅の合う友人同士のanswerだったように思う。アウトロまで美しかったが、これがござさんのこの曲への答えなんだなぁとしみじみ。

5 ござさん演奏「寒月」

 続いて、この時期にぴったりな…という中さんの曲紹介の「寒月」。

⑧寒月
 サンサーンスの「白鳥」に歌詞をつけた楽曲で、伊藤ハルトシさんが加わった編成。ござさんが気にしていらした楽譜は、この「寒月」がチェロも入れた編成だったからかぁとやっとわかる。
 ござさん、いつもの通り右足の踵を軸にしてストンと座ると、座りしな弾き出す。キャスでも言ったが、去年はかてぃんさんの編曲に添った演奏だった気がするけれど、今年はキラキラのアルペジオからの転調がまるっきりTHEござ!な展開(のような気がする)。チェロのレガートさに、繊細なアルペジオをまぶした美しい寒月で、中さんも伸びやかに歌っていらした気がする。
 間奏では壮大に転調、おなじみのメロディだがトレモロを効かせてfffでチェロとのハーモニーを楽しんでいる様子に、早いクリスマスプレゼントを受け取った気分になったし、チェロの伊藤さんと互いの音を聴き合って演奏する本気と楽しさが伝わってきて、満足度の高い素晴らしい一曲だった。

6 ござさん演奏「冬メドレー」

 演奏が終わり、中さんがござさんに拍手を送りつつ「もう少し何か…」と語りかけたのは、多分即興演奏を促して下さったのだと思うが、ござさんは演奏後の興奮と満足が冷めやらぬ感じで、「あっ、来年もがんばりまーす!」とニコニコしながら深く頭を下げ、わたしたちファンは精一杯の拍手を送った。
 すると中さんが重ねて「もしよければもう一曲何か…」と。ござさん「あっ、いいんですか?!じゃあなんか軽ーく!」と椅子にかけた。

⑨ござさん冬JAZZメドレー
 おそらく即興であったろうに、始まったのはござウォーキングベースの軽やかな「枯葉」!もうそれだけで極楽の聴き心地。指くぐりも華麗で美しい。
 からの津軽海峡冬景色。これは観客の年齢層を見て決めたのかも。そしてお正月。秋から冬への軽めのJAZZメドレーの中に演歌と唱歌を入れる、ござさんらしい即興の一曲。
 最近のメドレーでよくやる、振り返りタイム。枯葉に戻り、アウトロはお正月というスピード感ある冬メドレー。
 おそらく後ろのことを考えて短めにまとめたのかなぁと思うが、終わらないで…!と願う間もなく、あっという間の冬JAZZメドレーだった。

7 中孝介トリオ

 その後だが
⑩難破船(伊藤チェロと黒木Pf.)
 マイクのリバーブを上げ、切なく歌い上げていた。
⑪声をきかせて
 繊細なピアノのイントロが印象的。息のあった演奏でよかった。
⑫目を閉じても
⑬今ならここに
 伊藤さん、ここでギターに持ち替えてリズムを牽引するナイスワーク!
⑭東京金魚
 元気な楽曲で印象が強い。
⑮ワイド節
 音響さんが出てきてマイクを設置し、中さんの三線に高さを合わせていた。奄美本土復帰70周年とのことで、明るく元気な楽曲をみんなで。
 中さんからカチャーシーを教わった。会場のお客様方はあまり踊らなかった中、わたしのお隣の女性だけが立ち上がって踊っていてとてもよかった。

アンコール⑯花
 最後、中孝介さんだけが登場してカラオケ?で花を歌い上げた。ドラムとストリングス、コーラスの入った音源だったので華やいだけれども、ピアニストさん2人もいらっしゃるし、伊藤さんもコーラス、弦楽器ともになさるので、勿体ないなぁと思ってしまった。

 少しでもござさんの生のピアノを聴きたくて行った中孝介さんコンサート。はじめにEnVisionの思い出を書いたが、あの緊張と感激の押し寄せるエポック的なコンサートから2年弱の月日を経たのだなぁと感慨深い。
 これからもござさんにはますます楽しくピアノを弾いていただきたいし、2024年の目標通りますます「ピアノ上手くな」って観客を魅了していただきたい。そこにできる限り聴きに行く、というのがわたしの2024年の目標である。
(2023.12.31)

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