麦ごはんが一番美味しい?
虐待サバイバーのゆうかです。
父は麦ごはん(平麦)が大好きでした。
だから、我が家は毎日麦ごはんでした。
ある日、母が麦を入れ忘れました。
食卓に出てきたのは、真っ白な白米でした。小学生だった私は、初めて見る白米がとても新鮮に見えて、ワクワクしました。
ひとくち食べて、思わず「こっちのほうが美味しい!」と言ってしまったんです。
その言葉は、父の逆鱗に触れました。
私はミスを犯してしまったんです。
父は、自分の好きな食べ物を私たちが好きじゃないということは許しませんでした。
だから、私たちは父が好きなものを好きといい、嫌いなものを嫌いと言わなければなりませんでした。
麦ごはんではなく、白米のほうが美味しいと言ってしまった私は大変なミスを犯してしまったわけです。
食事は全員中断し、私の愚かな失言により、食卓は修羅場と化しました。
「なぜ白米のほうが美味しいんだ!麦ごはんが一番なんだ!麦ごはんが美味しいと言え!」
怒り狂った父に、私は罵倒され続けました。
そして夜中まで、お説教され、ほうきでお尻を何度もぶたれたりしました。
連帯責任と言われ、全員が食べさせてもらえず眠らせてもらえず。
私のせいでみんなに迷惑をかけてしまっていると私の小さな胸は張り裂けそうでした。
お尻はパンパンに腫れてほうきの柄の形のあざがいくつもできますが、見えない部分です。父はそれをわかっておしりを叩いていたのです。
父が「麦ごはんが一番美味しいと言え!」というので、小学生の私は、そう思い込もうとしました。
口だけで言っても、もしかしたらまた失言してしまうかもしれないので、思い込むことにしたんだと思います。
その結果、自分の感情に蓋をして、自分の好き嫌いは、絶対に出てこないように封印し、父に好み合わせる努力をすることにしてしまったんだと思います。
父が好きだからジャイアンツが好き
父が好きな女優さんを素敵と思い込む
父が嫌いな女優さんは嫌いと思い込む
父が好きな食べ物を好きだと思い込む
父が良いと言ったものが良い
そんなことしているうちに、私は、自分の感情がわからなくなってしまいました。
相手に合わせることに命をかけているため、自分の感情を置き去りし続けた結果、
かくして、自分の本当にやりたいことや本当に好きなことが、自分でも本当にわからない大人が出来上がりました。
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